外国人入国1日2万人検査体制の本意

2020年10月04日 11:31

厚労省は外国人の入国制限を10月から1日1000人上限として受け入れ始めていますが、共同通信の記事によるとこれを近いうちに1日2万人まで検査体制を増やすと報じています。先日のブログでオリンピック開催を考えるなら2カ月に一度ぐらいのペースで緩和策を提示していかないと準備ができないだろうと申し上げましたが、どうやら厚労省のこの計画はその一部をなすように見えます。

イラストAC

テレビニュースで成田に着いた外国人が「これからタクシーに乗ってホテルに向かいます」と言っていたのですが、いわゆるタクシーは公共交通機関の一部で許可されるハイヤーと区別されているのですが、外国人はその違いを表現しなかったのだろうと想像しています。ただ、検査体制を整えつつあるということは1日2万人の外国人の入国を想定しているわけでそうなると本当に隔離制限のルールが守られるのか、私には疑問なのであります。

そもそも日本は2週間の隔離についても諸外国とくらべ管理は緩いとされます。(強制力の問題でしょうか。)例えばカナダでは隔離期間に隔離者に当局からランダムで電話が掛かってきます。さらにはスマホの位置情報を登録するので登録住所から違うところにいると連絡がきます。またランダム電話の際に電話に出ないと監視対象になり、検査官が登録住所に来ます。私もそういう場に居合わせたことがあります。カナダはその点が厳しいのです。

さて、1日2万人検査体制の本意を考えてみましょう。それだけの人が入国後、2週間隔離されるということは2万x14日=28万室の部屋が必要になります。では成田にはどれだけキャパシティがあるかと言えば64施設9300人レベルです。羽田は125施設、10400人レベルです。日本の玄関口の収容キャパは両方足しても2万しかないのです。仮にハイヤーで都心など他のエリアにもいくとなれば話は別ですが、それでも間尺に合わない話なのです。

ここは私の想像なのですが、もしかしたら2万人体制とは隔離そのものを撤廃するか、短縮する前提ではないかという気がしないでもありません。そもそも外国人が入国するには出発国で一定の期限内(出発の3日以内程度)にPCR検査を受け、陰性証明を取得、かつ、入国空港で再度PCR検査を受け、陰性であれば潜伏期間の問題はありますが、隔離義務を緩和する検討をしているのかもしれません。

私どもがバンクーバーでビジネスマン向けに行ったウェビナーの際のアンケート調査でも2週間の隔離が両国(日本とカナダ)で課されるため、飛行機はほぼ毎日複数のフライトがあっても実際にはいけないという声がほとんどでした。

今回の外国人向け緩和は長期で日本に住むような人を対象としているので隔離は日本側だけで済むのですが、短期商用目的の人にはその目的を物理的に達成できないわけで一般のビジネス会合や視察、さらには例えば私を含めた海外に住む130万人を超える日本人がビジネス目的や冠婚葬祭で行き来することは不可能なのです。

ところでこの隔離政策も国によって温度差はあります。アメリカは感染リスクが高い国から来た場合可能な限り自宅に待機するといった具合で強制力という点ではカナダとはかなり相違します。

経済やオリンピックだけを考えるなら2週間の隔離は何らかの改善が欲しいところです。一方でさっぱり沈静化しないこの状況ほど読みにくいものもありません。ましてや陽性になれば病状以上に周りからの目線や態度を含め、嫌な思いをしなくてはいけません。

オリンピックに向けた準備は進むものの日本だけが門戸を開けても他の国が同調しないと広がりはありません。ワクチンはもう少しで出回り始めるのでしょう。それでもそれが普及するまでには半年や一年はかかりそうです。とすればこの状態はまだまだ続くとみた方がよいのかもしれません。

いくら耐え忍んでも先が見えない長さになるとどんな人もメンタル的には厳しくなります。私もややあきらめの境地すらある今日この頃です。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年10月4日の記事より転載させていただきました。

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