保守派が米国民主党を毛嫌いするのは国益に反する

2020年11月11日 06:00

アメリカの大統領は民主党になったり共和党になったりする。それは日本がどう頑張ってもどうしようもない話だ。日本は民主党の大統領の時もうまくやるしかないのである。

bee32/iStock

このところ、「バイデンの勝利は信じたくない」、「絶対にトランプは勝ちます」、「民主党になったら中国べったりになって尖閣諸島は盗られる」、「カマラ・ハリスは極左の社会主義者だ」といった言説が目立つ。

しかし、客観的に見てトランプが司法の介入で結果をひっくり返せる可能性は、ゼロではないが小さいものだ。バイデン政権が親中に傾かないかは注意せねばならないが、バイデンのほうが、トランプみたいに貿易上の取引で手を打ったりはしないだろうし、人権などではもっと厳しいはずだ。

ライス元補佐官が国務長官となると、かつて中国に妥協的な姿勢だったことは確かだが、米中関係がこじれている現在も同じ考えかどうかは分からない。

ハリス副大統領が親中派だというのも、誰も根拠を示していない。むしろ、インド系だからインドに傾斜する可能性が大きいし、それなら中国にとっては煙たいことだ。また、彼女の親分であるペロシ議長は、アメリカの高官で初めて広島の原爆慰霊祭に参列してくれたし、中国の人権問題には厳しい。

中東政策については、エルサレムに大使館を移すのは、民主党も含めて要求してきた話だし、ダグラス・エムホフは副大統領の配偶者として初めてのユダヤ人だ。

経済政策で社会主義的だとかいうが、国民皆保険、最低賃金の引き上げ、富裕層課税の強化、パリ協定への復帰などのどこが社会主義なのか。

歴史についても、このところ、アメリカの大統領がルーズベルトでなくフーバーのままだったらよかったとかいってる人がいる。たしかに、ルーズベルトが母親の実家が中国との貿易商だったから中国に傾斜していたのは事実だし、フーバーだったら、もう少し日本に妥協的だったかもしれない。

だが、ドイツと早期に開戦するために、日本にあえて強硬姿勢をとって暴発させるという作戦を採るのは、外交戦略としてありえるわけで、それを察知せずに自分でドツボにはまった日本がバカだっただけではないか。

日本ばかりが悪いわけでない、アメリカにも別の選択があったと教えてやるのはいいが、いかに言い分があろうが、見通しのない戦争をはじめ、終戦の決断もできずに何百万人もの国民を死なせた選択の弁解にも、慰めにもなるまい。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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