開成番長の勉強術:「キホンのキ」を大切に

こんにちは。個別指導塾テスティー塾長の繁田和貴です。 

Rich Legg/iStock

先日サピックスに通う5年生の算数の授業をしていた時のことです。

 「サピで習ってきたけど、正直あんまりわかっていない」という状態だと告白され、『まあでもそれもそうだよな、仕方ないよな』と思ったことがありました。

 その時教えていた内容は「仕事算」。

 仕事算を解くにあたっての大事なポイントは、全体の仕事量を「1」もしくは「日数や時間数の最小公倍数」に仮決めすることです。

ただこの生徒、「最小公倍数」というキーワードだけ覚えているものの、なんだかしっくり来ていない様子。

 例えばこんな問題。

 ■ある畑を耕すのに、A1人では35時間、B1人では15時間かかります。
この畑をAとB2人で耕すと何時間かかりますか。

 これは仕事算の初歩中の初歩、「キホンのキ」と言える問題です。

生徒:「仕事算って…最小公倍数なんだよね?」

繁田:「うん…まあ最小公倍数がポイントだね。これはどう考えたらいいかな?」

生徒:「3515の最小公倍数で…105?」

繁田:「そうそう!」

生徒:「それで、105をどうするんだ…?えーと、、、105÷50でいいの?」

繁田:「!! ちょっと待った!50ってどこから来た?」

生徒:「3515!」

繁田:「ちょっと待てーい!」

 …と、こんなやり取り。

そこで生徒から冒頭のような告白がなされ、「なぜ最小公倍数で全体の仕事量をおくのか」というところからじっくり説明し、正しい理解を促した次第。

授業の終わりには、「仕事算って楽勝じゃん!僕、仕事算得意かも」と言うまでになり、その後のマンスリーテストでも好結果が出ました。

 5年生のこの時期は、新単元が次から次へと登場します。実はめちゃくちゃハードな時期で。私は「魔の5年秋」と呼んでいます(苦笑)

 これまでたくさんの生徒を見てきましたが、この時期に新しく学ぶ内容をきちんとハラオチして理解できている生徒って10人中2人くらいしかいないのが現実です。上記のようなやり取りは、決して珍しいことではないんですね。

 ※ちなみに上の問題、正しくは、「畑全体を耕す」という仕事の量を105とおいた上で、Aはそれを35時間、Bはそれを15時間でやることから、Aは105÷351時間あたり3の仕事、Bは105÷151時間あたり7の仕事ができると考えられます。2人でやると1時間あたり3+7で10の仕事ができるから、105÷10=10.5(時間)が答えとなります。

スポーツでも武道でも言えることですが、キホンのキ、基本の型を正しく学ぶことはとても大切です。そこでのちょっとしたボタンの掛け違えが、その後の伸び率に大きく影響してしまうからです。

 しかし受験勉強の過程では、キホンのキを正しく理解したか確認されないまま進んでいくことが往々にしてあります。

 「自分が“わかっていない”ことをわかっていない」

「わかった“つもり”になっている」

そんな生徒はとても多いです。

ほとんどの生徒の成績の悩みの根源は、この悪習慣にあると思っています。

新単元が登場し、キホンのキを学んでいる大事な時に、「わかったつもり」でやり過ごしてしまう悪習慣。本人に悪気はないのですが、集団授業だとその性質上そうなってしまいがちです。

周りが「わかったー!」となると、いまいちよくわかっていなくても「わかったー」と片付けてしまう。これってありがちですよね。

キホンのキをおざなりにしたまま6年生になるとどうなるか?算数を例にとれば、6年生の算数は5年生までに学んだキホンのキを踏まえた、より高度な問題が登場します。当然解くことはできないわけです。

するとその時に5年生の内容に戻らなくてはならない。ただでさえ課題が多い6年生なのに、かなりの負担ですよね。そうなると、本来6年生で到達したいレベルの問題に着手できなくなる。そして成績が伸び悩む。こういう悪循環に入ってしまいます。

だからこの時期に5年生からお問い合わせをいただくと、「この時期に相談してくれて本っ当によかったです!」と、思わず声が大きくなってしまいます。

今、5年生で矢継ぎ早に登場する新単元は、どれもキホンのキから学びます。これをタイムリーに毎週きちんと理解→定着させていくことが、5年生の秋以降に成績を伸ばしていくための大原則なのです。

 では、このキホンのキをちゃんと理解しているかを家で確認するためにはどうすればよいでしょう?

 そのために大切なのが「問いかけ」です。

 本人に、

「この問題はどうやって考えたの?」

「これってどういう意味?」

「なんでこういう計算をしたの?」

といった問いかけをして、説明させるのです。

つたない言葉でもちゃんと論理的に説明できていれば、キホンのキを正しく理解できていると言えます。

しかし、もし説明できなければ?本人はそこで初めて、自分の「わかった」の基準の甘さに気づくのです。

 正しい「わかった」の基準を、テスティーではステイラインと名付けて、指導の際に最重要視しています。本人にこの基準を正しく理解させることが、成績アップにつながる勉強法の「キホンのキ」になります。

 秋〜冬は6年生にとって大変なのは言わずもがなですが、5年生にとっても実はめちゃくちゃ大変で大切な時期です。この時期に学ぶキホンのキをしっかり理解→定着させて、来たる6年生の学習に備えてくださいね。

 もちろん4年生以下にとっても、

「新しく学ぶキホンのキを、一つひとつ正しく“わかった”状態にすること」

「自分が“わかった”のかどうか、きちんと判断できるようにすること(そしてもしわかっていなければ、質問する習慣を持つこと)」

は非常に大切です。

4年生の範囲の中にも「植木算」のような、苦手にする子が多く、かつ先々「数列」など様々な内容につながる単元がいくつかあります。

そして、正しい勉強習慣も、早いうちに身につけておくに越したことはありません。後々困らないように、その時その時の内容をタイムリーに理解→定着させていきましょう。

 それでは!