国家を揺るがしたのに…映画「オフィシャル・シークレット」で色々驚いたこと

2020年09月01日 11:30

皆さま、現在上映中の話題の映画「オフィシャル・シークレット」ご覧になりましたか?
これ私の大好物「実話」「勇気ある女性の告発」「巨大組織VS個人」が揃った名作で実に面白いので是非観て下さい。

少々ネタバレになりますが、あの時の日本の報道のあり方とか、この映画で日本の司法制度特に逮捕から立件されるまでのあり方や、つくづく考えさせられたので今日はそのことを書きます。

映画のあらすじは、2003年に「イラクに大量破壊兵器があるぞ!」と英米が大騒ぎして戦争を仕掛けようとしていましたよね。

あの頃私の感覚だと日本の報道も「イラクの大量破壊兵器保有」は決め打ちで報道されていたと思うんですよね。「だから戦争やむなし!」と。

で、戦争に反対していたフランス・ロシアと揉めに揉めた。
「国連が査察して兵器なんか見当たらなかったんだから査察を継続して戦争はすべきではない」というのが反対派の主張。

日本はもう毎度毎度のことですけど、アメリカには無条件で従う国なので、戦争回避を打ちだす国に根回しして動きまわったけれども失敗しましたよね。
(この辺は全く映画には取り上げられてもいませんが。)

その時、英米は国連での決議を有利に進めるために、なんと非常任理事国のスパイ活動を指示するんです。
そのメールを見た英国諜報機関GCHQに勤務する女子職員が義憤に駆られ、このメールをマスコミにリークするというもの。

しかしこの事件日本では殆ど報道されなかったのは何故なのでしょう?
「故意に伏せられたニュースでは?」と勘繰ってしまいますが、日本語だけのニュースを見ていたのでは真実なんて何もわからないなと痛感しますね。

なんせ大量破壊兵器なんかなかったのに、あれだけの空爆をして民間人を殺してしまい、のちにブッシュ大統領は退任の弁で

私の政権の期間中、最も遺憾だったのが、イラクの大量破壊兵器に関する情報活動の失敗だった

と述べた位ですが、開戦早々「理解し、支持します」といった小泉首相の責任なんか一切問われずうやむやですからね。

この映画の中で気骨ある記者が「官邸のご機嫌取りばかりしてないで、仕事しろ!」っていうところがあるんですけど、まさに最近の日本の記者さんに言いたい事ですよね。真実を暴く独自取材に期待したいところです。

さて、もう一つ驚いたのは、国家を揺るがすような大事件で、この女性は逮捕されるんですけど、わずか1日の取り調べで保釈されるんですね。その後「起訴されるかどうか連絡があるから待て」と警察で言われる。

これには衝撃を受けました。
よく日本の閉鎖空間での恫喝取り調べは人権問題だ!って話題にあがりますけど、まさにそうだなと思いました。
何日間も外部との接触を禁じて誰にも会わせず自白に追い込み、物的証拠がなくても死刑判決まででる国ですからね。

カルロス・ゴーンさんも批判していましたが、日本の司法制度の恐ろしさをまざまざと痛感します。
刑事司法制度改革に取り組む弁護士さん達がいらっしゃるようですが、是非とも頑張って欲しいと思いました。

さて、この映画の結末にはマジでびっくりします。
そして、あのイラク空爆とは何だったのか?
そして常にアメリカに追随する日本の政治や、何も知らない国民について深く考えさせられます。
どうぞご覧になってみてくださいね!

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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