今こそ考える三権分立と民主主義

2020年09月03日 14:00

三権分立。小学校の時、強い印象を叩き込まれた記憶があります。立法、行政、司法がそれぞれ独立していて干渉せずに権力の集中をさせないことで民主的な国家を形成する基礎となっています。考えすぎかもしれませんが、日教組の強い支配の下、戦前戦時中の国家運営に対する強い批判を小学生の我々に植え付けたのかもしれません。わたしなら中央銀行の分立で経済の恣意的な支配をしないという点も含めて本来なら四権分立でもよいかと思います。

このところ、民主主義について様々な議論が生まれています。最近でも旧ソ連のベラルーシでルカシェンコ氏が6選を果たしたことに対して何十万人もの国民が反対運動をしています。南米ベネズエラのマドゥロ大統領はアメリカをはじめ、西側諸国から政権の認知すらされない事態になっているにもかかわらず、相変わらず独裁を続け、国家の混迷が深まる一方であります。

またやや角度を変えてみると台湾にチェコのビストルチル上院議長をはじめとする90名の訪問団が訪れ、上院議長が台湾議会で演説したのを受け、「一つの中国の立場」である中国が強烈な反発を示しています。台湾における民主主義を中国本土がそこまで干渉するのは結局、自国のメンツと太平洋側へのアクセスにおいて台湾を独立国家として認めることは許されないというわけです。別居が長く続くのに離婚届にはハンコを押さないということでしょう。とすれば台湾の人の民主主義って何でしょうか?

産経の記事は衝撃でした。「香港の林鄭月娥行政長官は1日の記者会見で、『香港は三権分立ではない』と明言し、行政長官をトップとする行政主導の三権体制であるとの認識を示した」というのです。更に「中国の習近平指導部は三権分立について『西側の政治制度』として拒否している」とあり、「香港に対しても『三権分立ではない。行政長官が三権の上に立つ』との見解を示していた」というのです。つまり、行政が立法、司法の上に立つのだからベラルーシやベネズエラと同じ、独裁政権が可能で民主主義という発想はないのであります。

韓国。サムスン電子の李在鎔副会長が資本市場法上の不正取引行為、相場操縦、業務上背任などの容疑で在宅起訴されました。そもそも本件は不起訴が妥当と最高検の捜査審議委員会が判断していたものの検察が組織防衛のためその判断を覆してでも起訴に持ち込みました。ご承知の通り、李副会長は朴槿恵前大統領に絡み、現政権から強くにらまれ徹底的に糾弾されています。そこには司法ではなく、行政の上に民情という韓国の独特の判断基準が伴います。韓国の裁判所は三権分立の公正な独立性があるとは言い難く、裁判官が民意に沿わない判断を下した際の国民からのバッシングを恐れ、国民目線に沿った判断しかできない国家組織になっているのです。つまり、かの国には正義がないのです。

アメリカはどうでしょうか?割と想像以上に三権分立がはっきりしており、大統領の権限も相当抑えられています。トランプ大統領は持てる権限を最大限振り回しているので大統領とFRBを含めた五権があるようにも見えますが、立法において上院と下院で主導権が共和、民主でねじれていることも多く、案外決められない国家であります。また、アメリカでは三権分立の透明性を追求しすぎるあまり、証人喚問やそれに近い追及が年中行事のようになっています。最近でも大統領選に関し、郵政公社をめぐる大バトルがあり、なかなかアメリカで審議を進めるのは大変だという印象があります。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

では日本。私は三権分立かと言えば表向きはそう。実態は二権分立だと思っています。つまり、行政と立法がほぼ一体化しています。理由は国会で与党が圧倒的なポジションにあることから行政が講じることを立法化することが現実にはかなりスムーズに実行されるからです。そしてもうひとつわからないのは衆議院と参議院の違いであります。

二院制と言いながらも実質的には機能も中身も党利党略の枠組みでしかないわけです。例えばあの河井夫妻は旦那が衆議院で奥さんが参議院でした。衆議院で提出された法案をじっくり審議し、より良い法律を作るのが参議院の役目と言いますが、夫婦でじっくり審議するというばかばかしさがあるんです。

今回の総裁選も陰の実力者の二階幹事長が国家のトップを「総合的に」判断してしまいました。もう総理は決まったようなものでしょう。日本において一国の総理は民主的に選ばれないどころか、今回は自民党の議員ですら自由が利かず、二階氏がすべての権限を持ち合わせていたということになります。ある意味、恐ろしい話であります。

民主主義とは何か、三権分立に基づいて国民は本当にその権利を守られているのか、と言えば世界を見ればそんなことはなかなかありません。国によってさまざまな色があると思います。もちろん、色が薄い国もあります。カナダはそのあたりはかなり民主的で透明度も高い国家だと思います。ただ、透明すぎて物事がなかなか進まないという弊害もあります。一長一短ということでしょう。

バランスや理想の追求とはなかなか難しいものであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年9月3日の記事より転載させていただきました。

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