山尾志桜里議員、比例東京・単独1位で衆院選へ!その意味とインパクトとは

こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。

昨日、シン・国民民主党の山尾志桜里議員が記者会見をし、東京の「比例単独1位」で次期衆院選に臨むことを発表されました。

山尾志桜里氏が比例東京「お国替え」低迷国民救うか(日刊スポーツ)

「予想外」と言って良い選択で、業界的にはなかなかインパクトがあるなと感じました。私、東京都選出の議員ですし。

と言っても選挙制度に詳しくない方にはイマイチ「?」な部分もあると思いますので、なぜこれがインパクトがあり、山尾議員にとっても国民民主党にとっても挑戦的なのかを簡単に解説します。

衆議院選挙は小選挙区比例代表並立制、比例代表は拘束名簿式

まず多くの方はご存知の通り、我が国の衆議院選挙は「小選挙区比例代表並立制」となっておりまして、個人名を書く小選挙区と主に政党名を書く比例代表という2つの選挙に「重複立候補」が可能です。

多くの候補者はこの重複立候補をするわけですが、「比例単独」ということは後者のみにエントリーすることになります。

そして衆院選の比例代表選挙は「拘束名簿式」という、政党が予め当選順位をつけて名簿を提出しておき、その順位に従って獲得議席数分の当選者が誕生する形式となっています。

これと異なるのが参議院全国比例の「非拘束名簿式」で、こちらは候補者名による投票も可能で、得票数の多い候補者から順番に当選していきます。ややこしい…!

今回、山尾議員は東京ブロックの「比例1位」ということなので、仮に国民民主党が東京で比例1議席を獲得した場合、他の小選挙区の結果如何にかかわらずその場で当選が確定します。

国民民主党で東京ブロックから挑戦する小選挙区候補者は復活チャンスを失う

ここで気になるのは、小選挙区制度との関連です。

よく「比例復活」という単語が飛び交っていると思いますが、「惜敗率」といって小選挙区の結果で惜しかった順に比例代表選挙で復活当選していく光景をよく見ると思います。

これは政党が小選挙区から重複立候補している候補者たちを全員「同率1位」として比例名簿を提出しているからで、同率1位の場合、小選挙区の「惜敗率」によって当選順位が確定します。

比例議席が3つだった場合、小選挙区で敗北した候補者のうち、惜しかった順に上から3人が当選するわけですね。

ところがこの時、名簿の「単独1位」の人がいると惜敗率に関わらずその人が一抜け当選するので、小選挙区から挑戦する人にとってみれば当選するチャンスは大幅に下がります。

今回、山尾志桜里さんは小選挙区には立候補せずに比例単独1位ということなので、比例議席さえ獲得できれば当選へのゴールデンチケットです。

一方で、小選挙区でしのぎを削って比例復活を目指していた他の予定候補者から見れば、せっかく獲得した比例議席を山尾議員に確実に持っていかれるということで

「全員納得している」

と玉木代表は記者会見で説明されていたものの、内心はかなり複雑なものがあるのではないでしょうか。

単独1位でも、山尾議員&国民民主党にとって「挑戦」ではある

そして前述の通り、ある程度の規模の政党であれば「比例単独1位」は超優遇された当選へのゴールデンチケットですが、国民民主党の場合はやや事情が異なります。

というのも、昨年の参議院選挙実績や今の党勢から考えれば、国民民主党が東京ブロックで比例議席を獲得できるかはわりと微妙な状況だからです。

東京で比例議席を獲得するのに必要な票は30万票超と言われていますが、昨年の参院選東京ブロックにおける国民民主党の各得票数は約27万票でこれに届いていません。

だからこそ知名度のある山尾志桜里議員を比例単独とすることで、

「彼女を受からせるためには、2枚目の投票用紙に政党名を書かねば!」

という状況をつくり出して底上げを狙うという戦略ですが、立憲民主党との分裂もあって果たして上手くいくのかどうかが焦点となります。

というのが現状説明でありました。

国民民主党の党勢拡大を目指すだけであれば、都内の目玉小選挙区&比例重複という選択肢も十分にあったと思いますが、そこは立憲民主党への配慮もあったのではないかなと個人的には推察しています。

「目玉」と目されるような選挙区は立憲(野党統一)候補がほぼ確定しており、今からそこに入り込むことはハレーションを起こしかねないからです。

最近の山尾志桜里議員の言動には注目すべき部分はありますが、選挙となれば他党のライバル。

一票たりとも比例票を渡さないよう、2枚目の投票用紙には「維新」と書いてもらえるように、我々も全力で活動をしてまいります。

(本件は動画でも解説中!)

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年9月24日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。