米国の内部告発報奨金制度は、会計不正事件以外にも適用される

2020年11月30日 11:30

Rafael Abdrakhmanov/iStock

11月29日の日経朝刊7面に「米国企業の不正 内部告発増える」との見出し記事があり、米国で内部告発による企業不正の摘発が増えていることが報じられています。2019年度は合計183億円の報奨金が告発者に支払われたそうです。

記事では2010年のドッドフランク法制定を機に、報奨金制度が機能しだしたとありますが、報奨金が支払われるのは会計不正事件だけではありません。米国には公益通報者保護の包括法はありませんが、個別法において保護規定が存在します。たとえば連邦自動車安全法にも内部告発奨励制度が定められており、ご承知のとおり2018年にはタカタ社のエアバック欠陥を指摘した同社元社員2名に合計1億2000万円の報奨金が支払われています。

上記記事にもありますが、日本企業でも米国法の適用を受ける問題が存在すれば、日本の社員が米国の規制当局に告発することにより高額の報奨金がもらえる可能性があります。告発によって、タカタ社のように企業の存続が困難になるケースもありますので、このたびの公益通報者保護法の改正法施行(2号通報、3号通報の保護要件が緩和されました)とともに、海外への内部告発リスクにも留意すべきと思われます。

なお、上記記事では触れられていませんが、米国の内部告発報奨制度においても、社内通報を優先させるためのインセンティブは用意されています(社内通報後の内部告発の報奨金は増額されることになっています)。

このたびの日本の改正公益通報者保護法も、内部通報と内部告発の「制度間競争」を促進していますので、いずれにしても会社が自浄作用を発揮すべく内部通報制度の整備運用に熱心であればあるほど、会社が救われる制度だと考えるべきでしょう。


編集部より:この記事は、弁護士、山口利昭氏のブログ 2020年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、山口氏のブログ「ビジネス法務の部屋」をご覧ください。

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