誰にも会わなくてすむ時代

2021年01月11日 14:00

コロナは「誰にも会わなくてすむ時代」への背中を押しました。しかし、本当の理由は技術の向上と上がり続ける人件費かもしれません。企業の経営姿勢は人材不足に悩まされないですむ経営効率に注力させています。

先日テレビを見ていた際、ある教授が企業の効率化追求が招いた社会の歪みといった趣旨の話をしていました。企業が効率化を求めすぎることで本来あるべき人間社会の在り方が大きく変わってきたことに危惧を示したものでした。しかし、高騰する人件費と働く人が職を選ぶ時代が顕著になってきた時代です。日本はともかく、北米では最低時給が1500円程度の時代になっています。また必要とされる職業と働きたいと思う職業のアンバランスを生んだのはなぜなのか、もっと原点に立ち返る必要があるでしょう。

話はずれますが、このブログで時として触れる「子供がなりたい職業」に2018年頃、ユーチューバーが上位にランクされました。理由は簡単にお金がもらえるからというものです。最近は「なりたい職業ランキング」から落ちたようですが、コロナ禍で実社会に於いてはユーチューブに投稿してひと稼ぎしてやろうという人が急増、有名人も次々とユーチューブチャンネルを開設しています。お金が職業を決める傾向がより強まっています。

さて、人と会わないで済む社会は可能なのだろうか、と言えば私の現時点での答えは精神的には相当のメンタル力を求められるけれど物理的には可能と考えています。リアルの接点が完全ゼロは厳しくても家族やごく限られた人との接点まで許容すれば過半数の人はどうにかやりくりできるのではないかとみています。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

但し、新たに「リアルに接点を持つ人」に「昇格」するには今までに十分な関係を築いていないと難しい気もします。つまり、ネット友人、Zoomの相手はあくまでも画面の向こうの関係であり、その人とリアルに会おうという気が起きないのではないでしょうか?例えばこのブログにコメントをくださる常連さんたちがリアルで会おうか、と言えば拒否られる気がします。それはネットが生んだ人間関係だからで、会うことによる発言のバイアスがかかることを良しとしないからです。

月曜日の日経のトップは「無人店で効率経営 コロナに対応 ドコモ小売り参入、IT活用 セブン、学校など1000カ所」とあります。この記事のポイントをなぜか記者が完全スルーしてしまったのですが、無人化経営ではないのです。無人店が我々の生活ポイントのところに寄ってくることなのです。オフィス、学校、マンションの一階…といった場所が無人店対象エリアです。今まではコンビニまで行っていたのがその手間が省けるようになるのです。これは売り手は売り子を配置せず、24時間販売活動ができること、買い手は雨でも雪でも高齢者が大変な思いをして買い出しに行く手間もなくなる方向にあるということです。

そもそもコンビニやスーパーで買い物をしても言葉を発する人はいないでしょう。言い方は悪いのですがレジを扱っている人はたまたま人間であって買い手からすればそれが機械でも何でもよい、とにかく精算さえできればよいのです。これが現代社会なのです。肉屋で「奥さん、今日も美しいね、お肉、おまけしておくよ」という70年代の話はおとぎ話と化しているのです。

このところ、私はZoomなどのオンライン会議や電話での会議が連日続きます。電話は慣れていますが、Zoomもこれぐらいやっていると1対1なら何ら違和感がありません。1対3-4ぐらいまでならお互いがしゃべりたいことのコントロールが効くので問題ありません。

私は今月末にオンラインでパネルディスカッションのモデレーターをやるのですが、これも簡単。なぜかと言えば発言する人と聴衆の明白な区別があるからです。しかもモデレーターである私は発言者をコントロールできるのです。となれば講演会などももうわざわざ〇〇ホールになんか行く必要はない時代がやってきたと思います。

有名アーティストが有料配信でコンサートをしています。これも普通になる時代になってきたかもしれないと思っています。地方公演ではなかなか客が入らないと嘆くアーティストやプロモーターもいますが、配信なら世界中がマーケットになります。ライブの雰囲気を出す工夫は今後、いくらでも創出できるはずです。

コロナが背中を押したものはデジタル化の加速で、人間関係が二の次になったことでしょう。これが行きつくところは何処でしょうか?私には極めてドライな社会が生まれるのではないかと思います。YES-NOが極めて前面に出やすい社会です。これは今、アメリカで起きているような考え方の分裂を引き起こしやすい土壌となります。

便利になる半面、我々人間が築いてきた共同体はどこに向かうのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2021年1月11日の記事より転載させていただきました。

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