望月記者の橋下さんへの“ファクトチェック”に大失笑

新田 哲史

橋下徹さんとは面識はないし、世間ではほとんど無名の筆者のことなぞご存知ないはずだが、東京新聞の望月衣塑子記者との絡みにツイッターで言及したら、初めて反応された“形跡”があったので、ちょっと驚いた次第だった。

騒ぎは先週のネット上で、橋下さんがツイッターで、望月氏を批判したことに端を発する。

橋下徹(@hashimoto_lo)twilog 2020年10月13日(火)

どうやら橋下さんに対して望月氏が取材依頼をしたようだが、その前に橋下さんの番組が彼女に出演依頼をしていたのに無回答だったらしい。これが事実であれば、橋下さんならずとも「自分たちへの依頼に対しては無回答のまま、私には依頼するという姿勢はあまりにも不合理」と怒るのは致し方あるまい。

さらに、このとき、望月氏が橋下さんに依頼したという中身が気になっていたが、どうやら話題の学術会議絡みだったようだ。上記ツイートの数日後に、東京新聞の朝刊で望月氏の署名記事が掲載された。橋下さんの「事実誤認」ツイートをあげつらい、「学術会議に関して誤った情報が著名人や記者らによって拡散している」などとファクトチェック的な切り口で批判している。

「デマです」と橋下徹氏のツイートに批判 学術会議問題で誤情報が拡散(東京新聞)

要は、英米の学者団体に税金投入がないかのように橋下さんが論評したが、全米科学アカデミーや英国王立協会には公的資金が投入されていたのが事実ではないかということだ。これについては橋下さんが「説明不足だった」として軌道修正をしたことも記事では取り上げているが、筆者の脳裏には「笑止千万」の四文字しか浮かばなかった。

それは橋下氏に対してではない。この記事を書いた望月氏にだ。

望月氏は人のことが言えるのか?

もう何度もアゴラなどで筆者は取り上げているが、望月氏こそツイートで事実誤認、虚偽を振りまき、物議を醸してきたことは一度や二度ではなかったはずだ。その多くは訂正も削除もしていない。

これも何度か指摘しているが、代表的なものを改めて2つ挙げる。まずは2017年5月、眞子様の婚約発表を巡って、加計学園問題への注目度を下げるために、官邸がNHKに婚約をリークしたとする内容だ。

そういう「噂」を取材現場で聞きつけたのは事実なのかもしれないが、世紀のスクープを抜いたNHKの宮内庁キャップは社会部所属であり、官邸と日常的に接点があるわけではなく、どちらかといえば秋篠宮様との関係のほうが遥かに近しかった。

バズフィードのはたち氏風に言えば、こんなものは「根拠不明」でしかない代物だが、リツイート数で5000を超え、今でもネット上に放置されたままでいる。

そして、もう一つは社会的に物議を醸した今年1月のこれだ。官邸詰めの記者たちが望月氏に「指させない」ように内々に決めた、と言い切った。

これについては、犯人扱いされた番記者の1人である毎日新聞の政治部記者が後日、「特定の記者を『指させない』と決めたり、話し合ったりしたことは一切ない」と反論記事を書き、この記者から望月氏は「メディアの世界にいる者として情けない」とまで三下り半を突きつけられている。東京新聞は抗議を受けたが、望月氏は削除に応じていない。

先日も書いたように、望月氏はいまや「銀幕のスター」にまでなってしまい、東京新聞は極左の愛読者の支持をつなぎとめるために、彼女を「治外法権」にせざるを得ないのだろう。同社のガバナンスはすでに破綻しており、同僚の社会部記者が厚労省への取材で暴力的行為に及ぶ事態になったのは記憶に新しい。

笑止千万なファクトチェック

そんな望月氏によるファクトチェックなど、全く説得力を欠いている。そして、これだけ数々の問題を起こしている望月氏に対し、ファクトチェックを売り物にしているバズフィードジャパンは検索する限り、一度も取り上げていない。

アメリカのリベラルメディアが、トランプ大統領の批判のネタにファクトチェックを駆使しているのを見れば明らかなように、ファクトチェックなるものは党派性を実質的に帯びている。権力者が誇張やデマを繰り返すのは問題だが、リベラルメディアが「ファクトチェック」を振りかざすのを見せられ続けていると、情報戦や言論戦で優位に立つための「怪しげな代物」にしか思えない。

そもそも保守だろうが、リベラルだろうが、プロのジャーナリストであれば正確な事実に基づいて発信しようと心がけるのは当たり前だ。望月氏やバズフィードが党派性を覆い隠すための正論ヅラをしたところで、ちゃんちゃらおかしい。特に前者は「人の振り」を論難している場合か!