会社の偉い人が「本社を淡路島に移すぞ」と言い出したときに読む話

城 繁幸

淡路島(ATOHS/flickr)

今週のメルマガ前半部の紹介です。パソナが本社機能の淡路島移転をリリースして話題となっています。二子玉川に移すとかじゃなくて淡路島ですよ!もうスケールが違いますね(笑)

とりあえず、多くの人の人生に一大転機が訪れることは間違いないでしょう。

後述するようにサラリーマンである以上、転勤は避けては通れないテーマです。いい機会なので、今回は淡路島移転をどうサバイバルするかを解説してみましょう。

終身雇用の副産物“転勤”

意外と知られていませんが、経営幹部でもない雇用労働者が業務命令で全国を渡り歩くというカルチャーは実は日本だけです。

転勤拒否した人間を解雇することを認めた判例もありますし、労組も基本的に総合職の転勤はウェルカムなスタンスです。筆者の東京生まれ東京育ちの知り合いで九州への転勤がイヤで労組に相談に行ったら「おまえサラリーマン舐めてんのか!?」と逆に説教された人間もいますね(苦笑)

そうなっている理由ですが、人員余剰感のある拠点からそうでない拠点への柔軟な異動を認めることで雇用を守らせているわけです。要するに終身雇用の副産物ということですね。

あ、よく労働弁護士なんかが「合理的な理由がない転勤命令なら争う余地はあります」みたいなこと言ってますけど、単に仕事増やしたいだけのポジショントークなんでスルーしてください。

着手金払って会社とケンカしてたとえ勝ったとしても、その後に社内でどういう扱いになるか想像はつくでしょう。弁護士に金とられた挙句に賞与のたびに最低査定&昇給昇格無しなんて人生ドブに捨てるようなものですからね。

というわけで、淡路島移転の対象者になってしまった時点で選択肢は事実上以下の2つになります。

・転職する

筆者は仕事内容と同じくらい「どこで働くか」ということは重要なことだと考えています。それを一切決めないまま新卒一括採用で就社し、その後の勤務地もすべて会社が決定する日本型雇用はやはり異常と言わざるを得ないですね。

だったら答えは簡単!自身の意に沿わない勤務地を打診されたらすぐに転職活動を開始しましょう。

・淡路島をエンジョイする

関東人はあんまり知らないかもですが、淡路島ってそこらの島とは違い、インフラも充実し大阪、中国、四国にもアクセスのよい立地だったりします。

玉ねぎやレタスも美味しいですね。神戸山口組の本部だってあります。いわゆる“島流し”のイメージとは全然違う生活が待っているはずです。

ちなみに筆者なら、若手だったら間違いなく淡路島に行くことを選択しますね。理由ですか?これがコストカットやリストラを目的とした負のアクションではなく、トップダウンで降りてきた一大プロジェクトだからです。

トップ自身が滔々と理念を語ってみせるなんて普通ないですから。

【参考リンク】パソナ代表「将来は船の上に本社」

「満員電車や一極集中といった“昭和のくびき”から社員を開放し、令和の日本企業の在り方に先鞭をつける」という雄大なビジョンがうかがえます。リストラどころか、会社としてはむしろ送り込む人材をセレクトするでしょう。

こういうトップダウンの一大プロジェクトに参加し成果を上げることは、出世という意味でもキャリアアップという意味でも滅多にないチャンスと言っていいでしょう。

以降、
いますぐ転職なんて出来ないよという人へ
転職より圧倒的低リスクな第三の選択肢

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Q:「40代はマネジメントを重視すべきでしょうか?」
→A:「重視する企業は多いですね」

Q:「子会社の課長ポストは左遷?栄転?」
→A:「間違いなく栄転です」

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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2020年9月10日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。