緊急事態宣言:“世田谷モデル”を飲食店まで拡大すべき

stockstudioX/iStock

小池都知事らが緊急事態宣言の再発令を国に要請し、これを受ける形で菅総理が検討に入った。今週中に実施に移されるという。タイミングとしては遅かった感が否めない。

世田谷区も相変わらず様々な対応が後手に回っている。かねて議会から「成人式の開催は大丈夫なのか」と疑念を呈せられていたが、区役所は「万全の態勢で臨む」と答弁してきた。しかし、12月28日になって急遽、中止を発表。土壇場の決定に新成人をはじめ、関係各所に混乱をもたらした。しかも、例年とは異なり、区内の大学施設を借りていた。

一方、議会側の判断にも問題があった。1月5日に恒例の新年初顔合わせ会を行うことにし、区内の芸術家を支援する意味で、演奏家を数人招いてもいた。しかし、取りやめを決定したのが前日4日。正月休みがあったとはいえ、今後何らかの緊急事態に対応する上で、課題を残したと言える。ちなみに、私の会派(無所属・世田谷行革110番・維新)は議会の決定を待たず、あらかじめ自粛する旨を伝えていた。

さて、報道によると、今回の緊急事態宣言の狙いは、飲食店の営業時間短縮にある。前回の宣言で業界は相当のダメージを受け、私の知人も閉店に追い込まれた。時短の要請と補償をセットで行うことは必須だが、それでも痛手は避けられないだろう。

区も保坂区長が拘泥する、何の実績も伴わない“世田谷モデル”を即刻中止し、飲食業や医療関係者などへの支援に予算を充てるべきである。何度も指摘しているように、“世田谷モデル”は希望制で、対象者のエッセンシャルワーカーのうち、たった3割しか手を挙げていない現実をよく見るべきである。これをもって、区内の感染拡大を食い止めている、と胸を張る方がどうかしている。

これも当初からしつこく言ってきたが、クラスター発生の抑止は、エリアを限定して、すべての関係者に何回もPCR検査を実施しなければ意味がない。目下、希望制である以上、検査を受けない自由があるので不徹底に終わっている。“世田谷モデル”を何が何でも続けるのであれば、ある程度の強制を伴うようにしなければ、実効性に乏しいことは言うまでもない。この点を橋下徹さんも説いている。

橋下さんの指摘の事柄を、ぜひ特措法改正に盛り込んでもらいたい。そうすれば、“世田谷モデル”も少しは生きてくるのではないか。もっとも、法的根拠を得たとしても、それを実行するか否か保坂区長にかかってくるのだが、幸いなことに、ツイッターを見ると新年早々アクセル全開である。

私はすでに11月議会で“世田谷モデル”の対象を、飲食店にも拡大するよう要望した。区の答弁はいろいろ理屈を言ってやる気が見られなかったが、特措法の内容如何に関わらず、まずは区独自に検査の実施を試みるべきだろう。保坂区長の決断を注視したい。