運命に身を任す

78歳で大統領に就任するバイデン。40代後半で大統領に就任し、その後若くして一線からは退いたクリントンやオバマのことを考えると、歳とってからピークのある人生は、若い時の葛藤や苦労も大きい分、味わい深いし幸福感を感じるのではないかなと思う。私も死ぬまで、好きで得意なことをやり続けて社会に求められ貢献できる人でありたい。――之は昨年11月8日、米Ripple社の吉川絵美さん(@emy_wng)がツイートされたものです。

以下、此のピークを迎える年齢ということで私見を申し上げますと、ジョン・F・ケネディやビル・クリントン、バラク・オバマ等々40代で米国大統領に就任したケースも多数ありますが、そもそもが「早い」「遅い」といった形で捉えるべき事柄ではないと思っています。

それが早かろうが遅かろうが、十分その職責を果たすだけの人物が練られ能力が養われているか、ということが大事だと思います。また、ジョー・バイデンは次の4年間その任に堪え得るか、という問題もあるでしょう。ずっと堪えることが出来たら良いですが、ある時点で肉体的な限界に達したとなれば、その任を去らなければなりません。

あるいは私どもSBIグループで言えば、『野村超え「時間の問題」、地銀・デジタル全方位で』(2021年01月19日)と題されたNIKKEI Financialのインタビュー記事で、私は「進退についてはどうお考えですか」との問いに対し、下記のように答えておきました。

――気力、体力、知力。そういうものが衰えてきたら言われるまでもなく退くべきだ。そういうふうに中国古典が教えている。僕の能力が落ちてくる。若い人の能力が上がってくる。この交差点がどこかにある。その時には天命をもった人がちゃんと現れるはずだと思っている。ただ、良いか悪いかは別にして、まだ僕の能力が落ちてはいない。経営者に要求される判断力というものはむしろ知見を得て増していく。そういう意味ではまだ僕について来られる人はいない。

天は、私が一線から退くべきベストなタイミングで私の後継者が必ず現れるようにしてくれると思っています。正に人間は会うべきタイミングで会うべき人に必ず会うのです。明治・大正・昭和と生き抜いた知の巨人である森信三先生も述べておられるように、私は、全て此の世に起こることは絶対必然であり且つ絶対最善であるという「最善観」を信じています。

何れにせよ、少なくともその任に堪えられる間は、自分の歳如何といったことは余り関係せずに、唯々与えられた運命に身を任す、ということだと思います。歳を取っているから・若いからといった類に、それ程こだわらなくて良いでしょう。幾つであっても、天意を全うする生き方を貫くだけです。


編集部より:この記事は、北尾吉孝氏のブログ「北尾吉孝日記」2021年1月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。