日本的野党を構築せよ 〜 親露・親中・親北では政権奪取は不可能

2020年09月17日 06:00

立憲民主党の枝野代表、国民民主党の玉木代表(ツイッターより)

会長・政治評論家  屋山太郎

野党の再編が一段落したが、近く予想される総選挙でもう一皮むけなければ政権には近づけまい。中選挙区制度を小選挙区制度に変えたのは、同一区に同じ党から2人も3人も立候補するため、金権選挙を強いるからだ。このため衆参両議会が「議員のいない審議会」を編成して討議を依頼した。これまで議員を交えた審議会は7回失敗していた。そこで第8次は“議員抜き”の構成になり、ようやく小選挙区比例代表並立制が誕生した。

第1回選挙は1996年に行われた。選挙費用はこれまでの選挙に比べて10分の1程度で終わったと各議員が言っていた。制度改正に合わせて政党助成金を支給することになったから、政治資金集めは小口になり合理的になった。今でも少ないとこぼす人がいるが、それは援助するに足りない人の言うことだ。

政治資金面ではほどほどの制度に落ち着いたが、改革審議会が狙ったもう1つの目的は政権の交代である。2009年、ようやく民主党に政権が移ったが、野党が一体となった「鳩・菅」内閣と言われ、後世に恥ずる様相を呈した。その極端な例が鳩山首相の、米国と離れて今度は「中国と仲良くする」という国防方針の大転換である。失敗の元は当時も今も議論されている「日、米、中」の正三角形外交論である。

3ヵ国が同等の武力を持っていれば日米でも日中でも成り立つが、3ヵ国は正三角形になりっこない。日本は米国と同盟関係にあるから、中国の利益を優先し、米国が不利になるような外交方針を取れば、国際的信用を失う。この至極当然の論理をなぜ日本人は理解できないのか。日中同盟を結べば、第二の香港になりかねない。

幸い安倍時代に解消したが、防衛条約は結ぶ「権利」はあるが「行使」はできない、という世にも不思議な解釈はなぜできたか。日米安保条約の締結を断行したい自民党と、絶対反対の社会党が国会で真正面から衝突した。この結果、自民党は締結する「権利」をいただくが、社会党「行使をしない」約束で落ち着くことになった。自社のなれ合い政治は国家の中枢にまで及んでいた。

今の自民党と野党はここまで堕落はしないだろう。小選挙区制度のおかげで国民の判断が即刻、及ぶことになるからだ。

小沢一郎氏は自民党以外の全野党が一丸となれば必ず「政権を取れる」と言っているが、ではなぜ野党が一本化できないか。
この理由は再編の最中でも終わってからも150人の立憲民主党議員が一言も発しない。野党再編と言いながら「共産党」という言葉は一言も出てこない。共産党とどう付き合うかで、加入政党を決めたはずだが、この幻の政党については一切触れず、選挙の度に浮上してくる。

日本の野党は押しなべて親中、親露、親北朝鮮と共産圏寄りの姿勢だが、この3ヵ国には日本が学ぶべき点はない。日本社会が優れていることを認識し、新しい形の“日本的野党”を構築するよう望む。

(令和2年9月16日付静岡新聞『論壇』より転載)

屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生まれ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、解説委員兼編集委員などを歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。著書に『安倍外交で日本は強くなる』など多数。


編集部より:この記事は一般社団法人 日本戦略研究フォーラム 2020年9月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は 日本戦略研究フォーラム公式サイトをご覧ください。

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