熊本豪雨災害:人吉市の復興計画策定委員となりました

2020年11月04日 06:00

今年7月に発生した豪雨災害により、最大の被害を受けたのが球磨川流域にある熊本県人吉市です。RCFでは人吉市への復興支援を開始していますが、ご縁いただいて、私も人吉市の復興計画の策定委員に委嘱頂きました。

人吉市の復興計画について

自治体は通常、総合計画に基づいて事業を進めていきます。しかし被災をすると、予算の多くは復旧復興事業に費やされることになるため、市政を大きく転換させる必要があります。そのため、復興計画を地域の中でオーソライズ(承認)させつつ、復興を進めることになります。

復興計画を進めるための前提となる復興基本計画はすでに市役所が策定し、公開されています。

ここでは3つの柱が示されています。「被災者のくらし再建とコミュニティの再生」「力強い地域経済の再生」「災害に負けないまちづくり」です。

まずはコミュニティ。被災された方は、住まいの復旧を数年越しで進めることになります。避難所から仮設住宅で過ごしたのち、自力で住宅を再建したり、復興公営住宅に移転します。近年はどこでも工事関係者が不足しており、再建に2-3年かかってしまいます。

住まいが落ち着いても、地域コミュニティ(つながり)の再建が必要です。被災された方に息長く寄り添いながら、地域の中での関係づくりを進めていく必要があります。
続いて産業。人吉市は温泉旅館を中心として、周辺の飲食や小売業が栄えていました。しかし球磨川流域にあった旅館が大ダメージを受け、1-2年越しの復旧が必要となっています。人の流れが戻るのも時間がかかる中で、周辺産業を支えていくことが課題です。

そして防災まちづくり。とりわけ水害は、頻繁に発生する可能性があります。まちを復興させるためには、再び水害が発生したとしても乗り越えられる、頑強なまちづくりを進めていく必要があります。

復興計画策定に向けて、何を提言したか

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私からは、復興計画策定に向けて、昨日は3点申し上げました。

1つ目は、被災者支援にむけて地域民間団体への支援が必要であること。被災者支援は、社会福祉協議会による「地域支え合いセンター」が役割を果たします。しかし支え合いセンターは公費で運営されているため、決められた範囲で、公平平等な支援を進めざるをえません。そこで、民間団体によって個々の事情に寄り添った支援を併用していくことが求められるのです。

2つ目に、緊急雇用事業の必要性を伝えました。被災した企業は、現在雇用調整助成金を通じて従業員を確保し続けています。特例による雇調金は延期されていますが、おそらく2021年3月末で区切りを迎える可能性があります。しかし旅館を中心に復旧は時間がかかります。被災企業は雇調金が切れると人材を一度手放さざるを得ませんが、そうした方が別の企業や地域に転職すると、いざ旅館などが復旧した時には、人材を再募集することが困難になります。

そこで、1年限定で復興仕事をになう緊急雇用事業を行うことで、従業員には復興を支える仕事をおこなってもらいつつ、1年後に復旧した職場に戻って頂くことが必要になります。

宮城県女川町では、被災した旅館がトレーラーハウスでの宿泊業をすすめ、従業員のみなさんにここで働いて頂きました。そうした取組が必要とお伝えしました。

3つ目にお伝えしたのは、市民の参画の必要性です。どうしても復興は行政による復旧工事が中心となります。しかし地域の方が復興に関われたとの実感(復興感といいます)を持って頂くことで、その後に地域は前向きに発展していきます。釜石市では「釜石○○(まるまる)会議」という取り組みを通じて、市民が復興について考え、関わるきっかけをつくりました。人吉市でも、市民が関われたと実感できる復興を進める必要があります。

復興において重要なのは2年目

復興計画は2021年3月までに策定されます。被災者にとっても、被災事業者にとっても、実は復興は2年目が重要になります。人吉にとって前向きな復興になるように復興計画づくりをサポートできればと思いますし、RCFとしてもこれまでの経験を生かして支援を続けていきます。


編集部より:この記事は、一般社団法人RCF 代表理事、藤沢烈氏の公式note 2020年11月3日の記事を転載しました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は藤沢氏のnoteをご覧ください。

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藤沢 烈
一般社団法人RCF 代表理事

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