日本医師会会長のGo To めぐる無責任発言に猛省を求める

2020年11月20日 06:00

日本医師会の中川俊男会長が18日、新型コロナの感染拡大と「Go Toトラベル」との関係について「エビデンス(証拠)がなかなかはっきりしないが、きっかけになったことは間違いない」との見解を示し、「秋の我慢の3連休」として往来自粛を要請した。

guvendemir/iStock

これをめぐって、夕刊フジに私の以下のコメントが載っている。

「医師会の会長という責任ある立場でエビデンスもはっきりせず、さまざまな影響もあるなかで『Go To』をあげつらうのは発言が軽すぎるようにみえる。非常時に日本の医師たちが何をすべきか、という点を強調すべきではなかったのか」

もう少し解説すると、中川会長の発言が一介の医師としての個人的な印象論ならこのくらい言ってもいいが、日本医師会の会長という立場においては、エビデンスもなく各方面に重大な影響を与え、多くの倒産や自殺者を出すことの引き金となることが避けられないような発言を安直にするのはいかがなものだろうか。

「Go To」キャンペーンは、日本での感染状況に比して過度の萎縮により観光業や地域経済が再起不能になりかねない影響が出ているのを心配して、十分な感染防止措置をしたうえで行われているものだ。

私もこの事業の実態の調査も兼ねて、11月のはじめに、関西から北海道に二泊三日の団体旅行に参加してきた。どこでも厳格に感染防止策は行われており、バスのなかでの飲食は控えめにペットボトルのお茶などを飲む以外は厳しく禁止されていたし、レストランやホテルでの対策も完璧だった。

少し気になったのは、寒冷地だからかも知れないが、北海道の人が窓を開けての換気にあまり熱心でなく、添乗員がバスの窓を開けている参加者に注意するという驚くべき無神経な行動をしていたことだが、それは旅行の問題でなく北海道での習慣の問題であろう。

いろいろな調査でも、「Go To」キャンペーンによる感染例は驚くほど少ないのである。

私は拙著『日本人がコロナ戦争の勝者となる条件』でも、日本の医療界がコロナ対策において、それぞれの既得権や岩盤規制に固執して、対策の妨げになっていること、戦時並みの体制で多くの犠牲者までだし疲労困憊している諸外国に比べて献身的な貢献というわけでもないことなどに疑問を呈してきた。薬品などの認可、PCR検査の拡大などの遅れなど信じがたい暴挙だ。

業界としても、医療機関の患者が減って経営難だとかいう声も上がっているが、観光業界などの苦難に比べてどれほどのことなのであろうか。

 医師の立場で何ができるかを優先して語るべきだし、また、日本医師会の会長という責任ある立場であれば、経済との両立にも配慮した発言をしてこそ、一介の医師の発言とは違う重みがあろうというものであり、猛省を求めたい。

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八幡 和郎
評論家、歴史作家、徳島文理大学教授

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