コロナでも前年売上比126%のくら寿司、 ”無限”が終わるとどうなるか

2020年11月06日 06:00

くら寿司には2つの”無限”があります。

Natali_Mis/iStock

1つは、「劇場版 鬼滅の刃 『無限』列車編」とのコラボキャンペーンです。こちらは、10月31日で終了しました。もう1つは、利用ポイントにポイントが付くことにより、無料で食べ続けることができる、と話題の”無限くら寿司”です。こちらは、来年3月31日(※ポイント付与は1月31日)まで続く見込です。

2つの”無限”が重なった10月。成果は大きかったようです。

11月2日発表のくら寿司の月次報告によると、10月の前年同月売上比は126.1% (既存店売上 全店売上は133.4% )。9月の107.9% と前年越えしたばかりの記録を、さらに18ポイント以上伸ばしたことになります。くら寿司にとっても、コロナでダメージを受けた飲食業界全体にとっても、明るい話題でしょう。

しかし、この”無限くら寿司”。長期的には大きな問題になる可能性があります。

くら寿司の今後を考察します。

消費者意識の変化

当初、多かった”無限くら寿司”についての、批判的な意見は大幅に減少しました。

そのきっかけの1つは、農水省の「事業の趣旨に沿ったもの」というコメントの発表。そして、もう1つは、”無限くら寿司”利用に肯定的なテレビ報道でしょう。あるテレビ報道では、”無限くら寿司”を「お得」「お店側の売上になるので(問題ない)」とし、くら寿司以外の「お得」に使える店舗も紹介。「うまく利用したいなぁと思います」と、締めくくりました。

お上のお墨付き。テレビによる推奨。人々の意識が変わるのは当然でしょう。SNSは、「やってみた」という報告で埋め尽くされるようになりました。

一度タダになった商品に金を払えるか

短期的には、利益を享受しつつあるくら寿司ですが、長期的には不利益があります。「企業イメージ」と「商品価値」の低下です。

支払のほぼ全額を「税金」で賄う”無限くら寿司”の手法。自社ウェブサイトに、その手法を掲載する企業姿勢。これらを否定的に考える人は、少なくありません。企業イメージ(ブランド)の低下は著しいでしょう。

くら寿司公式サイトより:編集部

商品価値の低下はさらに深刻です。

”無限くら寿司”を行うと、顧客の負担額は、ほぼ「0円」。自社商品の価値を「0円」まで低下させた、とも言えます。はたして、数ヶ月続くキャンペーン終了後、お金を払って食べたいと思うでしょうか。急激に客足が遠のくことが懸念されます。

これは、くら寿司に限った話ではありません。「Go To Eat キャンペーン」による割引価格だからこそ来ていた客を、固定客化するのは容易ではありません。飲食店は利益率が低いため、値下げは難しいでしょう。「Go To Eat キャンペーン」終了後の価格設定は困難を極める、と思われます。

今後の展望

”無限くら寿司”という手法を自ら告知する、いわば「劇薬」を使ったくら寿司。キャンペーン終了後、消費者にどのように評価されるか。売上がどのように推移するか。飲食業界は、劇薬の「副作用」を注視する必要があります。

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