次の首相の課題

岡本 裕明

辞任会見で国民に感謝の意を示す安倍首相(官邸サイト:編集部)

ご病気で退任されるのは致し方ないとしても時期的には大変微妙な時になってしまいました。次の首相選びであります。

候補者の名前が何人か上がっていますが、日本の首相選びは結局派閥と根回しと貸し借りというドロドロの決め方です。表向きは各候補、様々な主張をすると思いますが、結局は何を言っても最後はどこに所属し、誰の支援がもらえるか、これしかないのです。

今回は安倍首相が総裁任期途中での退任となるので首相不在期間を最短にするために簡易法とも称される両院議員総会で決定される公算が高いとされます。通常は党員選挙が前段に入るのですが、それがないとすれば両院議員394人と都道府県連から3名x47=141名の合計535票で争われます。この仕組みでいけば党内派閥と根回しが上手な人が有利になるのは確実で民意や候補者の政策などは何でもよくなってしまいます。

では本当に日本の首相をお願いするにはどんな政策を頭に描いている方がよいのでしょうか?我々は今、どんな問題に直面し、どんな対策を優先してもらいたいのでしょうか?

山積していると思います。まずはコロナ対策ですが、感染症対策から視点はポストコロナに移ってきており、経済復興が最優先されるとみています。この経済復興は失業率への注視、倒産件数、企業業績、個人事業主の自主廃業数、冬のボーナスの行方など経済の実態面から適切な政策を打ち出せるかがもっとも注目される分野かと思います。とすればかなり経済に明るい方が望ましい気がします。

次に外交です。まず、アメリカの大統領が誰になるのか、その大統領とどうやってお付き合いするか、さらには東アジア政策についてどういうスタンスを打ち出すのかであります。安倍首相のやり残しの外交仕事に拉致問題と北方領土問題があります。本件に対する安倍首相の通信簿と今後のアプローチについては見直し必至だと思います。対韓国は進行中の問題ばかりですし、中国とは中長期的な距離感の問題について厳しい判断が求められます。

社会はどうでしょうか?異常気象などで国土利用計画の見直しも優先されるでしょう。少子高齢化は政府の想定以上のスピードで進んでいるはずで近い将来、社会の維持ができなくなる可能性があります。社会において私が思う最も気になる点は「おっきな夢」がなく、「明日の百より今日の五十」ならぬ「明日のことより今日のご飯」的で近視眼的状態になっている点であります。国家のビジョン、これを打ち出せるか、であります。

もちろん、こんなのは理想論でスーパーマンでもなし得ないことばかりですが、問題が山積したということは問題が解決してこなかった、あるいはその原動力を失いつつあると考えています。これらを理解したうえで、では誰がよいのか、という話が本来首相選びの在り方ではないでしょうか?

議員と県連という狭い社会で決まるわけでそこには密室外交が繰り返されるわけです。我々の国のトップ選びも大統領制にした方がいいのではないかと思ったりしなくもありません。

有力4氏(石破氏動画、自民党サイト、政府サイトより)

さて、名前が挙がる石破、岸田、菅、河野の4名の候補者ですが、くだらないと思うのですがこの4名に血液型A型がいないのです。血液型がなにも意味しないとは言われますが、私は一応見ます。次に経済が専門と思われる人はいません。日本の株価の先行きが不安なのは〇〇ノミクスがなさそうだという点です。

政治家色が一番強いのは個人的には岸田さんかと。石破さんは理想論者。菅さんは番頭型、河野さんはゴーイングマイウェイです。外交は河野さんが分かりやすく、次いで岸田さんでしょうか。菅さんはオールラウンダーですが、得意技が見えないです。石破さんは反安倍派の受け皿でした。最終的には小沢一郎のように結局天下取りができないタイプに見えます。

この候補者の中から総理を決めるとなれば上述の国民の期待を実現する点からは誰がなっても厳しい気がします。社会の反応だけを見れば名が売れ、顔が売れている菅さんが総合点で勝るかもしれません。彼は狸おやじで、カリスマ性のカの字もないですが、安倍首相の色が社会にしみ込んでいる中で彼がショートリリーフというのはアリです。また安倍首相が院政を敷くなら菅さんをクローン化させるという発想もあります。

最終的には私はその次の首相こそ、日本の次世代を担う本命になるのではないかとみています。比較的若く健康でカリスマ性があり、明るく希望の未来のピクチャーを描ける人が最終的には望ましいと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年8月30日の記事より転載させていただきました。