なぜドラマ「半沢直樹」にこれほどまで熱狂したのか?

2020年09月29日 06:00

27日、最終回を迎えたTBS日曜劇場「半沢直樹」。
いやぁ、面白かったですね!
最終回の平均視聴率はビデオリサーチの調べでは32.7%というのですから、テレビ離れが叫ばれる現代では驚異的な数字ではないでしょうか。

写真AC:編集部

なぜあのドラマはあんなに面白く、そして観ていた人達に熱狂的に受け入れられたのでしょうか?

主要な出演者の皆様に歌舞伎役者さんが多く、セリフもわざと不自然かつ大仰な言い回し。しかも現実には「こんなこと有り得ないだろう!」とところどころ突っ込みたくなるような展開。それでも毎回ワクワクドキドキが止まらなかったのは何故なのかな?と考えてみました。

そもそも「半沢直樹」は今どき珍しい位の勧善懲悪のお話しでした。

弱気を助け、強気をくじくヒーローが半沢直樹。しかも敵は、政府であったり、巨大銀行であったりと、庶民がとてもかなわないと思える、闇のベールに包まれた人たちなんですね。そこに敢然と立ち向かうのが、コネも力もお金もなさそうな、社宅住まいの一銀行員の半沢。

しかも半沢の根底に流れる思想が「懸命に夢や希望を持って生きる庶民を手助けするのが、真のバンカーの勤め」であり、それを口だけじゃなく本当に実践してくれる頼れる男なんですよね。このシュチュエーションが我々庶民に夢と期待を抱かせてくれましたね。
「そうだ!そうだ!その通りだ!」と、日頃なんとなくモヤモヤしているうっぷんを言語化してくれているような、爽快感がありました。

さらによかったのは「チームワーク」が強調されていたこと。半沢一人では成し遂げられないことも、社内の情報通や、かつて半沢が助けたIT会社の社長や、子会社の社員など、半沢と思いを一つにする人々が、それぞれの得意技を生かして、困難を突破していく姿が、単なるスーパーマンではないリアリティさを醸し出し、「友情っていいなぁ」と、漫画「ONE PIECE」に通じる気持ちにさせてくれました。
特に全編を通して、味方であり続けた及川ミッチ様は良い役柄でしたね~。

そして常に予想を裏切り続ける展開。
「なんちゅう嫌な野郎だ!」と思うような人が、案外深い思慮の上の行動だったり、かつて敵対関係にあった人も、巨悪を倒すために協力し合う展開になったりと「またこいつが何か意地悪をしかけてくるんじゃないか?」と、視聴者をハラハラさせながら、良い方に裏切っていくんですね。
こうしたドキドキする緊張状態から、ホッとした緩和が繰り返されることで病みつきになっていくんですよね。
まるで時々しか当たりがでないからこそハマるギャンブルのようです。

そしてホッとする緩和剤の一つになったのが、半沢の妻を演じた上戸彩さん。終始コミカルな役柄で、半沢が出向を命じられようが、クビになりそうな大ピンチの状況になろうとも、夫、半沢の頑張りを認めてくれる奥様の存在に、半沢ともども視聴者も救われましたね。私なんぞも「生きていればなんとかなるって!」というセリフに大きくうなずきました。

そして最終回の白井大臣!

国会議員の秘書役を務めたアンジャッシュの児島さんともども見事に良い方に裏切ってくれて「おぉ!そうきたか!」と、快哉を叫んでしまいました。あの白井大臣に求める清廉潔白さと、潔さ、最終的には男社会に取り込まれない決断は、今、国民が政治家に求める姿だったのではないでしょうか。あんな女性議員が本当に現れたらいいですよね。

悪役、憎まれ役になった俳優さんたちの名演技も光っていて、特に幹事長を演じた江本明さん、まさに怪演でしたね。心から憎たらしく、ずるくて、悪くて、しかも画面に映るたびに恐かったです。

結局のところ「半沢直樹」の根底に流れていたものって、正義を貫く勇気や、チームワーク、長いものに巻かれないという、皆わかっちゃいるけど、日常生活の中でなかなかできないことを、やり遂げていく人達を見ることで、希望とか勇気、そしてやる気を貰えたからここまで受け入れられたのではないでしょうか。
不安や心配を煽り、人を叩き潰すような誹謗中傷ばかりが蔓延している最近の地上波の中で、一服の清涼剤となっていた気がします。

そしてこのドラマがこれだけ受け入れられたということは、みんなまだまだ良い社会になること、そうできると信じている気持が強いのだな思いました。小さな力でも、きっと成し遂げられる!そんな希望が貰えた気がします。

ただ一つ問題なのは「半沢ロス」。これ、しばらく引きずりそうです。続編をのぞみます!

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田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表

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