連載⑳第3波のピークアウトはいつか モンテカルロシミュレーションで検証

2020年11月25日 06:00

ffikretow/iStock

11月14日の連載⑲の結論は、

「日本の第3波は近日中にピークアウト」

でしたので、連日、過去最多の新規陽性者数が報じられているなか、「近日中というのはいつか」、という声にお答えいたします。

本日はもうひとつ、以前から「新規陽性者」ではなく「実効感染者」のような現実的な指標を確立することが重要だと主張してきましたが、候補として厚労省の出している「重症者」について述べます。

1.第3波のピークアウトはいつか

前回の予測は、11月11日のピークアウトを設定した結果でしたが、残念ながら新規陽性者は15日からの週で過去最多の伸びを示しましたので、11月23日までデータで再フィットし、ピークアウトを11月18日、前回より1週間移動しました。


図1の青線破線が前回の予測(図5でも同様)、黒実線が今回の18日ピークアウトの設定の予測です。今のところ明確なピークアウトの兆候が見えていないので、今週、先週と同じくらいの山で収まればピークアウトと判断できます。更に上昇すれば、もう数日移動する必要があるかもしれません。いずれにしても、「近日中」にピークアウトすると予測されます。

前回解析した、第2波もしくは第3波が急激に上昇している7カ国の内、スウェーデン、日本、米国がピークアウトの兆候がまだ見えませんでしたが、他のヨーロッパの4カ国を先行事例としてピークアウトを設定ました。残念ながら日本と同様、少し早めのピークアウトの設定だったようです。しかし、この1週間で、スウェーデンと米国はピークアウトの兆候が見えてきました。現況を以下に示します。

ヨーロッパ4カ国の現在も見てみましょう。

これらの先行事例から、日本も近日中にピークアウトすると予測しています。スペイン、フランス、ベルギー、ドイツはもちろんのこと、スウェーデンでさえ、新たなロックダウンや行動制限を設けましたが、それらの発令は全て、このシミュレーションのピークアウト設定日の後ですので、日本も同様にピークアウトすると思われます。

5カ国のピークアウト設定日は、ドイツが11月5日、ベルギーが10月26日、フランスが10月29日、スペインが10月21日、スウェーデンが11月7日です。

2.重症者数を指標とすべし

現在の新規陽性者数は、PCRの感度設定、検査数に依存し、陽性者には無症状や軽症で重篤にならない人等が多く含まれているので、実質的な対策や、感染拡大の趨勢を正確に把握するには不適切な指標だと思います。そこで、本連載では、シミュレーションから死亡者数と連動した「実効感染者」を定義し、上の図にも示してきました。

しかしながら、「実効感染者」はシミュレーションでしか得られない量なので、これに代わる実際の指標を探していました。候補としては、ECMO装着数、人工呼吸器装着数等を検討してきましたが、今回、厚生省発表の「重症者」をプロットして見ました。図5は、日毎の新規陽性者(赤線)、死亡者(青線)のデータ、シミュレーションの予測値(黒線)、「実効感染者」(紫線)を対数表示したものです。そこに、重症者数×0.04(橙線)、また、-7日シフトバックした重症者数(水色線)を書き加えました。

この図が示していることは、まず、重症者の4%がちょうど死亡者数を与えます。第1波の初期を除いて、恐らく医療技術の充実で重症者の死亡率が4%で安定していることを示していると思います。次に、重症者の後方7日のシフトバックが、ちょうど「実効感染者」に重なります。

重症者数というのは、その日にベッドを占めている人数で、前の日の重症者数に、その日重症者になった人を加え、その日に回復もしくは死亡した人数を差し引いた数です。新規陽性者のような日毎の人数とも違いますし、累積数とも違うので、日毎の「実効感染者」等と直接比較するのを躊躇していましたが、直接比較できる量であることが分りました。

理解を容易にするために、感染者は重症になると必ず2週間で回復もしくは死亡すると仮定します。そうすると、ある日の重症者数は、その日までの2週間の新規重症者の和になります。この数を14で割ったのが新規重症者の後方14日移動平均になります。

図6は、この操作を具体的に示しています。紫線は、日毎の実効感染者数の変化です。これを後方14日移動平均したものが赤線です。14日後方平均ですからピーク等はおおよそ7日前方にシフトします。これを7日シフトバックすれば、もとの日毎の実効感染者に重なりますが、ピークは少し鈍ります。図5で、重症者数を7日シフトバックした水色線が、実効感染者数(紫線)に重なることと同じです。

まとめると、

1)重症者数は、日毎の新規陽性者、死亡者と直接比較してよい指標である。

2)現状の日本では、重症者の4%が死亡者を与える。

3)シミュレーションの「実効感染者」は、重症者と死亡者の7日前の先行指標になっている。

今後、「新規陽性者」という指標を「重症者」という新しい指標に変更することにより、新型コロナ感染の状況をより正確に把握し、不必要な不安、対策を省き、より迅速に通常の生活に戻るために重要であると考えます。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
仁井田 浩二
一般財団高度情報科学技術研究機構 理学博士

過去の記事

ページの先頭に戻る↑