バロンズ:バイデン勝利とねじれ政府、米株市場は歓迎ムード

2020年11月09日 06:00

バロンズ誌、今週のカバーは米大統領選結果に迫る。AP通信は東部時間7日の午前11時半頃、民主党のバイデン候補がペンシルベニア州で勝利した結果、選挙人270人を獲得したと伝えた。

ペンシルベニア州での勝利が報じられる直前、米株相場は共和党が上院で多数派を維持する見通しが強まり、米株相場は一段高を迎え週足で4月以来の大幅高を遂げた。ねじれ政府と株価の相性が良いことも、ポイントだ。ねじれ政府となった時のS&P500のリターンは民主党大統領の場合、平均56%高、共和党大統領の場合は35%高となる。その他、バイデン政権誕生での気になる注目点は本誌をご参照下さい。

当サイトが定点観測する名物コラム、アップ・アンド・ダウン・ウォール・ストリート、今週はカバーと同じくバイデン政権誕生とねじれ政府を取り上げる。抄訳は、以下の通り。

カバー写真:Gage Skidmore/flickr

ねじれ政府、投資家にとって問題なし―The Likely Power Split in Washington Suits Investors Just Fine.

「人生は振り返らなければ理解できないが、前を向かなければ進んで行かない」とは、哲学者セーレン・キルケゴール氏の名言だが、マーケットにも当てはまる。米大統領選は予想外の展開を迎えつつ、米株相場は週足で4月以来の高値を遂げた。民主党のバイデン候補が政権を奪取する見通である一方、民主党が上下院で多数派を獲得する”ブルーウェーブ”実現可能性が後退し、上院は恐らく共和党が多数派を維持するだろう。

投資家は、ブルーウェーブの実現より共和党が上院で過半数を維持するカラー・パープルを好感している。これらの状況を見据えダウとS&P500 は11月2日週に7%高、ナスダックも8%高を達成した。BTIGのジュリアン・エマニュエル株式ストラテジストは「ただ一つ投資家が確信していることは、(税制改正法の撤廃に伴う)増税やプログレッシブ寄りの政策の実現可能性が低下したこと」と指摘する。上院は11月6日引け後の時点で48議席で並び、ジョージア州は上院2議席共、1月5日の決戦投票を迎えるものの、民主党が過半数を奪回するとは想定していないようだ。

政治が漸く米株相場を動かす要因として後退しつつある一方、新型コロナウイルス感染者数は増加を続けている。欧州のようなロックダウンに迫られなくとも、人々は感染予防に向け気温低下に合わせ外出を自粛してもおかしくない。

チャート:米国での新規感染者数、過去最多を更新中。

作成:My Big Apple NY

そうなれば、労働市場の改善ペースを押し下げうる。米10月雇用統計・非農業部門就労者数は前月比63.8万人増と市場予想を小幅に上回り、そのうち民間は90.6万人増加した半面、政府は26.8万人減少した。政府の減少は、国勢調査の臨時雇用が剥落した影響が大きい。また、州・地方政府の教育も15.9万人減少した。過去1年間を振り返ると、国勢調査の臨時雇用を除く政府の雇用は120万人減少している。

ただし、ワクチンは2021年に普及し始めそうだ。同時に、企業業績は前年に急激に落ち込んだ反動増が見込まれる。さらにバイデン政権の誕生で政治と社会全体が中道寄りへ回帰する見通しだ。米株相場にとっては最高値更新へのレシピとなりうる。ただし、材料がそろうまで忍耐が試されるだろう。


順調に雇用は回復しつつありますが、問題は新型コロナウイルス感染者数の増加を受けた今後の対応です。11月FOMCでも新型コロナウイルス感染者数の増加とその影響が懸念されており、特に店舗や対面サービスを提供する職種への打撃は必至。ネット小売が恩恵を受けそうですが、外出の自粛は年末商戦の最中に小売と娯楽・宿泊の雇用回復が妨げられれば、コロナ以前の水準を取り戻すのに、さらに長い時間が掛かることになるのでしょう。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年11月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!

過去の記事

ページの先頭に戻る↑