外食に求めるもの、求めないもの

2020年10月11日 14:00

コロナ禍で外食産業にも大きな変革が訪れているようです。その最大のポイントの一つは居酒屋の不振であります。日本フードサービス協会がまとめるタイプ別売上高変化の推移をみるとファーストフードがコロナでの落ち込みを最小限に抑えている半面、居酒屋は4月に9割減を記録した後、回復の兆しがあったものの7月以降、再び下落に向かっており、出口が見えない状態になってきています。

S-cait/写真AC

そんな中、ワタミは居酒屋業態の120店を焼肉店に変えると発表しました。そしてその焼肉も回転すしのように注文した生肉がレーンを滑ってきてくる仕組みで非接触の新業態に転換すると発表しています。

以前、ユニクロの柳井正氏が「コロナは変革を10年促進した」という趣旨のことを述べていましたが、外食産業も同様で時間が経ち回復できる業態と回復しない業態があるとみています。そして個人的には居酒屋は市場規模を相当落として下限を探る展開になるとみています。なぜか、と言えば時代に合わなくなったからであります。

実は私は居酒屋系が大好きで日本でも一人でふらっと焼き鳥屋とかに入って悦に入るのであります。ですが、それはちょっと飲みたい、ちょっと食べたいという小腹を満たし、軽い酔いを求めるだけで飲んでいる間はせいぜいスマホをいじるぐらいしかやることがありません。

では誰かと行くとなると最近、居酒屋に行こうという選択肢が減り、テーマ性のある専門店の声が圧倒的に多いのです。つまり壁一面に読み切れないほどメニューがある居酒屋は売りがどこにあるか見せずらいのだろうと思います。

次に料理宅配が非常にポピュラーになり、食の形態で新しい市場を作りつつあるとみています。日経には配達員が延べ4万人に達したと報じられています。身内で食べるなら手軽さとレストランの味を自宅で堪能できること、更には飲み物が安く収まることからコスパが良い点はあるでしょう。

これはレストランが店内飲食重視型からキッチン型に変わることも意味しています。極端な話、ブランドネームがある飲食店が住宅街のど真ん中にある潰れそうな飲食店を買い取って宅配基地にしてしまえば無限の広がりができるでしょう。

例えば武蔵小杉や湾岸の高層マンション群のそばなら宅配需要の潜在市場は巨大だとみています。考え方としては店には10組、20組しか入らないけれど宅配なら何組でも受けられる、つまり売り上げは2倍3倍になるチャンスがあるのです。また、その基地は一等地である必要性は全くないのです。

ところでアメリカ。労働市場の規模からすると産業別では2番目に大きくなるこの外食産業は9月末で閉鎖したのが10万軒、比率にして15%強、雇用にして300万人が奪われた状況にあります。また倒産も相次いでいます。業界は必死に政府に支援を求めていますが、明白な態度は示されていません。何故でしょうか?

日米ともに飲食業の起業は入り口のハードルが比較的低い業態です。個人経営者も多い中、経営基盤が強かったわけではないのです。その中で先日も指摘したようにコロナ禍であらゆる産業にその影響が出ており、その業種だけに的を絞った支援は難しいのが現状だと思います。

その点、GoToイートはプレミアム付き食事券を打ち出していますが、単なるお得感だけで中長期的な根本的支援になるかは別問題だと考えています。そもそも食事券などは金券ショップに行けば2割引き位の株主優待がかなり出回っていたわけで私からみれば目新しさはまるでありませんでした。

もっと発展的に考えると友人といろんな宅配を試したいという需要が生まれるかもしれません。いわゆるフードコートの高級版(たしか日本でも日比谷あたりにフードトラックが集まるエリアがあった記憶があります)で道路を封鎖し、テーブルをたくさん並べるようなスタイルが普及してもおかしくないし、飲食店はそのフットワークの軽さが勝負どころになるかもしれません。

今後、従来型のレストランとして生きていけるのは懐石やフランス料理などコースといった接待やサービスの強化が求められる分野になるとみています。中途半端は何事もダメ、ということではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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