線と帯 ~ 政党という組織の在り方

「線と帯」正に政党を組織する時に必要な考えです。自民党は正に「帯」ということです。人がたくさん集まれば、意見の一致を見ないこともたくさんあります。逆に、全員一致の方が恐ろしいです。

今回の国民民主党と立憲民主党の合流も「帯」でないと自民党に対抗出来るような政党にはなりえないと思います。多くの国民は、政権交代可能な2大政党が、相手への批判だけでなく、お互い政策を国会の場で議論し合い、違いと同じを明確にして、国民の為になるルールを作る、ということに期待しているはずです。それは、どこの政党の支持者でも同じなのではないでしょうか?

細かな政策の違いを指摘して(自身にとっては大きな違いと思っていても国民はそう受け取っているとは限らない)、帯に乗ることを「野合」と言ってしまったら、大きな政党をつくることは出来なくなってしまいます。大切なのは、政党内部での議論は考えが異なり、賛否があっても、政党内議論で決定した後、有権者に向けて発信する時は、自分の思いではなく、決定したことを伝えるということです。

決まったにも関わらず、「自分は党の考えと違う」とい始めたら組織でなくなります。自分の意見が政党で多数にならなかったということは、社会にまだ受け入れられていない、己のプレゼン・エビデンスが足りない、ということでしかありません。足りない部分を補ってまた、政党内議論にチャレンジすれば良いだけです。

政党同士が切磋琢磨して、内政を高度化し、経済の生産性、政府の効率性を高め、外交においては与野党の違いを議論によって最小化して交渉に当たる、そんな議会制民主主義の当たり前があることが大切だと思うのです。

新たな政党が、日本の議会制民主主義の一躍を担うことを期待したい。その意味では、新党は「帯」の自民党を見習うことを忘れてはいけないと思います。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2020年8月28日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。