サイゼリヤで感じた「日本はこれで良いのか」感

イベントの帰り道に通りかかった六本木のサイゼリヤに入ってみました。看板を見て、以前SNSで話題になった羊の串焼き「アロスティチーニ」を思い出したからです。

アロスティチーニ(編集部)dilog/iStock

地下にある店内は、ほぼ満席。案内されることもなく、アクリル板で仕切られた一人席に座りました。チャイムで呼び出して店員に注文しようとすると、所定の注文用紙に商品番号を手書きして手渡しするように言われました。一般的なファミレスの過剰な接客は無く、効率的に淡々と店舗が運営されています。

お目当てのアロスティチーニは、期待ほどではありませんでしたが、他のメニユは驚きの価格と品質でした。

ドリンクメニュを見ると、赤ワインのグラスが税込100円です。20年以上前に行った時は200円くらいだった記憶がありますが、更に安くなっています。激安過ぎて不安になる位ですが、下手なワインバーでグラスワインを注文するより美味しいのに驚きました。

写真の柔らか青豆の温サラダは、税込200円。ファミレスの味ですが、価格からすれば充分満足です。「煉獄のたまご」という人気メニュも税込300円。こちらも300円とは思えないクオリティでした。

結局、グラスワインを入れて5品を注文して、会計は税込1,200円。先進国の都市部にある着席する飲食店として、これだけのボリュームとクオリティは奇跡です。コスパは、先進国最強といっても過言ではありません。

しかも、意外だったのは、繁華街の低価格のお店なのに、治安の悪さを感じなかったことです。海外の低価格ファストフード店は、一般に客層が悪く、貴重品を盗まれないかと神経質になるものです。しかし、ここは家族連れやカップルが行儀良くお酒とお料理を楽しんでいました。

低価格で安定した品質の飲食が楽しめるサイゼリヤ。企業努力によって実現した素晴らしい飲食店経営モデルです。

でも、ここにいると、永遠に低価格のデフレが続いて、例え収入が上がらなくても、低価格で外食できれば良い。私が20代だったら、そんな気分になってきそうです。

世界がインフレになっていく中で、独自の低価格路線で「ガラパゴス化」を続けられたとしても、果たしてそれで良いのでしょうか?

モヤモヤした気持ちで、閉店近くなったお店を出ると、東京の街は今年一番の冷え込み。冬の本格的な到来を実感しました。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年11月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。