緊急事態宣言と日本の「Xデー 」

2021年01月06日 06:00

Ca-ssis/iStock

昨年末の日経平均株価が31年ぶりの高値で沸いた直後の年明け早々、日本のメディアは、緊急事態宣言の話題一色である。

元来、筆者が身を置く金融の世界で日本のニュースが話題になることは少ない。コロナについても、在宅になるとか時差出勤になるとか程度の身の回りの話題でしかなく、金融関係者が仕事上知っておかなければならない時事ニュースとしては捉えられていない気がする。

もちろん、金融の中心であるロンドンやニューヨークのコロナ禍については短期的な影響も大きいので、多少はチェックするが、一日ごとの東京の感染者数をウォッチしている金融関係者は、世界広しといえど皆無であろう。

既に、日経平均を左右するような日本の企業は、日本での成長を考えておらず、特に黒田バズーカで円高から脱却できてからの海外売上比率の伸びはすさまじい。村田製作所、TDK、ヤマハ発動機、ホンダなどの昔からの有力国際メーカーの海外売上比率は90%近くに達しており、最近では武田薬品が80%を超え、その外、JT60%、ファーストリティリング45%などである。官公需が無ければ300兆円程度の日本市場に期待している企業などもはや無いし、そんな経営をすればステークスホルダーに見限られるばかりか、生き残ることすらできない。

筆者は、将来、日本を変えるイベントは、大口預金者の国外逃亡(キャピタル・フライト)になると考えている。その時期について、コロナ禍の前には、団塊ジュニアが引退する15年後位だろうと想定していたが、コロナで一気に早まったと感じている。

今回のコロナ禍は、MMTや長期停滞論を始めとして、既に低インフレ下では財政を出しても急激なインフレが起きないというコンセンサスが醸成されていたタイミングで起きたため、Too Big Too Fast と形容されるような、猛烈な財政・金融政策が発動された。

そして、それでもインフレが発生しないため、小さな政府論者は声を潜めるしかない状況になり、これからも回収の見込みのない拡張財政は続くだろう。Xデーは一気に5年後〜10年後程度まで引き寄せられたとさえ感じている。

今後来るXデーは、大口預金者がもう円高にはならないと確信し、個人現預金1千兆円の内、外貨準備130兆円を超える、200兆円程度が海外に逃亡した段階で起こることになるが、それはあっけないほど、一瞬の出来事になるだろうと予想している。

円は1ドル200円を超えるが、金融抑圧により国内金利は規制されるため金融危機は限定的に留まり、輸入インフレにより国民生活は貧しくなり、政権は倒れることになる。イギリスも1945年頃から同様の経験をしており、ある意味、成熟国が通らざるを得ない道だと考えれば、冷静に考えることができるし、あきらめもつく。

むしろ、国内の債権債務の整理が進むことと、自然利子率が上昇することにより、念願であったデフレからの脱却が果たせ、金融政策が猛烈に効き始めることになるため、喉元を過ぎると国内は非常に活気に満ちた状態になるので心配ないと楽天的に考えている(ただし、現在資産をお持ちの方は、その時に、金融資産を失わないようにだけ備えておかなくてはならない)。

だから筆者は、医師会が騒いだり、緊急事態宣言が明日にも発令か、などのニュースを見かけると、「思いっきり盛り上がって、思いっきりばらまいちゃえ !少しでも早くXデーの力を借りた方が、若者にも希望が持てる」と心の中で思ってすらいる。

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