バロンズ:大統領選後の12月、米株相場に直撃する嵐に注意

2020年09月14日 11:30

angela n./Flickr

バロンズ誌、今週のカバーはITバブルを取り上げる。

崩壊を予想するのではなく一段の上昇を見込む。コロナ禍による経済活動の停止を余儀なくされた結果、一部のIT企業が困難を潜り抜け好業績を叩き出した。その間に中央銀行は金融市場の暴落を回避すべくゼロ金利を再開、結果、株式市場の回復を促し、一部は利益を計上していないテクノロジー企業の株価すら押し上げた。テクノロジー関連率いるナスダックは3月23日の底値から75.7%高を遂げたが、足元で様相は一変、3営業日で10%下落し、過去最短で調整相場入りした。

とはいえ、テクノロジー関連株初の米株高が終わりを告げた、あるいはバブルが崩壊したわけではない。そもそも、アップルやアマゾンなどは未だ高値にあり、業績も力強さを維持する見通しだ。しかも、米連邦準備制度理事会(FRB)は長きにわたり超緩和策を維持する見通しで、個人投資家も株式の取引に夢中になっている。ITバブル2.0は、今後さらに拡大する公算が大きい。詳細は、本誌をご覧下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週は米大統領選後の米株相場を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

フットボール・シーズンが開幕へ、ただ今秋最も激しい衝突が予想されるのは米大統領選-Football Is Back. But the Real Contact Sport This Fall Is the Election.

正常な状態への準備はできているだろうか。ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のシーズンが9月11日からカンザスシティ・チーフス対ヒューストン・テキサンズの一戦で開幕、観客数を一定に抑えた環境で、昨年の覇者チーフスが14ポイント差で勝利した。

その裏で、一部の投資家がNFL開幕が株式市場に与える影響を懸念していてもおかしくない。NFLはスポーツ・ギャンブルで最も大きなシェアを有するだけに、経済活動が停止していた間に株式市場に流入した個人投資家の動向が気になるところだろう。ただ、スマートフォンさえあれば、アプリを使って平日の日中に株式の取引を行い、日曜など試合の夜にギャンブルを楽しむことが可能だ。

投資家が気にする材料としては、足元のテクノロジー関連が主導する米株安以外に、米大統領選が挙げられよう。選挙情報サイトのリアル・クリア・ポリティクスによれば、民主党候補のバイデン氏のトランプ大統領に対するリードは7.5ポイントと、6月後半の約10ポイントから縮小した。また、賭けサイトの平均値で両候補はデッドヒートの様相を呈し、共和党大会後まもなくの9月2日にその差は0.5ポイントに迫った。

世論調査に対する信頼度は、2016年の米大統領選で民主党のクリントン候補の勝利を織り込んでいた4年前から芳しくない。仮に世論調査結果が正しかったとしても、選挙結果での票差は現時点より格段に狭まるだろう。

チャート:トランプ氏とバイデン氏の支持率

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(作成:My Big Apple NY)

ドイツ銀行のブリンキー・チャダ氏率いる米株ストラテジー・チームによれば、第2次大戦以降の米大統領選イヤーを振り返ると接戦は10回を数え、当時の米株動向を振り返ると米大統領選投票日の6~7週間前に下落していた。こうした下落に対し、チャダ氏は「選挙当日が近づくにつれ、ボラティリティの高まりを意識した取引が増加するため」と説明する。

JPモルガンも、米大統領選前の下落に注意を促す。特に今年は11月3日の夜、あるいは翌日の朝に結果が判明するとは限らない

勝者の判定が困難なケースや無効が申し立てられた場合など、米株は下落して反応する公算が大きい。例えば、2000年の米大統領選を振り返れば、フロリダ州の再集計が行われつつ、最終的に米連邦最高裁判所が再集計に対し執行停止の判断を下した当時、S&P500は5%下落した。

BCAの地政学アナリストであるマシュー・ガートキン氏に言わせれば、仮に選挙結果が市民の間で抗議活動を激化したとして、下落が5%程度に収まるならば御の字だという。同氏によれば、極左であれ極右であれ、失業率が高止まりするなかで市民が集団で選挙結果に反旗を翻しかねない。

米株相場はFRBの超緩和策や米議会の景気刺激策をきっかけに上昇に転じたが、問題は追加経済対策の成立が遅れていることだ。共和党が5,000億~1兆ドル程度を提示する一方、民主党は3兆ドル規模を目指し、その乖離は大きい。共和党側は米株動向と経済指標の改善を受けそれほど成立に急いでないように見えるが、それぞれが悪化するリスクにも直面する状況だ。

ナスダックが下値を拾われるなか、商品先物市場は売り圧力にさらされ、WTI原油先物は6月以来初めて40ドルを割り込んだ。材木先物も好調な米住宅市場を追い風に3月の安値から3倍も急伸したが、11月物は高値から20%以上も急落(筆者注:ただし9月物は最高値を更新)。フィナンシャル・インサイト・レターを執筆するピーター・アトウォーター氏にしてみれば、原油相場や材木先物はK字型回復を示す上で、アップルやテスラよりも市場の雰囲気を現す指標だ。

ドイツ銀行のストラテジストは、接戦を迎えた米大統領選の後の上昇相場を予想。どちらの党の候補者が勝利しようとも政治リスクの後退を受け、平均で5%上昇してきたと指摘する。VIX先物は10月のボラティリティの上昇が織り込まれる一方、12月の低下を示唆。接戦が見込まれる上に郵便投票の増加が予想されるなか、こうした見方は楽観的と捉えられ、12月にかけポートフォリオを保護する必要に迫られるのではないか。スポーツでは正常化が進みつつあるが、米株市場はしばらく落ち着きを取り戻しそうもない。


別のコラムによれば、ダウ平均が最も下落しやすい年は1897年以降、大統領の任期1年目で下落の確立は45%です。次いで2年目が42%となり、大統領選を迎える4年目は32%最も下落する可が低い年は3年目で19%でした。トランプ政権を振り返ると、1年目の2017年は25.1%高、2年目の2018年は5.6%安、2019年は22.3%高で、4年目となる今年は9月11日時点でダウ平均は3.1%安となっています。こうしてみると、そもそも米株が下落する確率はそれほど高くないことが分かるだけに、下値を見極める目が必要と痛感させられます・・。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年9月13日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

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