深掘り経済

2020年12月11日 14:00

人気グループ「嵐」の年末での活動休止までカウントダウンとなっていますが、ファンは様々なイベントや関連グッズでお財布の紐が緩みっぱなしという状態になっています。「嵐」のビジネスの基本スタイルは囲い込みです。ファンクラブに入ることが大前提。嵐もファンクラブのメンバーに対するご奉仕という立場をとっています。

もちろん、テレビなどでの露出はありますが、それ以上入り込む場合には「ここから先は有料です」というウェブページと同じ状態にあるといえます。私はこの絞り込みスタイルがビジネス全般にどんどん広まっていくとみています。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

居酒屋とファミレスの時代は終わったのか、という議論があります。両者に共通するのは「何でもあり」なのです。この飲食の「何でもあり」ビジネスの原点は百貨店の上層階にある「お好み食堂」ではないでしょうか?若い方にこの話をしてもさっぱりわからないと思いますが、昭和30年代半ばぐらいから急速に流行った百貨店ビジネスの極めつけの一つでした。

おいしそうなサンプルメニューがショーウィンドウの中を飾り、洋食から和食、そして極めつけはケチャップライスの上に旗が立っていたお子様ランチでしょう。あれは今の50代から上の方にはあまりにも懐かしく、多くの方が一度は口にしたと思います。

話は脱線しますが、サザエさんとマスオさんがお見合いした場所は福岡天神の岩田屋の大食堂がモデルとされています。お好み食堂はそのくらいの国民的支持があったといえるでしょう。ごく最近、ある年配の方にサザエさん全巻を販売した際、「あぁ、サザエさんとちびまる子ちゃんはマンガが違う」と言われあまりの着眼点にびっくりいたしました。(サザエさんのマンガは全部手書き、ちびまる子ちゃんはトーンというフィルムを使っているので見栄えや出来が相当違います。)大食堂とサザエさん、昭和の大原動力だったのでしょうか?

ワタミは居酒屋形態の店舗の一部を焼肉店に順次切り替えていくと発表しています。またマクドナルドなどハンバーガー、回転ずしなど顧客は明白な目的意識をもって店選びをしていると報じられています。私が日常的に行くカナダのハンバーガー店は巨大チェーン店となり、日本のファミレス的な何ページもあるカラーメニューが目を引きます。しかし、私はメニューすら見ず、ハンバーガー一本勝負です。なぜならその店にはハンバーガーを食べに来たからでパスタやステーキを食べたいからではないのです。

テレビ業界が不振に陥っています。様々な理由があると思いますが、視聴者が「お好み食堂的な番組構成に嫌気を感じた」とすればどうでしょうか?北米ではテレビは概ね専門チャンネル化してきています。にもかかわらず日本のテレビ局はほぼ全ての民放が同じ時間に同じ種類の番組をぶつけてきます。ニュースの時間、バラエティの時間、ドラマの時間、ニュース解説の時間、再放送番組の時間…といった具合です。NHKはニュース、相撲から大河ドラマに紅白までそれこそお好み食堂の王道を行っています。これがもう時代のニューズではないことをなぜ悟らないのでしょうか?

テレビ業界を不振にしたのはテレビ局の変化対応が遅れただけではありません。若者がユーチューブや有料動画配信をより好んで視聴し、コマーシャルが長く、番組進行が遅い一般テレビ番組を嫌っているとみています。

現代社会の絶対的特徴は個人主義がより発達し、カスタマイズしたし好の追及であります。それゆえに百貨店ではなく専門店に行き、自分の好きなアーティストの曲だけを聴き、好きな食べ物を追求するのです。その行方は究極の深掘り経済ではないかとみています。誰も知らない「あれ」を求めるわけです。

このブログのコメント欄を通じてアメリカの大統領選について大手メディアが報じない情報をいろいろ紹介していただいています。なるほど、思想も深掘りでこんなことも起きているのか、と思わせる内容も確かにあります。深掘りの行きつくところはあまりにも「おたく」すぎて一般人が誰も理解できない領域に行くことでありますが、それでも本人たちは大満足であることは決して無視できない重要な社会トレンドであるといってよいでしょう。

ビジネスのやり方もこのこだわり、領域を絞った専門店化がより進むような気がいたします。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年12月11日の記事より転載させていただきました。

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