コロナ感染より「コロナ風評被害」を恐れる日本人

内藤 忍

繁華街に人出が戻ってきました。最近出かけた赤坂では、満席で入らないお店もあって、何とか入れた寿司店もほぼ満席の盛況でした。久しぶりに朝の通勤時のメトロに乗る機会もありましたが(写真)、以前よりは空いているものの車内は完全な「三密状態」でした。

コロナを恐れなくなったというより、コロナに慣れて、現実的な対応を始める人が増えてきたのではないかという感じです。

感染についてはあまり気にしなくなっても、風評には相変わらず神経質な人たちがたくさんいます。

とある大手銀行の担当者と話したところ、その銀行では今も夜の会食は原則禁止されているそうです。取引先からの依頼で断れない場合だけ、例外扱いとのこと。

行員同士で出かけて、もし感染して社名が出たりすると大問題なので、社内の送別会、歓迎会などの行事は一切なし。このままいけば、忘年会、新年会もなしでしょう。

プライベートを会社が制限するのは、基本的人権の侵害だから黙って出かければ?と言っても、万が一感染して社名が出たらと思うと、怖くて外食できないとこぼしていました。

ここまで厳しいルールにしていない会社でも、社員同士で飲みに行くのは、感染した時にメディアに社名流出リスクがあるから、それなりの覚悟が必要になっているようです。このような風潮がいわゆる飲みにケーションを減らし、団体目当ての飲食店の経営不振につながっているのだと思いました。

コロナ感染よりも、感染を世間に知られることを恐れる。フランスをはじめとする欧州などでは感染者が再拡大している中、日本だけが何だか独自のコロナ対応をしています。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年10月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。