映画 TENET:複雑な時間軸とニールの謎を解説(図解あり)①
クリストファー・ノーラン最新作「TENET」。
この連休中に鑑賞に行こうと思っている方もいるかと思います(動画はワーナー ブラザース公式YouTube)。
かくいう私も公開初日から2回見て、頭の中で整理しきれず図を描いてようやく整理できた?かもという難解な映画でした。
見たことのない時間が逆行する映像は、IMAXの映像と音と相まって、非常に素晴らしく、まさに映画館で見るべき大作であるのはまちがいないですが、ここまで鑑賞者に考えさせる映画も珍しいでしょう。
いろんなレビューを読むと難解すぎて、星ひとつ★〜3つ★★★の評価が多く、TENET本来の練りに練り込まれた素晴らしい脚本と、その脚本に矛盾が起きないようしっかりと作り込まれた映画の真髄といえるべき友情の物語がみんなに伝わりきれてなくとても残念だと感じました。
そこで、これから観る人や1回見たけどようわからんかったという方向けにTENETの時間軸と登場人物の関係を整理したものをお見せします。
ネタバレはあまりせず予習用の範囲と、解説に近いネタバレと分けますので、これから見に行こうという人は注意しながら読んでください。
あ、ここからネタバレか、というところに来たら迷わず【逆行】してください^_^
この素晴らしき時間の魔術師、クリストファー・ノーランの映画をぜひ心ゆくまで体験ください。
TENETには多くの解説ブログが出ているのですが、この複雑な時系列をわかりやすくイメージで説明してくれているものがなかったため自分で作ってみました。
※時間軸の解説は自分なりに整理したものでオフィシャルなものではありません、予めご了承ください。
※本連載は3部構成です。
[予習・鑑賞用ネタ]
この程度のネタであれば、鑑賞前に知っておくとよい範囲というものです。ただし全く予備知識がない方がいいという人はここで【逆行】してください
TENETの時間軸を理解しよう
まずこれは鑑賞者から見た時間の流れです。
あなた自身が映画を見ている時間の流れですので前進かつ直進の一方通行で、上映時間はおおよそ150分間です。
この映画の中の物語で時間の逆行があり、あなたを混乱させることでしょう。
映画の中で時間の【順行=時間が前進すること】【逆行=時間が戻ること】が様々なシーンで混在するためあなたは一体何が起きているのか混乱します。
しかしこの1点をまず押さえてください。
上映開始からだいたい100分後くらいの高速道路のカーチェイスのあとに倉庫みたいなところに入ります。そこで主人公が予告編にも出ているマスクを付けて倉庫から出てくるのですが、物語全体としては、ここが時間のターニングポイントで、今まで物語の時間は【順行】だったのが【逆行】になります。
このことから【最初のオペレハウスのシーン】は【最後のシーン】と時間軸では繋がります。
最初が最後になる、というのは観る前から知っておいてもいいかと思います。重要なポイントはTENETでは時間はすべて円のループになっていることを理解することです。これだけでもきっと鑑賞のヒントになるでしょう。
上映時間150分内の少し複雑になる時間の【順行】と【逆行】のシーンについてです。
このように時間がループになっていることを理解すれば、順行の時間は、その裏側の逆行から見ると全く逆ではありますが、瓜二つで存在していることがわかります。あなたと鏡に映ったものだと捉えてください。
このポイントを理解しておけば、劇中、何度か【順行】と【逆行】の混在シーンが存在しますが、必ずどちらも元に戻るということです。
ここまでがこれからまだ観に行く人で初見ではそれほどヒントは必要ないところまでです。あくまで予備知識として知っておいても物語そのものには大きな影響はないはずです。
タイトルのTENETの意味
タイトルにはこれ以外にももっと深い意味があるのですが、最もわかりやすく表現しているのが、最後の戦闘シーンの10分間を意味するTEN順行 × 逆行NETです。まあ、これも知っておいても特にストーリーには直接影響しませんのでよしとしましょう。
時間逆行ドアの仕組み
回転ドア形式になっていて、順行から入れば逆行に、逆行から入れば順行になります。またそれぞれのドアは部屋で分かれているためガラスで仕切られた2部屋になります。
時間順行逆行の多重構造の仕掛け
映画の中で、登場人物はしばしば時間逆行ドアを行ったり来たりします。この一連の多重構造が鑑賞者を混乱させています。映画のどのシーンでこの多重構造が生み出されているのか見つけるといいでしょう。この仕掛けは映画の中では逆行から来た場合もあり、逆行→順行→逆行のパターンもあります
なお、TENETはタイムトラベルものではありません。日付を指定して過去のある日や未来のある日にジャンプはできません。あくまでターンした瞬間から順行と同じ時間をかけて逆行していきます。1年過去に逆行するには、1年間の時間が必要で、自分の時間は若返らず1年分歳を取ります。
また通常、順行の時間が先に作られて、同時にその裏側の逆行の時間が生まれますが、この物語では先に逆行が生まれ、同時のその裏の順行が生まれるというトリック(テクニック)が用いられています。
ここから先は初見者のネタバレヒントになりますのでご注意ください。
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TENETのストーリーライン(時間軸)
これが全体の時間軸の流れです。
初見の方でもあらすじのヒントとして持っていても悪くはないでしょう。すでに鑑賞済みの方はこのプロット図でよくわからなかった時間の流れが整理できるはずです。
図の見方ですが、トップ上の黄色い◯からスタートします。
初見では「オペラハウス」のシーンからになります。ストーリーを追えば後からわかることなのですが、この日に同時にあと2つの重要な出来事があります。内容については触れませんが、最初が最後のシーンに繋がるというのはこの理由でもあります。
黄色い◯は、映画の中で時間逆行ドアを使える場面・場所です。
TENETでは時間逆行ドアがあるのは全部で5ヶ所だと推測されます。
時間逆行マシンがある場所は5ヶ所
- 最初の研究所(ただしドアのシーンはない)
- オスロ空港フリーポート内倉庫
- タリンフリーポート内倉庫
- スタルスク12基地
- TENET船内
次に●と●が線でつながっているのは、順行時の●と逆行時の●が時間帯で表裏一体になっており、同じ日時の事象が起きていることを表します。
多くの人が混乱するのはこの同時に起こる【順行】と【逆行】のシーンなのですが、この順行と逆行が混在するシーンでは登場人物は理論上同一人物が二人存在するということです。(必ずしも存在するわけではありません)
同一人物が順行と逆行を同じ場所で繰り返すと二重、三重とコイルのように存在できるようなのです(はっきりとはわかりませんが最後の戦闘ではそういうふうになっています)自分と重ならない限り無数に重ねられるようです。
さしたりこの時間軸のストーリーラインを押さえておけば何が起きているのか理解しやすいでしょう。
あなたを混乱させる多重逆行構造
問題になるこはこれです。いやまじで、これを理解するにはこうやってイメージ図を描いて整理して初めて理解できたかもしれないというものです。
TENETの映画の中では単純に【順行】と【逆行】があるだけでなく、そのシーンの中に登場人物ごとの主観・客観による見え方による【順行】と【逆行】が混ざっていて、多重構造になっています。
映画を見て、多少なりとも理解を深めている人ならこの図の重なった円が何を表しているのかわかるでしょう。
特に最後の戦闘シーンでは(【順行】と【逆行】)が4つ混在していると思われ、初見では理解不能です。
ここから先は少々ネタバレを含みますので、初見の人は【逆行】したほうがいいかもしれません^_^
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