映画 TENET:複雑な時間軸とニールの謎を解説(図解あり)③終

2020年09月22日 06:00

連載リンク:①はこちら②はこちら

TENET大作戦

※この円の中にさらに順行と逆行の円があるのですが今回は省略

さて、いよいよ最後のシーンになります。

ここでは敵味方、双方が【順行】と【逆行】の部隊を持って対峙します。

大事なポイントは主人公は順行側から、ニールは逆行側から戦闘に参加していることです。そして鍵を握るのはニールの行動です。

この一連シーンが複雑でよくわからなくなる理由は、映像が主人公を主観にしたシーンとニールを主観にしたシーンが混在するからです。しかもそのニールは逆行から入ったにも関わらず順行に戻って最後に主人公とアイビスをワイヤーで救出します。

そして同時に、また逆行に戻って世界の終末を防ぐべく、主人公のために鍵を開けるために死ななければなりません。。。

ノー!!!(T_T)

この映画最大の悲劇の瞬間です。。。

実はこのシーンには大きな誤解が生まれています。ニールは鍵を開けたのではなく、、、そう、なんと閉めたのです。

ニールは二度目の逆行から入って洞窟に侵入し、主人公たちがアルゴリズムを取り返して逃げて、扉から出たまさにその瞬間に鍵を掛けるのです。

一体このあと何が起きたのでしょうか。

主人公の主観の時間から見ると、ニールの動きは逆になります。自分たちが扉の向こう側からまさに中に入ろうとするその瞬間にニールが鍵を開ける(閉める逆)を行って、そのまま敵の銃弾に倒れます。

GACKTも言いました「殴った手が戻る」「殴られた顔が戻る」「もう必死」と

まさにこの言葉に集約されているように、

ニールは鍵を開けたのではなく、「閉めた鍵が開く」「撃たれた銃弾が戻って生き返る」「もう必死」と

これがニールが最後にやってのけた大仕事なんです。

信じられますか、彼は10年もの長い時間逆行してきてオペラハウスまで戻ってきて主人公を助け、

そしてインドで相棒となり、ここまで来て、また爆発の瞬間に主人公を助け

そしてまた逆行して、この洞窟に戻ってきて扉の鍵を締めて銃弾に倒れるのです。。。

この映画をクソだとか理解不能だとか低評価つける前に、少しだけ何が起きたのか理解してみてください。

ニールの動きを解説 – なぜニールは鍵を開けたのではなく、閉めたのか

ニールが助けてくれたのはなんとなく感覚的に理解できたが、実際に映画の中でどのような動きをしたのか見てみましょう。

ニールは逆行の作戦終了時から最初の10分が始まりますが、すなわち本当の作戦の開始時間に逆行していきます。ニールは主人公たちの洞窟の入り口に敵が爆弾を仕掛けて逃げているところを見てやばいと思います。なぜならこの時すでに順行時間では爆弾は爆発しているから、逆行のニールには止められないのです。

止められないと悟ったニールはすぐさま危険を顧みず敵の時間逆行ドアまで忍び込み、順行に入ります。ここでは作戦開始時間に近い時間から再スタートとなります。ニールはクルマを走らせ主人公たちの後を追い、警告しようとしますが、間一髪間に合わず主人公たちは洞窟に入り、入り口は塞がれてしまいます。

ニールは全速力で爆心地に戻り、穴からワイヤーを主人公たちに届け、爆発ギリギリのタイミングでクルマで引っぱり脱出成功に加え、アルゴリズム発動を防ぎ、世界を救います。これが戦いのエンディングのシーンです。

ニールはそこで自分はまた時間を逆行し、鍵を開けられるのは自分しかないと告げて、その結末を知らずに戻っていきます(T_T)

知っていてもニールは戻るでしょうが、無知は最大の武器というのは、主人公たちや見ている私たちにとってすでに過去の出来事だったとしても、今を行きているニールには逆行する時間は未来なのです。

