安倍退任で世界はトランプを現実と繋ぐ鎖を失った

2020年09月01日 18:00

明日2日、「アメリカ大統領史100の真実と嘘」という本が発売になるが、その帯に使ったのが、安倍首相とバイデン元副大統領のツーショットだ。合成写真ではなく、バイデン副大統領来日のときのものだが、安倍首相はバイデン氏ともいい会談をしているし、だからこそ、バイデン氏も丁重な声明を発表している。

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 安倍首相は日本の歴代首相のなかで、民主党政権ともっとも良好な関係を築いた首相である。米国議会での演説を実現し(首相は元首でないのでなかなか難しい)、オバマ大統領を広島に連れてきて、オバマと一緒に真珠湾を訪れるなどというのは、民主党政権の首相たちの一番やりたかったことであろうと評していた人がいたが、その通りだろう。

今朝の記事でポスト安倍議論において外交政策がほとんど語られないことに、がっかりしていることを書いた。

安倍首相の離任は、日本外交にとっても世界にとってもとてつもなく大きな損失である。

ボルトン前米国家安全保障担当大統領補佐官が、ワシントン・ポスト紙(電子版)への寄稿において、安倍晋三首相の外交を非常にうまい言葉で表現している。

つまり、迷走しがちなトランプ大統領の外交を「現実に近いところにつなぎ留める重い金属の鎖のような存在だった」と評価したのである。

首相官邸Facebook

トランプ氏との会談で、安倍首相が通商問題が大きな問題になるのを避けるために、日本企業の投資や米国製兵器の購入状況に関するグラフを常に用意していたとし、「会談の主導権を維持し、両国にとって最も重要な戦略的問題について話し合う時間を確保した」とした。

また、首相が取り組んだ安全保障上の日本の役割拡大を「完全に適切」、しかも、アジア諸国にも広く理解されるようになったとし、「彼は憲法改正に失敗したかもしれないが、そのような改正の必要性があまり重要でなくなるほど状況を変えた」としている。

  一方、メルケル首相は、「安倍首相は常に多国間主義に向けて努力してきた。日独間の距離にもかかわらず、両国は基本的価値を共有していることを示した」としている、

  「フィナンシャル・タイムズ」紙は、「日本の外交政策に『ルールに基づく世界経済秩序の擁護者』という新たな役割を持ち込み、法の支配へのコミットメントを共有するアジアでの連携を追求した」としている。

米紙ワシントン・ポストの外交・安保専門コラムニスト、デビッド・イグナチウス氏がコラムでまとめれば次のような安倍首相の功績を書いていると朝鮮日報が報じている

①安倍首相はトランプ大統領の変則的な行動を管理するために、「世界で最も成功した指導者」「日米に利益となる合理的な政策のため、絶妙にトランプ大統領を言いくるめた」

②日本の対米貿易黒字を批判して防衛費分担金増額の圧力を加えても、結局は安倍首相が要求する通りにしていた

③安倍首相は在日米軍基地なしに太平洋を守ることがどれだけ高くつくか、トランプ大統領に想起させながらも、『米国の若者たちが日本を守るために命を懸けていることに感謝している』と説得」「防衛費分担金増額の圧力を加えても、結局は安倍首相が要求する通りだった

④在日米軍基地なしに太平洋を守ることがどれだけ高くつくか、トランプ大統領に想起させながらも、『米国の若者たちが日本を守るために命を懸けていることに』感謝して説得した、

⑤トランプ大統領の在韓米軍撤退を引き止めることができた

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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