コロナで、給与が減ったのは実際どれくらいなのかデータを調べてみた

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新型コロナが、経済の及ぼす影響の大きさは言うまでもないし、もはや日常の中で影響を実感することもおおい。街を歩けば、いくつもお店がシャッターをおろして閉店しまったし、観光関連や飲食・サービス業を中心に窮状を訴えるニュースは日々目にする。

そして、オカビズで相談を受ければ、幅広い義業種に影響は及び「売上が○○%減少した」という話は、もう毎日のように耳にします。

一方で、この状況下でむしろ売上が上がったり、収益を生んでいるビジネスもあるんですよね。巣ごもり需要とかステイホームに関連するもの。抗ウイルスや、消毒的なニュアンスの商品などもそうだし、リモートワークや、オンライン会議に関連した商材もよく売れています。

様子を見ていると、だれもが経済的なダメージを受けている…わけでもなさそうで、濃淡がありそう。
では、一人ひとりの働く人々にとってどれくらい影響があるのかと思って、ちょっとリサーチ。

すでにいろんな調査研究が発表されいてるので、どんな調査結果が出ているのか、ざーっと調べてみました。

8月12日のNHKの報道では、世帯の収入が減ったのは24%とのこと。

新型コロナで家庭の収入「減った」が24% NHK世論調査
2020年8月12日 5時15分
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、家庭の収入に変化はあったかNHKの世論調査で尋ねたところ「減った」が24%、「変わらない」が69%、「増えた」が2%でした。

NHKは今月8日から3日間、全国の18歳以上を対象にコンピューターで無作為に発生させた固定電話と、携帯電話の番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行いました。

調査の対象となったのは2153人で、60%にあたる1286人から回答を得ました。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、家庭の収入に変化はあったか尋ねたところ、「減った」が24%、「変わらない」が69%、「増えた」が2%でした。

東北学院大による5月時点での調査では、31.6%が世帯収入が減ったのこと。

 調査結果によると、新型コロナが流行し始めた後の今年5月時点の世帯収入が、前年同月より「減った」または「なくなった」と回答した割合は計31.6%に上った。正規雇用されている人の「減った」または「なくなった」と回答した割合が24.3%だったのに対し、非正規は39.1%、自営業・自由業は44.4%に達した。
回答者の2019年の世帯年収水準を上位層から下位層まで4グループに分類した上で、5月時点の収入状況を分析。最も少ないグループで、収入減や収入ゼロを経験した人は36.8%に上った。最も収入が多い層は24.3%だった。
出典:河北新報

労働政策研究・研修機構の7月末の調査では、26.7%が月収が減ったとの解答

7 月末現在の「民間企業の雇用者」(n=4,194)を対象に、直近の月収額がどうなっているか尋ねると、新型 コロナウイルス感染症の問題の発生前のもともと(通常月)の月収と「ほぼ同じ(変動は 1 割未満)」との回 答が約 7 割(70.2%)となる一方、「減少した」割合計も 1/4 を超えた(26.7%)。また、7 月末現在の「民間 企業の雇用者」で昨年、夏季賞与(特別手当)を「もらった」場合(n=2,495)に、本年の支給額がどうなった か(どうなる見込みか)尋ねると、昨年の支給額と「ほぼ同じ(変動は 1 割未満)」との回答が半数を超えた(51.9%)ものの、「本年は支給無し」(2.0%)を含めて約 3 割(30.4%)が「減少した」と回答した。

三菱UFJリサーチアンドコンサルティングの調査だと、7月で、19.2%が収入減少もしくは見込みが立たないとの解答。

個人年収増減見込みについて、「変化なし」とする割合が 76.6%を占めている。一方、年収 が減少する見込みとした割合は「1~4 割減」が 5.3%、「5 割以上減」が 7.9%であり、合計すると 13.2%となっ ている。「見込みが立たない」(6.0%)と合わせると、就労者のうち約 2 割が、今年度の収入が減少する見込み、 あるいは見込みが立たないという状況にある。

あと、みずほ総研の以下のレポートも参考になります。

給付金で所得の減少が補填できない可能性のある家計は、最大3割程度と解釈するのが適切と思われる。

こうしてみてみると、調査時期や対象も異なるので一概にはいえないが、おそらく20-30%の家庭では収入の減少が起きている…と考えるのが妥当そうです。逆にいえば、70%超の家庭では収入の減少は起きていない、ということ。一律の特別定額給付金などは、そういった世帯にとっては、結果としてボーナス的な側面もあったのかもしれません。

とはいえ、この20-30%の収入減少世帯には、特徴がありそうです。
例えば、観光や飲食・サービス業など。
男性より女性。50-60代以上の働く人々。
おそらく、有期雇用者やシングルマザー等社会的に弱い立場の人々にあるひとも。
障がいをもつ人々のB型作業所では、請負仕事が減少し、工賃減少が厳しい、との話も伺いました。

こうしてみてみると、よりピンポイントに困っている人々への支援が求められそうです。


編集部より:この記事は、内閣府地域活性化伝道師・OKa-Bizセンター長、秋元祥治氏のブログ 2020年12月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「秋元祥治(岐阜・G-net・OKa-Biz)の活動日記」をご覧ください。