日本に反論するあの国も放出している

福島第一原発にたまり続けている処理水を海洋放出する方針を政府が固めたようです。

東日本大震災の際に、原発事故が起きてしまった福島第一原発は廃炉になることが決まっており、現在は廃炉にむけた作業中が行われており、放射性物質に汚染された水が180トン(19年度)も毎日発生しています。その水から放射性物質を処理した処理水が、敷地内のタンク1000基に約123万トン(9月17日現在)が保管されています。

しかし、処理水をいつまでも地上に溜め続けることは当然続かないわけで、今回の海洋放出になりました。だったらなぜ、もっと早く放出しなかったんだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、福島の地元の皆さんとの合意を得るために丁寧にやってきたという言い方もできますが、はっきり言って政治家が決断できなかった結果とも言えます。

汚染物質を取り除いた処理水には、科学者でなければなかなか理解できない物質だと思いますがトリチウムという物質が残るそうです。トリチウムは確かに放射性物質なんですけれども、トリチウムは水素の仲間で、水から取り除くことができないそうです。問題はこの物質が自然環境を破壊し、海洋汚染し、大変な事態を引き起こすかどうかということです。

実は、トリチウムは自然界にも存在します。大気中、雨水、さらには海洋水そのものだし、なんと水道水にも含まれています。世界中の原発からも最後の最後までトリチウムだけが残った処理水は出てくるので、国際原子力機関はその基準を明確にして放出をするようにしています。

日本ではその国際基準よりも厳しい基準を設け、1リットル当たり6万ベクレルという基準でこれまで海洋放出してきました。この基準を算出した根拠は、ヒトが1年間に摂取する水(1トン)が全てその濃度であったとしても内部被ばく量として1ミリシーベルト以下になる濃度だそうです。

そして今回放出するにあたって、今までの基準よりさらに500倍以上水で薄めて海洋放出するという基準を新たに作ったことで、今までの40分の1以下にして放出するとのことです。今までよりも格段に厳しい基準ですから、海洋汚染にも人体の影響にも繋がらないと科学者が言っていますので、だったら何で問題があるのかと皆さんは思うでしょう。

そう、科学的には問題はありませんが、一つだけ問題が残ります。それは風評被害です。「なんか嫌だ」「大量に放出して大丈夫なのか」というような不安感、そして福島の漁業者の人たちにとってはこれまでも了承できなかったことに加えて、今後その風評被害を懸念するわけです。

しかし、先ほどから言ってるように科学的に大丈夫なものは大丈夫ということで、大阪府の吉村洋文知事が「科学的安全基準を満たした処理水を、大阪湾に放出する。国からの要請があれば協力すべきと思ってます」と表明しました。私が横浜市長であっても、どこか別の首長であっても同じこと言います。

一方風評を製造する人たちもいるんですね。日本でも反原発運動で科学的にクリアにされたものまで否定する人たちはいますけれども、あんまり言いたくないし悪口を言うのも嫌なんですが、あの国の人たちです。韓国の国会で、厳在植(オム・ジェシク)原子力安全委員長が「セシウムなどで70%以上汚染されているのは確かだ」「海洋放出すれば、放射性三重水素の海洋拡散は避けられない」などど嘘の答弁を行い、国会でそしてメディアでまた大騒ぎして、韓国国民が信じてしまうのでしょう。

要は何でも反日を煽り立てていく政治家の手法。それで支持率がアップしてしまうからですが、嫌になりますね。言っときますけど、韓国には原発が24基もあり、韓国の月城(ウォルソン)原子力発電所からは年間140兆ベクレル(放射能の測定単位)のトリチウムが排出されています。そんな批判するならば、まずはあんたたちがやめて、そして日本海の魚食べるのやめなさい。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年10月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。