“世田谷モデル”、答弁を逃げた保坂区長 --- 稗島 進

2020年09月17日 11:30

昨日(9月16日)、“世田谷モデル”について保坂区長に直接、質問した。やり取りの詳細はネット録画(稗島の質問は54分30秒から)をご覧ください。

該当する私の質問原稿は以下の通り。


以下、通告に基づき質問いたします。

はじめに、世間の耳目を集めております、いわゆる“世田谷モデル”について伺います。保坂区長は7月末から「いつでも誰でも何度でも」をキャッチフレーズとする、保健所が担っていた従来型検査によらない、PCR検査の拡大について、連日メディアに出演し、発言されました。

私は区民の方からの問い合わせで知ったのですが、最初の印象は「すごいことをやるな」と期待半分、不安半分と言ったところでした。区長もこれまで各所で発言されている通り、4月のコロナ感染のピーク時に、陽性が疑われる区民の方が、なかなか検査を受けられないという深刻な状況があり、それを解消するために、検査を拡大するという点については、私も心から賛同するものであります。

しかし区長は、“世田谷モデル”について、メディアでは発言されるものの、一向に議会に説明することなく、区側に問い合わせても「詳細は検討中」と回答するばかりで、区民の問い合わせに対して、議員としてはまったく説明できないという状況が長く続きました。今月10日、臨時に開かれた企画総務常任委員会で、他会派の議員からも指摘がありましたが、議会軽視と断じられてもおかしくない、区長の姿勢について、この場でも、苦言を申し述べておきます。

さて、区長のアピールのインパクトが強烈すぎたのか、「いつでも誰でも何度でも」というキャッチフレーズが独り歩きし、92万区民全員がPCR検査を受けられるようになる、と受け止め、期待している方が大勢いらっしゃいます。この方々にはどう釈明するのでしょうか。私は“世田谷モデル”なるものを一度、きれいさっぱり撤回するべきだと思います。

区長は「『いつでも誰でも何度でも』を掲げることで、PCR検査のハードルを下げることを目指している」とおっしゃっていますが、期待している方々からすれば、今回の「社会的検査」なるものは、23000件のエッセンシャルワーカーのみを対象とするもので、そのほかの90万人区民は対象とならず、置き去りにされることになります。その結果、検査のハードルを上げてしまったことになるのではないか。そうであれば、今後、どのようにこのハードルを下げる努力をしていくのか。全区民に対して、はっきりと説明する機会を設けるべきだと思いますが、そのお考えはあるか、伺います。ここで、説明責任を果たさなければ、区長は言うまでもなく、世田谷区の信用が失墜すると心から危惧するものです。

振り返れば、事の発端は、東大先端研の児玉龍彦名誉教授のプール方式という検査方法の提案を、区長が受け入れたところから始まっております。そもそも、世田谷区と児玉氏は、どのような関係にあるのでしょうか。児玉氏は、肩書に「世田谷区有識者会議議員」あるいは、「世田谷区コロナ対策有識者会議議員」などの肩書を使って、プール方式の実証実験を行っており、そのことについて、情報発信をしております。また、区長自らも「有識者会議」という呼称を、委員会答弁をはじめ、新聞でも使用しております。

このことは、児玉氏の一連の実証実験に、世田谷区がお墨付きを与えているという根拠となっており、事実、“世田谷モデル”に賛同するオピニオン・リーダーたちが、ツイッターなどのSNS上で、この呼称を好んで使っております。まず、有識者会議は存在するのか、お答えください。もし存在しないならば、区長がその呼称を使用してきたことは、多くの人々に誤解を与えてきたことになり、この場で訂正し、謝罪すべきだと考えます。そして、区と児玉氏との関係はどのようなものなのか、区長の答弁を求めます。

今回、提出された案にある、いわゆる「社会的検査」については、各議員から様々な指摘がありましたが、専門家からも疑問の声が上がっております。たとえば、9月3日の参議院予算委員会参考人質疑では、日本維新の会の浅田均議員の質問に対して、国立感染症研究所の脇田隆字所長が、「無症状者で安心のために検査をしても、偽陰性の問題もあるし、検査後に感染する可能性もあるので、安心のための検査は、非常によく考えて実施する必要がある」という答弁をしております。

また、東京慈恵会医科大学の嘉糠洋隆教授は毎日新聞の取材に、「無症状の人はウイルス量が少なく、検査で拾えない可能性はどうしても残る。陰性の結果が正しかったとしても検査日にウイルスが検出されなかったことを示すだけで、その後も感染リスクは残る」と答えております。このように、区が実施しようとしているような「社会的検査」に、専門家の間では疑義を呈する声が多くありますが、こうした見解について、区長はどのように認識しているのかお聞きします。

私は、これからインフルエンザの流行が予想されることからも、この「社会的検査」をやめ、保健所や区の医師会が実施している従来型検査の機能拡充、強化にこそ予算を使うべきだと考えます。財源の点からも、わが会派の代表質問でも厳しく指摘したように、いわゆる「社会的検査」が、国からの支援対象となるはずだというような、希望的観測で実施を目論むのではなく、国や都の趣旨を正しく汲んで、PCR検査拡大のための連携を図っていく方が、よっぽど区民の利益に資すると思います。

区長は、これまでのご自身の動きが、安倍総理の辞任会見でも触れられ、国や都の検査拡大へとつながったとおっしゃっていますが、具体的にどのようなアプローチをしてきたのか教えて頂きたい。そして、区長がよく議論していると話される、23区特別区長会で、いわゆる“世田谷モデル”について具体的な質問や問い合わせがあったのか、あるいは、賛同する声はあったのかお尋ねします。おそらく、「ない」と思いますので、重ねて、いわゆる“世田谷モデル”なるものの撤回を強く要望します。


区長に答弁を要求しているのだが、肝心かなめの部分は、副区長や担当部長が答弁してしまい、はぐらかした。とくに、変質した“世田谷モデル”について、「youtubeなどを使って、区民に説明する機会をもうけるべきだ」と質したが、区長本人からは何もなく、副区長が「一連の流れをホームページ上で説明する」と言ったのみで、具体的にどうなるのかわからずじまい。

ただ、私がしつこくそのデタラメぶりを追及していた(コチラ)、東大先端研の児玉龍彦名誉教授の「世田谷区有識者会議議員」の肩書き問題は、きのうの答弁でも「有識者会議」なるものは、完全否定された。

区長の「いつでも誰でも何度でも」のメディアでのぶち上げから始まって、児玉名誉教授の肩書き詐称、プール方式の国の不認可、国や都との連携の不明確さ、区民への直接説明もやらずじまいで、副区長によれば、「世田谷区はコロナ感染拡大地域」ということなので、何が何でも、無症状者のエッセンシャルワーカー23000人に対する、PCR検査の実施へ突き進むつもりらしい。多額の税金を使って。

これには何としても、反対しなければならない。わが会派(無所属・世田谷行革110番・維新)は、18日の企画総務常任委員会にて、予算の組み換え動議を提出する準備をしている。詳細は次回に。


稗島 進(ひえしま・すすむ)世田谷区議会議員(日本維新の会)
1977年、東京都生まれ。明治学院大学法学部政治学科卒業、同大学院修了。専門は政治学。元国会議員秘書、 民間企業出身。公式サイト

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