中学受験シーズン到来!不合格になったら子どもとどんな話をしたらいい?

こんにちは。個別指導塾テスティー塾長の繁田和貴です。

いよいよ入試本番が近づいてきましたね。

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 テスティーは東京・神奈川にある塾なので、21日からが本番として記事を書かせもらっていますが、埼玉・千葉、そして関西などではもうすでに本番中だったり本番を終えていたりするかもしれませんね。

今回お伝えするのは、中学受験をする上で避けては通れない、「不合格への対処法」です。

 地域によって違うかもしれませんが、東京・神奈川では第一志望に合格できるのはデータ上では3〜4人に1人とされています。複数回受験ができるので、ほとんどの子がチャレンジングな受験をします。ここが高校受験で多数派な公立校を受験する子たちとの違いです。

 ですから、中学受験をすると決めた時から不合格になった場合にどうするか、準備をしておかなければいけません。そして、多くのご家庭で、その準備が実際に役立つことになります。今日はその不合格への対処法をお伝えします。 

それでは、不合格への対処法を考えるために、まずは不合格を「2つの側面」に分けてみたいと思います。

 1つは感情的な側面です。不合格になれば落ちて悲しい・悔しいといった感情がわき起こります。自信喪失もあるかもしれません。これらにどう対処したら良いのでしょうか。

もう1つは実質的な側面です。あの学校に入学することができないという事実です。志望校に入学することで得たかったものが手に入らなくなります。それをどう受け止めるべきでしょうか。

まずは感情的な面への対処法について考えていきましょう。お子さんが「悔しい」と感じているのであれば、それは特に問題が無いかなと思います。悔しいという感情は「自分にできたはずのことをしていなかった」ことへの反省ですから、きっと次に生かしてくれることでしょう。

しかし、「悲しい」と感じているようであれば対応が必要になります。悲しい気持ちは、そのあとプラスに働くことがあまりありません。特に、2月の1日・2日あたりで不合格をもらい、まだそのあとに戦いが残っている場合には、次の合格のために邪魔になります。

 1月受験で不合格となり、ここから2月の本番で勝負をしなければいけないという場合も同様ですね。気持ちを早く立て直せた子から、次の勝利に近づくことができます。

そこで、気持ちを立て直すために、親子で知っておいてほしいことがあります。それは、「『悲しまないで』は不可能だ」ということです。これは人間の脳の仕組みの問題です。

「シロクマのことを考えないで」という有名な心理学実験があります。その名の通り、被験者たちに「シロクマのことを考えないように」と指示をします。しかし、被験者たちは、考えないようにしようとするほどシロクマのことを考えてしまい、頭から離れなくなって疲弊していきます。まるで大みそかにやっている「わらってはいけない○○」のようですね。人間はあることを考えないようにしようとすると、逆にそのことを考えてしまうようにできているのです。

ではどうすれば良いかというと、他のことを考えれば良いのです。シロクマのことではなくキリンのことを考える。不合格になったことを考えるのではなく、他の合格した学校のことや中学での楽しい学校生活のことを考える。

こうしたことが、悲しみを引きずらないための効果的な対処法です。自信喪失への対処法も同じですね。不合格という結果ではなく、合格という結果(※全滅になりそうな受験プランは組まないことが前提)や、これまでの勉強の過程・積み重ねてきた努力について考える。

そして、不合格は頭の良さの問題ではなく努力の質・量の至らなさの問題だから、そこは真摯に受け止めるというスタンスでいくことが大切ですね。

次に考えるのは、不合格となった学校には入学できなくなる、そのことにどう意義を持たせるかです。その学校に入学すれば得られたはずのものが得られなくなります。受けられた授業・参加できた部活や行事・使えた設備。それらが得られなくなるのは紛れもない事実です。

では、代わりに何が得られるのか、そのことを親子で確認してみましょう。少なくとも、シンプルに「教訓」が得られるはずですね。「本番でこういうことをしてはいけない」という教訓。例えば時間配分の失敗や、計算ミスなど。1月受験の不合格からこうした教訓を得て、2月に生かした子はこれまでにもたくさんいます。

そして、「本番までにこういう準備をしておかなければいけない」という教訓。要するに、勉強不足に対しての反省ですね。中学受験の不合格からこうした教訓を得て、高校受験や大学受験で生かした子もまたたくさんいます。

1つの客観的な事実を主観的にどう評価するのか、どういう価値を持たせるのか、これは人それぞれです。何ごともそういうものですよね。

私の例で言うと、「開成在学中にギャンブルにハマって退学寸前までいった」という経験は、ネガティブな黒歴史である一方で、生徒・保護者に教訓として伝えられることも多く得られ、指導者としての武器の1つにもなっています。

事実を再評価し、ポジティブに捉え直すこと。

もし不合格になったら、それにポジティブな意義を持たせるためにどうするでしょう?どう生かすでしょうか?

ぜひ考えてみてください。そして、これは事前に親子で話し合っておくことをおすすめします。なんだかんだいって、実際に不合格になったら、「悲しまない」ことは困難です。悲しい気持ちが心の中で吹き荒れたら、その場で冷静に考えて行動することはできなくなります。ですから、あらかじめ「こう考える」「こうする」と決めておくと良いですね。

不合格それ自体はつらい経験ですが、そのチャレンジの過程で子どもたちは大きく成長します。チャレンジをしないよりもずっと価値があることです。

不合格になっても受け止める準備をして、思い切ってチャレンジをしてくださいね!

 それでは!