知っトク解説:今回は“デジタル通貨”

2020年10月30日 16:00

最近、よく聞くようになったデジタル通貨とは、通貨、すなわちお金をデジタル化したものを言います。

広くデジタル通貨といっても、その性格によっていくつかの種類があります。

まず、私たちが身近なところで使うようになっている電子マネーと言われるものです。

これはJR東日本のSuicaなどの交通系、イオングループのWAONなどの流通系、KDDIのau Payなどの通信系などがあります。これらは、買い物もできますし、日本の円を基準とした前払いの決済手段ですから、そうしたカードをプリペイドカードとも呼びます。通貨が基準ですから、例えば現金5000円をカードにチャージして使うことができます。また、電子マネーの中には、Tポイントなどのポイント系もあります。

二つ目の種類は、仮想通貨と呼ばれるものです。

ビットコインやイーサリアム、テザーなどいろいろな名称のものがあり、暗号資産とも呼ばれています。これらは通過基準とはなっていません。発行も国ではなく、それぞれが発行主体が管理しています。国を越えても両替する必要はありませんが、これを利用している個人と商店などでしか利用できませんから、世界中で不便を感じずに日常で使えるというような仮想通貨は、現在のところはありません。資産価値の値上がり期待など、資産効果や投機対象としての価値に着目して保有している人が多いという状態です。

三つ目の種類は、今後最も重要になってくると思われる中央銀行のデジタル通貨(中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency))です。

これは、各国の中央銀行が公式に発行するデジタル通貨で、お札や硬貨に代わるものとなりますが、現段階ではまだ正式に発行流通している国はありません。日本の日本銀行をはじめ、アメリカやヨーロッパ中央銀行などが共同で研究に入っていますが、現段階で具体的な発行計画はできていません。

CBDCが発行されれば、その国でこれまでのお札や硬貨のように使えることになります。そうなれば、お金を刷る印刷費がなくなり、お金の保管や銀行への輸送なども不要になり、通貨発行コストが下がります。また、お金の流れが把握でき、税金などの支払いが簡略化されたり、脱税をしにくくなることなどが予想される一方で、個人情報の保護などが大きな課題になります。

仮に、中国のデジタル人民元が世界に先駆けて発行され、経済力の弱い国でも使われるようになると、その国は中国の通貨圏に入ることになるので、その国の中央銀行が金利の調整などをできなくなり、通貨の自主権がなくなることが懸念されます。

複数の国でデジタル人民元が使われるようになると、現在は世界の基軸通貨であるアメリカのドルが中国のデジタル人民元に変わり、中国が世界の覇権国家になるということもあり得るので、日米欧の中央銀行によるCBDCの研究が急ピッチで進んでいます。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年10月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。

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中田 宏
元衆議院議員、前横浜市長

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