政務活動費で公選法違反の広報紙配布 ⁉︎ 〜 京都・久御山町からレポート

2020年10月02日 06:00

写真AC:編集部

地方議員の政務活動費の不正支出が報道されるたびに「またか」と感じるのは私だけではあるまい。先般も京都市議会である議員が政務活動費を「二重計上」するという不正支出が明らかとなった。「二重行政をなくす」と主張している議員が政務活動費を「二重計上」するのは笑い話にもならない。

京都市議会の政務活動費は議員個人に月額40万円。これとは別に所属会派にも議員一人あたり14万円が支給される。同市議会では、これらの政務活動費の収支報告書と領収書等はオンライン公開されており、透明性については評価することができる。

一方、わが京都府久御山町議会の政務活動費は議員個人には支給されず、所属会派に一人あたり月額5000円が支給される。無会派議員は議員個人に月額3000円が支給される。ちなみに町村議会では政務活動費制度がないところも珍しくない。政令市の市議会議員と町村議会議員は同じ「地方議員」という括りになるが政務活動費の支給額には雲泥の差がある。

久御山町議会でも収支報告書はオンライン公開されているが、領収書等については広く公開されておらず、議会事務局まで出向いで閲覧請求をしなければならない。透明性を確保するためにも領収書等をオンライン公開するべきである。

京都市議会では前払い方式となっており年度末に残額があった場合には返還することになっている。久御山町議会では後払い方式となっている。従前は、久御山町議会でも前払い方式となっていたが「前払いが『使い切り』を助長している。より適切な支給方式にしたい」(当時の議会運営委員長)として後払い方式になった経緯がある。

確かに前払い方式は使い切りを助長することになる。一度受け取ったお金は返したくないという心理は否定できない。捜査当局に「政務活動費を使い切るために領収書を偽造してしまった」と供述した元県議もいる。

ところが後払い方式で議員の意識が変われば良いが、実際には他の議員から「使い切らないともったいない」という声を何度か聞いたことがある。結局のところ議員の意識が変わらなければ意味がないということか。議員は政務活動費の原資は税金であることを忘れはならない。

さすがに久御山町議会のような政務活動費が少額な議会では領収書を偽造するような悪質な不正が起こることは考えにくいが、次のような事案があったことを紹介したい。

ある議員が自身の議員活動を報告する広報紙を印刷し、久御山町全域に配布したのである。私のポストにも広報紙が投函されていた。この広報紙の冒頭には以下の文言があった。

「昨年、3期目の地方統一選挙『町議会選挙』では、もう一度町議会へと押し上げて頂き本当にお世話になりありがとうございました」(原文ママ)

公職選挙法178条は、選挙期日後の当落に関するあいさつ行為を制限している。戸別訪問したり印刷物を使ったあいさつ行為は禁止されている。あいさつ行為が選挙期日後から一定の期間が経過していたとしても違法性は阻却されないと解される。

従前はインターネットを使用したあいさつ行為も禁止されていたが、現在は解禁されている。当落に関してあいさつ行為をすることは社会通念上通常のこととも考えられるが、お金を持った候補者が選挙区内のあちこちにあいさつ状をばら撒くことを禁止する趣旨と考えられる。また戸別訪問であいさつ行為をすれば事後買収が発生する恐れもある。

つまり当選のお礼の文言が記載されている、この広報紙は公職選挙法に違反する疑いが強いわけである。この議員は公職選挙法の無理解からこのような広報紙を印刷・配布したようだ。そして、この議員がこの広報紙の印刷・配布代に政務活動費を充てようとしたことを知った。

確かに広報紙の印刷・配布代は「広報・広聴費」として政務活動費から支出することが認められている。しかしながら、公職選挙法違反の疑いがある広報紙の印刷・配布代に政務活動費を充てることが許されるはずはない。そのため私は、議長を通じて政務活動費を充てないようにはたらきかけをおこなった。

私のはたらきかけにより、この議員は自身の広報紙の違法・適法性について久御山町選挙管理委員会に照会することとなった。私が見込んだとおり、選管の回答は「広報紙の文言には公職選挙法違反の疑いがある」というものだった。

選管の回答を受けて、結局、この広報紙の印刷・配布代に政務活動費が充てられることはなかった。といっても公職選挙法違反の疑いがある広報紙が配布されたという事実が消えるわけではない。政務活動費が少額な議会においてもやはり住民の監視が必要であることを認識した事案である。

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芦田 祐介
京都府久御山町議会議員(地域政党 京都久御山党)

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