厚労省がやっと「エアロゾル感染」を認めた

厚労省が「エアロゾル感染」を認めたという記事が10月29日付けの毎日新聞HPに掲載された。

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厚労省「エアロゾル感染」認める 「飛沫と接触」との見解を改め

新型コロナウイルスの感染経路について、厚生労働省は29日までにホームページを更新し、新型コロナはウイルスを含んだ空気中に漂う微粒子(エアロゾル)を吸い込むことで感染するとの見解を示した。これまで飛沫(ひまつ)感染と接触感染の二つしか挙げていなかったが、感染力が強いデルタ株による第5波を受けて換気対策を進めることが必要と考えたためとみられる。

「エアロゾル感染」に関しては、私もネット上でたびたび指摘していた。「エアロゾル感染」が主要な感染経路だと国が認めれば、日本におけるコロナ対策を転換させることができ、国民のストレスを大きく軽減させることができるからだ。

衆議院厚労委員会の審議を見てコロナ対策の明るい未来が感じられた

宮本議員は以前から感染経路として空気感染(エアロゾル感染)を重視し、委員会でも言及されていた。今回も厚労省に対し、「主要な感染経路として飛沫接触ではなくエアロゾルだと指針を修正するべきだ」と質問したが、厚労省側からは従来の見解を変えるという回答は得られなかった。

厚労省のHPは以下のURLである。

新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)

令和3年9月10日版

問2 新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか。
一般的には飛沫感染、接触感染で感染します。

そして令和3年10月1日版

問2 新型コロナウイルス感染症にはどのように感染しますか。
感染者の口や鼻から、咳、くしゃみ、会話等のときに排出される、ウイルスを含む飛沫又はエアロゾルと呼ばれる更に小さな水分を含んだ状態の粒子を吸入するか、感染者の目や鼻、口に直接的に接触することにより感染します。一般的には1メートル以内の近接した環境において感染しますが、エアロゾルは1メートルを超えて空気中にとどまりうることから、長時間滞在しがちな、換気が不十分であったり、混雑した室内では、感染が拡大するリスクがあることが知られています。
また、ウイルスが付いたものに触った後、手を洗わずに、目や鼻、口を触ることにより感染することもあります。WHOは、新型コロナウイルスは、プラスチックの表面では最大72時間、ボール紙では最大24時間生存するなどとしています。

毎日新聞が記事にしたのは10月29日であるが、実際には衆議院厚労委員会での質疑を受けて10月1日に改訂されていたのである。10月1日版の内容は、これまでの感染防止対策が無駄ではなかったといえる微妙な表現になっている。

厚労省が正式にエアロゾル感染を認めたのであれば、政府も根本的に今のコロナ対策を見直すべきである。私は以前、以下の記事で対策の見直しを提言した。

「マスク会食」に効果があるのか専門家は検証せよ

これは今年4月に寄稿したものだが、実際には「マスク会食」の効果について検証されることなく、さらに飲食店における「マスク圧力」が強化されて今に至ることになった。

吉村大阪府知事が「マスク会食」を今でも強烈に推し進めているのは、感染経路が飛沫だと決めつけていることが最大の理由である。実際には主因は飛沫ではなくエアロゾルなのだから、換気が重要でマスクに意味はない。

世界の専門家の常識がエアロゾル感染だ、ということは、以下の記事でも指摘されている。

新型コロナ対応の初期に日本が犯したプロにあるまじき失態~上昌広氏に聞く

つまり、問題は「密」にあるんじゃないんです。これが現在の世界の科学界の『ネイチャー』や『サイエンス』、『ランセット』なんかの総説、あるいは社説などに掲載されるのです。つまり世界の専門家のコンセンサスなんですよ。

ここを吉村知事が認めて方針を転換させることができるかどうかは非常に難しい。これだけ飲食店にアクリル板などの設備を用意させて認証制度を導入したのに、その対策を今後はやらくてもいいとは言い出せないだろう。

政府にしても同じこと。ワクチンパスポート制度を導入し、都道府県の認証制度に従った店舗には優遇措置を取る政策を進めようとしているのに、「認証制度の基準を変える」と言い出すのは相当困難だと思われる。

私はコロナ騒動を収束させるには、飛沫対策をやめることだと以前から主張し続けてきた。

コロナ騒動を終わらせるには、まず飛沫対策をやめることから

岸田総理に変わって、コロナ担当大臣が山際大臣になって、従来のコロナ対策を変える流れはできたと感じていた。衆院選が終わるまでは大きな動きはないと思っていたので、いざ選挙が終わって新政権がコロナ対策をどう変えるのかに期待したい。