銀行の就職人気凋落から学ぶべきこと

私が社会人になった1986年は、バブルの入り口で、公務員になるか、金融機関に就職するのが王道でした。

(日本経済新聞から)

(日本経済新聞から)

東京海上や日本生命といった保険会社も人気がありましたが、なんといっても銀行を選ぶ同級生が圧倒的でした。

当時、13行あった都市銀行(!)と興銀も、今やメガバンク3行(三菱UFJ、三井住友、みずほ)と、りそなに集約されました。7行あった信託銀行も、今では独立系は三井住友信託だけです。

この5つの銀行グループが大手銀行として生き残ったものの、学生の銀行離れが進み、人材確保に苦労しているそうです。人気ランキングでは銀行離れが進んでいることがわかります(図表は日本経済新聞から)。

当時の花形就職先であった、公務員も銀行も人気が無くなり、今や外資系投資銀行や、コンサルティング会社、さらにはスタートアップのベンチャー企業などに人材が流れるようになっています。

このような、就職人気の変化から分かる事は「どこに就職するか」には大きな意味はないと言うことです。

就職活動が思うようにいかず、内定が全く取れない。そんな状況に悲観している学生さんが読者の中にもしかしたらいるかもしれませんが、全く気にする必要はありません。

なぜなら、自分が今入りたいと思っている会社は、20年後、いやもしかしたら10年後に、存在すらしていないかもしれないからです。

「どこで仕事をするか」より「どんな仕事をするか」の方が圧倒的に重要です。

一流企業と言われる会社に首尾よく入社しても、そこにいることに満足してしまえば、社会人としての成長は止まります。

(y-studio / iStock)

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長い年月の中で、組織に安住し、せっかくの能力がスポイルされ、気がつけば所属している会社の衰退と波長を合わせるように、スキルのない人材になってしまう。

それよりは、例え世間の評価が低くても、自分のやりたい仕事ができる場所を探し、そこで思いっきり仕事をしたほうが、良い結果が生まれます。

日本では、いまだにビジネス誌で会社別の平均年収ランキングが発表され、ランキングに一喜一憂する人がいますが、所属する会社で人生が決まる時代はもう終わりました。

古巣の信託銀行の人気凋落は残念なことですが、社会の構造的変化に逆らう事はできないのです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年12月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。