映画では、ニールが逆行して鍵を開けてくれるシーンを先に見せてくれるので、一体どうやってニールは鍵を開けたのか不思議に思った人も多いでしょう。

この時間の流れを見れば一目瞭然ですが、主人公たちと世界を救った後、ニールは逆行で洞窟に戻り、主人公たちが敵からアルゴリズムを奪って扉を出た瞬間に忍び込み、【扉の鍵を閉める】のです。そして同時に敵の銃弾を頭に受け倒れます(死にます)T_T

時間が順行にいる主人公と映画をみている私たち鑑賞者主観の視点から見ると、ニールの時間は逆行しているので、死体が急に起き上がり、鍵を解除し、扉を開け、そのままニールが走り去る姿を見るのです。(実際にはニールは走り去ったのではなく、走って向かってきて扉・鍵を閉めて銃弾に撃たれるのです)

ニールの時間(人生)はここで途絶えます。

だとすると一体だれが未来で主人公のニールと出会うのでしょうか、これがTENETに隠されたもうひとつの物語(仕掛け)なのです。

ニールはどこから来て、何者だったのか

これはここまで読んでくれたみなさんに残すクイズです。

もちろん勘のいい方はもうわかっているでしょう、一体ニールとは何者だったのかと。

ここに書こうか迷いましたがこの答えはぜひコメント欄でみなさんの考えを聞かせてください。楽しみにしています。

「無知は最大の武器」そう彼はもちろん自分の最後を知りません。知っているのは未来は自分の行動によって変えられる(救われる)ということだけです。

さあ、みなさんも今日、(もしコロナ禍で)どんなに苦境に立たされていても未来を信じて一歩踏み出しましょう。未来はだれのものでもありません。決定した未来が来ることはありません。未来はあなたの手の中にあり、未来はいつだってあなた次第なのです。

主人公がTENETを創設するまで

名もなき主人公は、全てを知っています。

そして未来への歩みを始めました。いつかニールと出会う日まで。

この世界の終末を救う物語の中に二人の友情の物語がループしているところにこの作品の最大の魅力があります。

どうでしょう?

多くの人が解説してくれる重要な点も見逃せないのですが、この時間の流れが頭に入るだけでこの映画がどれほど脚本が練られて、なるべくそのストーリー展開に矛盾が起きないよう撮影が工夫されているかを理解すると、単に小難しいタイムパラドックスの映画だとは思わないはずです。

TENETは映画の物語で言えば、順行の主人公は名もなき男で、逆行の主人公がニールなのです。

みなさんのTENETを理解する上で、少しでも役に立てば幸いです。

———

謎として残っていること

この記事を読んで答えを知っている人、私はこう思うというのがあればぜひコメントで意見ください。

  • プリヤは未来から逆行してきたのか、それとも最初から順行の世界にいた人物なのか
  • プリヤはどうやって時間逆行のことを知ったのか、技術を手に入れているのか?
  • プリヤは未来の主人公が用意した人物なのか、もともといた人物なのか
  • 主人公は結局未来から逆行したのか(逆行せずニールにその指令を託したと思う)
  • TENET部隊は未来から逆行してきたのか、ニールが現代で組織化したのか
  • 未来のTENET組織は理解したが、現代のTENET組織ははいつから存在するのか、オペラハウス事件のはるか前だと思うがいつなのか
  • だれが現代のTENETを作ったのか、ニールなのか、だとすればニールはもっと昔まで逆行して組織を作りながら順行で戻ってきているのか
  • セイターはそもそもどうやってアルゴリズムのことを知ったのか
  • セイターはどうやって残りの8つを集めたのか
  • アルゴリズムを発見した科学者はどうやって過去にアルゴリズムを隠したのか
  • 隠したのは9つの部品なのかただの数式(アルゴリズム)なのか
  • 人間が逆行できる時間の幅は自分の寿命の時間が限界なのか
  • 逆行の時間でも若返りせず、相対的に自分の時間が順行で進むようだが歳を取るという理解でいいのか
  • 未来から持ち込まれた壁に打ち込まれた逆行弾が戻る銃をどうやって見つけたのか

などなど、まだまだ不思議ネタがいっぱいです。


考察

渡部薫 / Kaoru Watanabe

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

過去の記事

ページの先頭に戻る↑