町会は役所の下請け? 赤い羽根募金問題

第4回定例会の代表・一般質問が終わった。ひえしまは、①複合的な災害対策について。②新しい町会・自治会のあり方について。③離婚家庭への支援について。の3点を質問(録画はコチラ)。

今回は、②で取り上げ、とくに反響が大きかった町会・自治会による募金集めについて書きたい。

町会・自治会を通じて行われる募金活動は、赤い羽根の共同募金、歳末助け合い、日本赤十字社の3つがある。建前としては町会・自治会が自主的に協力していることになっているが、実際は役所からの依頼で行っている。少なくとも、多くの町会・自治会はそう受け止めている。

今回、ひえしまの質問で明らかになったことは、赤い羽根を主宰している社会福祉法人「東京都共同募金会」の世田谷事務局は、なんと世田谷区役所生活福祉課のことであり、事務局長には生活福祉課長が就いている。赤い羽根世田谷事務局=生活福祉課は、役所の末端組織である「まちづくりセンター」に募金活動を依頼し、「まちづくりセンター」が町会・自治会にお願いするという構造になっている。つまり、一社会福祉法人の仕事を役所が担っているのだ。ゆえに、町会・自治会は役所からの依頼と受け止めて、任された町会・自治会員が集金のために、多くは戸別訪問に赴いている。これが苦痛だ、と現場から悲鳴が上がっている。

歳末助け合いは社会福祉法人「社会福祉協議会」の活動であるが、こちらも実態は同じようなものである。日本赤十字社は他の2団体と組織のあり様は異なっているが、町会・自治会員からすれば、「同じような募金が3度も回ってくる」と感じていることは事実である。だいたい募金が回って来ることがおかしなことで、本来は志のある人が自発的に行うものである。ゆえに、戸別訪問でなく、電子マネーや銀行振込などの決済方法をもっと周知するよう区には要望した。

町会・自治会は役員の高齢化や未加入率の上昇で、どこも深刻な担い手不足に直面している。そういった状況の中で、募金活動がかなりの負担になっているという声が、私のもとにも多く届いていた。何よりも問題は、集金や拠金が事実上の半強制になっているということである。中にはあらかじめ金額が「500円」などと決まっている所もあり、まったくもって募金の趣旨を逸脱している。

町会・自治会とは、そもそも住民の自主的な組織であり、役所の下請けではないのだが、行政のそういう感覚が如実に表れているのが、この募金活動と言える。このことに鈍感な世田谷区が、行政改革を論じても何の信憑性もない。いつものように、掛け声でやっている風を装うだけである。今回の答弁で、赤い羽根と行政の“癒着”を見直すようなことを言っていたので、今後を注視したい。

赤い羽根福祉基金HPより