家具業界の変

2020年10月30日 14:00

コロナが変える世界の話は何度もしましたが、家具業界の再編が面白くなってきました。ホームセンター業界2位のDCMが家具業界で3位の島忠に友好的TOBを仕掛けていたものの家具業界ダントツ1位のニトリがDCMのTOB金額を3割も上回る価格で島忠の最低50%、できれば全株取得に動きました。

(ニトリ、DCM、島忠各社HPから:編集部)

(ニトリ、DCM、島忠各社HPから:編集部)

一方、家具業界ではトップ10にどうにか引っかかるぐらいの大塚家具の大塚久美子社長がついに辞任することになりました。辞任とは自分から辞めるという意味ですが、親会社であるヤマダ電機に救済してもらった際のお約束の業績回復が達成できなかったため、切腹するようなものであります。辞めない選択肢がなかったということではないでしょうか?

私は少し前のブログでアメリカの上場会社はどんどん減る一方なのに日本の上場会社は増える一方だと申し上げました。いつもの説明の切り口になるかもしれませんが、日本は農耕民族なので他人の田畑は他人の田畑、自分は与えられたところをしっかり耕作するという発想です。一方、いわゆる大陸は狩猟型ですので相手が弱っていたり成長のチャンスと見ればいくらでも切った張ったの買収合戦が繰り広げられるのです。

では日本に狩猟型のM&Aが起きる環境が生まれるのか、であります。インテリア業界のランキングはニトリ、良品計画(無印)、島忠、コクヨでそれ以降は売り上げ額が一桁違っています。うち、良品計画はご承知の通り衣料、コスメ、食品、文具とかなり広範囲の商品構成で純粋なインテリア業界とは言い切れません。コクヨはご存知の通りオフィスインテリアに強みがあります。

では日本でインテリアブームを後方支援したスウェーデン発の世界最大の家具チェーン、IKEAジャパンはというと売り上げでニトリに8倍ぐらいの差をつけられています。売り上げベースでは先ほどのランキングに当てはめると6位になります。

ここで似鳥社長の立ち位置なのですが、同社はかつて一度もM&Aをしたことがなく、ずっと自社のブランドを育成してきたもののこのところ、あちらこちらの家具業界のトップと会ってそれとなく買収の可能性を探ってきていました。それは同社が圧勝する状態がいつまで続くかわからないという危機感の表れかと思います。そこで今回、すでにDCMが島忠にTOB中だったものに価格を上乗せする形で参戦したわけです。

成功の可能性ですが、私はTOBはできるかもしれませんが、島忠の買収はニトリの成長に寄与しないとみています。つまり、数字上は膨れるかもしれませんが、あとで頭痛のタネになるような気がします。なぜかと言えば今回の買収がユニクロの柳井会長と同じスタイルに見えるからです。

柳井会長はかつて狩猟型経営をまねたことがあります。いろいろ買ってきてはダメにしています。ナショナルスタンダード、アスペジ、キャビンは存在すらせず、大枚をはたいたセオリーはいまだに営業赤字。決算を見るとわかるのですが、同社の中でグローバルブランド事業だけは赤字なんです。なぜかといえばファーストリテイリングの経営=柳井正=ユニクロ風から抜け出せないからだとみています。その点、買収上手の日本電産の永守重信会長とは違うところです。

では似鳥社長はどうなのか、と言えばコツコツとニトリブランドを育ててきた中で島忠がブランドなのか、ライバルの家具屋なのか位置づけが不透明だと思うのです。つまり合併効果が見えないのです。それならばホームセンター最大手のDCMに買収してもらった方がはるかに効果は高いのです。あるいはニトリが島忠を傘下に収めたDCMを買収する方が面白いと思います。

ニトリとファーストリテイリングに見える買収姿勢とは業界のトップが業界内の勢力地図で圧勝を狙うスタイルです。織田信長や豊臣秀吉が全国制覇するのと同じ発想。しかし、これが本当にその業界にとって最善の解なのかと言えば違うと思うのです。ニトリならば小さくて失敗しても影響が少ない欧米の海外のインテリア会社の買収を狙い、そこで欧米インテリアのスタンダードを学ぶぐらいの方がよかったと思うのです。柳井会長も結局海外に飛び出してそれが成功したのです。

ちなみにニトリの商品はアジアでは受けるかもしれないですが、欧米では難しいと思います。商品として軽すぎる安っぽいプラスティック製に見えるのとひ弱な感じでしょうか?どちらが良いというのではなく欧米では受けにくいのです。良品計画(無印)が北米で苦戦しているのもテイストが合わないのです。IKEAの商品は実際にはチープなんですが、武骨さが受けているのです。その感性の違いが難しいところなのでしょう。

私がこの業界なら大塚久美子氏が抜けた大塚家具をヤマダから買収する方がまだ安く買えて可能性があると思います。あの会社と商品構成は激変させる潜在力があるはずです。なぜ、似鳥社長はたくさんある選択肢の中から最も難しいものを選んだのか、部外者ながら私には不思議でならないのです。

家具、インテリア業界から始まる業界再編は産業界の変革の予兆となるのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年10月30日の記事より転載させていただきました。

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