都構想でNHKが偏向報道? 疑われる公共放送の役割

中田 智之

大阪都構想を巡る賛成派と反対派の情報合戦が日々激しくなる中、NHKは反対派の主張に基づき結果を大きく左右しかねない報道をしました。

編集部撮影

(参考)特別区でコスト218億円増試算 ― NHK NEWS WEB(2020年10月26日)

しかしこれは後に大阪都構想賛成派が精査する中で、極端な切り取りによる印象操作であることがわかりました。

判断の中立性、不偏不党を謳い、社会の公器としての公共放送を自認するNHKが、後追いとはいえこのような報道をした上で、未だに訂正あるいは具体的な反論意見の報道を行わないのは、その役割を果たしていると言えるでしょうか。

NHKが今後、初報と同等の時間を使い、訂正あるいは反論意見の報道を行わないならば、その公共性は説得力を失い、多くの国民に受診料負担をもとめる論拠を失うのではないでしょうか。

詳細は音喜多議員の記事「意見の相違は認めるが、数字やファクトの捏造は許せない!大阪都構想反対派の欺瞞」にありますが、コスト200億円増加というのは4つの政令市を作った場合の試算であり、都構想に基づいて特別区にした場合のランニングコストは30億円とずっと小さく、府との役割分担の整理によってさらにコスト減できるというのが実際です。

確かに200億円増加という資料があったのは事実ですが、続く文脈を無視し、反論に関する報道を十分にしていかないのであれば、果たして有権者に正しい判断をしてもらうために、中立な情報提供をしているということができるのでしょうか。

確認が不十分だったとはいえ後追い報道をしたのは仕方のないことなので、今後再検証をするか、橋下徹氏や音喜多議員といったメディア向きの都構想賛成派論客がしっかり説明をする機会を設けるべきかと思います。

また本件の情報源としても疑惑があるとすれば、NHKは公共放送としての範を示すチャンスとも考えられますが、今後の動向を見守りたいと思います。