時事問題の理解に役立つ歴史の学び方:コロナ&安倍・トランプ

2020年09月05日 14:00

歴史を知ることの楽しみとしては、悠久のロマンに浸るといった夢の世界で遊ぶという目的もあるだろう。しかし、王道は現在の問題を解決するための前例としてヒントを得ることだったり、現在の状況がどうしてそうなっているのかを知って問題解決のヒントを得るということにあるのではないか。

バイデン前副大統領と握手する安倍首相(2013年、官邸サイト:編集部)

ネット時代になってその傾向がひどくなっているのは、ニュースを断片的なネット・メディアからの情報で得ることが多くなり、情報の整理ができなくなっていることだと思う。

新型コロナウイルス問題だって、今年の初め以来、何がどうなったかの時系列を無視して、雑然とした情報の洪水を感覚的に理解することしかできなくなっている。

そこで、「日本人がコロナ戦争の勝者となる条件」で武漢でのニュースが日本で初めて報道された1月4日からの動きをまとめてみたら、かなりの大物政治家からも、「やっと頭が整理できた」といわれた。

  「アメリカ大統領史100の真実と嘘」の帯の文句は私が自分で考えたのだが、「トランプvsバイデンどちらが日本に得か?」「なぜ民主党は黒人や移民に好意的なのか?」「共和党の大統領のほうが親日的である理由」という歴史書らしくないものだ。

バイデンと安倍首相が握手している写真をメインにしてあるのは、バイデンが当選した場合に、安倍首相がバイデンにどう接触していくかを考えてもらうために、あえてそうしたものだった。

写真はバイデンが副大統領として来日したときのものを外務省から借りたが、安倍首相がこんなに早く退陣したのは予想できなかった。

ただし、副大統領候補がカマラ・ハリスになりそうな予想のもとに書いたのは、大成功だった。

いずにせよ、先住民がベーリング海峡を渡り、コロンブスのアメリカ発見から始まる通史だが、全体の四分の一ほどは、21世紀になってからのことにあてている。これは、私が通史を書くときの基本方針だ。

とくにトランプ大統領になってからのことは、年ごとの動きで紹介しているが、ここでは、2020年になってからのことは、次のように紹介している。

ーーー

 就任直後から議論されていたロシア介入疑惑に関しては、モラー特別検察官が2019年4月に捜査報告書を公表し,「トランプ氏が訴追されなかったことは、同氏の潔白が証明されたことと同義ではない」という玉虫色のものになりました。

弾劾については、中間選挙までは下院でも共和党優位なので身動きが取れず、中間選挙での民主党勝利で発議は可能になったものの、共和党優位の上院で三分の二を獲得する見通しは当初からありませんでした。

しかし、下院は「大統領は自身の個人的・政治的利益を米国の利益よりも優先し,米大統領選挙の健全性を傷つけようと試み,米国の国家安全保障を脅かした」として、トランプ大統領を職権乱用と議会妨害で弾劾訴追する決議案を賛成多数で可決しましたが(2019年12月)、上院本会議では、共和党多数のため無罪となりました(2月)。

その前日には、トランプ大統領が一般教書演説し「偉大なるアメリカの復活」をアピールしましたが、ペロシ下院議長が演説終了後に演説原稿を破り捨てる事件もありました。

中東では、イラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が米軍の空爆によって殺害され緊張が拡がりましたが、こちらは新型コロナ問題もあって小休止、アフガニスタンではトランプ政権とタリバンとが接近しています。トランプ大統領がパートナーとしてきたアウジアラビアのムハンマド皇太子が、前年のジャマル・カショギ氏(ジャーナリスト)暗殺事件で評判を落とし、イエメン情勢に深入りしすぎて窮地に立ち、また、ロシアとの対立で原油価格は大暴落してアメリカの石油産業に大きな影響を与えています。

新型コロナウイルに対しては、中国からの渡航者の入国禁止措置命令に署名(1月)するなど動きは悪くなかったのですが、ヨーロッパ並の流行を避けることはできませんでした。また、責任の所在を巡って、中国およびWHOとアメリカの対立が深まりました。。

ミネソタ州ミネアポリスで警官が黒人男性を殺害したジョージ・フロイド事件への抗議デモは新型コロナで閉塞状態にあった人心に火を付け全国に暴動が拡がりました。今回はとくに、ここ数年、盛んになっていた南北戦争での南軍関係者への顕彰を根絶させるため銅像の撤去などが進み、また、『風と共に去りぬ』のようなものまで含めて、古い人種的偏見や古い時代の賛美を排除する運動と重なっています。

経済は任期中を通じて好調で高株価にも沸きましたが、新型コロナ問題で頓挫しました。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

過去の記事

ページの先頭に戻る↑