映画 TENET:複雑な時間軸とニールの謎を解説(図解あり)②

2020年09月21日 14:01

>>>①はこちら

オスロ空港

※この円の中にさらに順行と逆行の円があるのですが今回は省略

最初のオスロ空港では、主人公とニールがゴヤの贋作を処分するために入ったのですが、セイターの部屋に入ったときに時間逆行ドアがあるのがキーポイントです。この時間逆行ドアは赤色の部屋と青色の部屋があり、主人公とニールが入った部屋はそれぞれガラスの壁で隔たれた別の部屋になります。さて二人はどっちがどっちの部屋に入っているかはがんばって思い出してください。初見の人はよく観察してください。

そして映画の後半で、二人は美人妻キャットの傷を治癒するためにまたここに戻ってきます。

それが青い二人(主人公とニール)で、担架に乗せられているのが同じく全体で逆行中のキャットです。

円の中は空港内を表し、円の外は空港の外を表しています。

そうですね、最初の順行の赤の主人公と交じわったのは、逆行の青の自分自身です。

最初の順行の赤の主人公の主観から映像が流れますが、ドアから逆行の青の自分が飛び込んで来たのですから、赤の順行の主人公に対して逆行の青の動きで迫ってきます。みなさんが最初にノーランの逆行(逆送り)映像を見たのはこのシーンになります。青の逆行の主人公は最後にシャッターのところで吸い込まれるように見えますが、後の全体が逆行のシーンではシャッターから入ってくるシーンになり、そのまままた主人公と交えるシーンになり、時間逆行ドアまでそれが続きます。

そしてドアを抜けて、赤の順行ニールのいる側に出てきます。ニールも追いかけ取り押さえようとしますが主人公だとわかり逃します。

青の逆行ニールと怪我をしているキャットの担架はまだ二人が来ていない時間まで戻っているので悠々と時間逆行ドアを抜け、順行の世界に戻って、先に順行の世界に戻ってクルマで待っていた主人公と合流します。

もともと青の逆行だった3人はここで赤の順行に戻ったわけです。そのとき鏡(対)となるキャットは怪我をしていない健康な状態なので、怪我をしたキャットの存在はなくなり、赤の順行にそれぞれ二人ずつ存在していることなっていると思われます。二人がこのままこの世界には存在できませんので、おそらくTENET船の時間逆行ドアでまた青の逆行に戻り、キャットはベトナムの時間まで、主人公とニールは最後の戦闘シーンのスタルスク12のとこまで戻っているのです。

初見でここを理解できるやつはいない

※この円の中にさらに順行と逆行の円があるのですが今回は省略

逆走してくるクルマとのカーチェイスなど映像としてはこれ以上にない体験ができるシーンではありますが、あまりにこの複雑な仕掛けには、初見で理解できる人は皆無でしょう。

どんだけ【順行】と【逆行】が入り混じっているのは整理しながらもよくわからなくなってしまうのですが、これを映像としてまとめ上げるクリストファー・ノーランには頭が上がらないです。脚本家、プロデューサー、編集者、みんな天才だと思います。

最初に注目しなければらないのは、途中で出てくるセイターのAudiに乗っているキャットは順行キャットだという点。なぜこれが重要かと言うと一緒に乗っているセイターは逆行セイターだからです。

一体全体どうやって逆行セイターが順行キャットを捕らえて、一緒のクルマに乗せたのか、その仕掛けがわかればこの一連のカーチェイスのシーンの理解も深まります。

ここでは図解しているように、複数の【順行】と【逆行】の登場人物が入り交えるので超難解です。

もはやここでは考えるより、感じろ、映画のキャッチコピーそのままをお返します。複雑過ぎなので今度時間があるときにゆっくり解説したいと思います。

もうひとつこの一連のシーンで重要なのは火と氷の関係です。なぜ火は逆行すると氷になるのか、時間逆行のエントロピーの話をさりげなくここに挿入するあたり、ノーランらしいと言えばらしいです。

普通に考えると火が燃える順行があるなら、火の燃える逆行は火が消えると考えるのですが、ここではエントロピーの話になっています。どうやら映画ではここで時間が逆行する仕組みのエントロピーを理解してくださいね、というところでしょうか。

そしてまたみんなが【逆行】に戻ったTENET船の中で祖父殺しのパラドックスの話が挿入されます

これは今から最終決戦に向けて、TENET部隊とセイター部隊が戦い、世界の終末を未然に防ごうとしているわけです。そうすると当然こういう疑問が湧くはずです。もし終末を防ぐことができたら、そういう未来が来ないわけで、そうなるとそもそもTENETが存在せず、時間を逆行して戻ってきて、世界を救う必要がなくなるのではないかと。

すなわちここでいう祖父とは、セイターの世界終末計画のことで、これと止めるたらどうなるか、という問いの答えも用意されているということです。

映画の中でこの答えはニールが何度も言うのですが、「起こり得ることは起きる」ということに尽きると思います。少なくても宇宙のある世界では終末した世界があって、それが原因でTENETができたのだと。仮にTENETが世界を救ったとしても、別の形で世界の終末が来るのかしれないし、来ないのかもしれないし、全く別の世界になるのかもしれないし、誰にもわからないのです。

未来は何が起きるかわからないから無知が最大の武器であり、例え逆行の時間を歩んでいたとしてもその歩みを続けている人物にとってはそれが未来なのだと。

③「映画最大の悲劇の瞬間」はこちら。

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