社民党分裂:政治や非営利組織の存続、発展が難しい理由

社民党が解党的分裂をすることになりました。開催された党大会で代議士による投票の結果、解党案は否決されましたが、一部が立憲民主党への合流を問う投票では賛成84、反対75で可決し、4名いる国会議員は党首の福島瑞穂氏を除き、立民への合流を果たしそうです。

(10月18日渋谷駅ハチ公前広場での街頭演説する福島みずほ社民党党首:編集部)

(10月18日渋谷駅ハチ公前広場での街頭演説する福島みずほ社民党党首:編集部)

社民党は1996年に社会党から改名したもので終戦の年である1945年に結成された由緒ある政党であります。片山哲氏の内閣を含め、旧社会党には非業の死を遂げた浅沼稲次郎氏、日本初の女性党首として注目を浴びた土井たか子氏、首相となった村山富市氏もいます。

しかし全体的に結成当時から党内での統制が十分とれず、主義主張が時のリーダー次第でころころ変わったことも事実です。また、1955年ごろから部落解放同盟(同和)とや朝鮮総連問題を共産党から社会党が受け入れる形となったことも社会党の歴史ではあまり目立ちませんが重要な転換材料だったと思います。

社民党に改名したのは村山政権においての大失策が根本的原因であり、社会党所属の政治家が「これではおまんまの食い上げ」になるため、解党を含む様々な議論の末、「名前を変えちゃえ!」という表面的対策を取ったのがゆえんである理解しています。

今回開催された党大会で再び党の存続を揺るがす事態になったのも「これじゃ、来るべく選挙で全く存在感を打ち出せない」ということで1996年改名の時とほぼ同じ構図だと思います。とすれば村山政権がその党内結束と力を発揮させることができなかったのと同じで福島瑞穂党首もまったく同じ立場にあるのですが、ご本人はまだ党首に留まるのでしょうか?これは明言を避けているようですが、不思議な方だなぁ、と思います。

社民党分裂の話が長くなりましたが、政治や非営利組織の発展的運営ほど難しいものはありません。理由がお判りでしょうか?簡単です。

それは一般営利企業との唯一の違いである「儲ける」という部分がないからです。一般企業が長く存続できるのは最終的には儲けという果実が具現化しやすく利害関係者にとっても分かりやすいからです。例えば創業者のブラッドや方針がどうであれ、その次のリーダーがきちんとそれを引っ張れば組織としてはいくらでも発展できます。マイクロソフトやアップルはその典型でしょう。

ところが「お金」というメジャメントがない政治や非営利組織は何をベースに組織運営していくか、といえばカリスマ性あるリーダーや創設者の理念や信念、あるいは社会的要請に応えるということだと思います。しかし、組織のメンバーは時代の変化もあり、組織全体のベクトルを一方向に保つのは異様に難しいのです。

その点、自民党はなぜ安定、発展するのか、といえば与党としてのメリットがあるからです。直接的金銭メリットはなくても選挙で有利であるとか、内閣のポストがあるといったおいしい話はいくらでもあるでしょう。

一般的な非営利団体の場合、理事長なり会長といったトップは数年に一度選挙による改選があり、一定以上の任期を禁止しているところもあるかと思います。それは組織の結成当時のポリシーを維持するだけで会として何の変更も加えないことがある意味美徳な組織運営となっているとも言えます。悪く言えば、様々な意見をうまく集約し、臭いものには蓋をしながら任期を全うするのです。

日本人は小組織、グループ活動が特筆できるほど活発な国民性をもっています。その多くは趣味の団体だったりして発起人が全てで、その人が何らかの理由で活動を止めたら団体そのものが消滅するのはごく普通なのです。

政治や非営利組織を発展的にさせるにはどうすればよいか、ですが、私は時代の要請に基づき、時のリーダーがリーダーシップを発揮して多少の犠牲を払ってでもその時にマッチした会の運営を行うという強い指導力を見せることではないでしょうか?

組織に100人いればどれだけうまく運営している会でも20人は反抗的な人がいるものです。しかし、その20人を弾き飛ばしても40人、新たに人を引き入れれば会は成長していることになるのです。無茶苦茶な理論かもしれませんが、どっちつかずの宙ぶらりんよりも明白な指針を出す方がどれだけ優れているかは自明の理でしょう。

その点、福島瑞穂氏は組織を引っ張る力がなかったの一言なのだろうと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年11月16日の記事より転載させていただきました。