トランプ氏を鼓舞する元駐米教皇大使

2020年11月17日 11:30

トランプ大統領を鼓舞する元駐米教皇大使ビガーノ大司教(White House Image/ウィキぺディアから)

元米ワシントン教皇大使だったカルロ・マリア・ビガーノ大司教の名前をご存じだろうか。バチカンは10日、性的虐待の罪により還俗させられたテオドール・マカーリック枢機卿(米ワシントン大司教)が行った性犯罪のドキュメントや証言などをまとめた調査報告ファイル(460頁)を公表し、バチカンニュースはそれに関連した記事で埋めている。

ビガーノ大司教はそのマカーリック枢機卿の性犯罪をバチカンに報告すると共に、枢機卿の性犯罪を隠蔽してきたフランシスコ教皇の辞任を要求した高位聖職者として世界のカトリック教会を震撼させた人物だ。その大司教が米カトリック信者とトランプ大統領へ公開書簡を公開し、大統領選で守勢にあるトランプ氏を鼓舞していることが明らかになった。

「マカーリック枢機卿ファイル」では、バチカンが2000年マカーリック枢機卿をワシントン大司教に任命したのは不完全な情報に基づく決定であり、後日間違いだと判明したこと、2017年までマカーリック枢機卿の未成年者への性的虐待に関する情報をバチカンは入手しておらず、枢機卿の性犯罪が判明するとフランシスコ教皇は迅速にマカーリック枢機卿の枢機卿称号をはく奪し、還俗処分を実施したことなどが明記されている。

トランプ大統領(ホワイトハウスHPから)

要するに、マカーリック枢機卿の性犯罪問題ではフランシスコ教皇には落ち度はなかったといいたいわけだ(「『ビガーノ書簡』巡るバチカンの戦い」2018年10月8日参考)。

「マカーリック枢機卿ファイル」の内容については後日に譲るとして、ここではマカーリック枢機卿の性犯罪を暴露し、フランシスコ教皇の辞任を要求した通称「ビガーノ書簡」の張本人、元ワシントン教皇大使のビガーノ大司教が米国のカトリック信者とトランプ大統領宛ての公開書簡の中で、トランプ氏を鼓舞し、「悪なる勢力」(ここでは米民主党とその支持勢力、メディア)に対し、屈服せずに戦えと訴えていることについて報告したい。海外中国メディア「大紀元」独語版を参考にした。

11月3日実施された米大統領選は挑戦者のジョー・バイデン氏(前副大統領=民主党)が現職ドナルド・トランプ大統領を破り第46代米国大統領に選出される見通しが強まっている。当選に必要な選挙人270人を上回り、本人は「勝利宣言」を表明した。一方、トランプ大統領は15日時点で敗北を認めず、郵便投票の不正集計などを訴え、法廷闘争に入る構えを崩していない。

元バチカン駐米大使(2011~16年)のビガーノ大司教は公開書簡の中で、「米大統領選は歴史上、途方もない巨大な選挙詐欺だ」と指摘し、神を信じる全ての人々は神に祈りを捧げるべきだと呼びかけている。批判の矛先はメディアにも向けられ、「真実を破壊し、操作された情報を垂れ流し続け、不正集計を訴える証言を沈黙させるなどの罪を犯している。彼らの狙いはトランプ大統領の敗北だ」と述べている。

欧米メディアの報道を見る限りでは、トランプ氏の再選の可能性は狭まった感じがするが、ビガーノ大司教は「選挙はまだ終わっていない」と信者たちに呼びかけている。

繰り返すが、カトリック教会では保守派に属するビガーノ大司教は米教会のスキャンダル事件「マカーリック枢機卿問題」ではいち早く警告を発し、事実を隠蔽してきたバチカンを批判、フランシスコ教皇の辞任すら要求してきた聖職者だ。その大司教が米大統領選を「歴史的な巨大な詐欺」と断言しているのだ。ビガーノ発言を無視するわけにはいかない。

ビガーノ大司教はトランプ大統領宛ての公開書簡で「ニュー・ワールド・オーダー」やポスト・コロナ時代の「グレート・リセット」思想に対し、「世界のエリートを使って人類を服従させるグローバルな計画だ。『グレート・リセット』の背後には悪魔の手が働いている。悪の力はパワーフルであり、終わりなき戦いを展開させている。彼らは組織化され、人間社会の土台を揺さぶっている」と説明している。

上記のような主張は日本の読者には理解できないかもしれないが、米カトリック教会では決して突飛な考えではない。

ビガーノ大司教の主張の是非は別として、米大統領選の背後に「神のみ手」が働いていると考える信者たちは実際、少なくない。ビガーノ大司教は6月、トランプ大統領宛ての書簡で「善悪の戦いが今、展開されている」と語っている。

バイデン氏はカトリック信者として知られている。バイデン氏が第46代米大統領に選出されると、ジョン・F・ケネディ大統領(在任1961年1月20日~63年11月22日)に次いで2人目のカトリック信者の大統領となるが、バイデン氏は米カトリック教会を代表する信者とはどうやら言い切れないのだ。

バチカンニュースは8日、「ケネディは当時、米カトリック教会の全面的支持を得ていたが、バイデン氏の場合、米国社会と同様、教会は二分化している」と報じているほどだ。

ちなみに、ビガーノ大司教はバイデン氏について、「彼は米大統領選のかかしに過ぎず、機会が到来したら背後に隠れていた、もっと悪い者に取って代わられるだろう」と警告している。「もっと悪い者が誰か」は読者の判断に委ねたい。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2020年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。

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