ウェブにおける自分という存在の示し方 - 渡部薫

2009年01月28日 23:52

まず始めに、僕はそれほど経済や金融について専門的な言論を展開できるわけではないので自分の専門分野であるインターネットやウェブ、デジタル情報化社会の未来について思うままに書いていきたいと思っています。オピニオンサイトの主旨と少し離れる部分があるかもしれませんがその際はご了承ください。

インターネットが社会に与えている影響はもはや無視できないところまで来ていることを考えるとウェブというサイバー空間は人種、国、文化、学歴、経済、通貨を超えたプラットフォームであり、人々はついに足の付く土地から解放された時空間に自分という個を存在させることができるようになったと言えます。


インターネットが一般に普及し始めたのは1994年くらいからです。当時はまだNetscapeが出たばかりでインターネットって何?ワールド・ワイド・ウェブって何?って感じだったと思います。でも早いものであれからもう15年近くも経つのです。時代は変わりました。図書館に調べものに行っていた時代が懐かしいです。

70年代生まれの僕たちの世代は、古き良きアナログの時代とコンピュータが登場した後のネットワーク化された情報世界の時代の両方を体験し、どちらの世界も客観的に見ることができる一番いい世代なのだと思います。Microsoftのビル・ゲイツやAppleのスティーブ・ジョブズの時代よりもふた周りほど若い世代で、Netscapeのマーク・アンドリューセン、Yahoo!のジェリー・ヤン、Googleのラリー・ペイジやセルゲイ・ブリンの世代が今日のウェブを作り上げてきたのも偶然ではありません。そしてこれからの時代はさらに僕たちよりも若く、Fecebookマーク・ザッカーバーグのように20代前半だったり、日本では今はまだ大学生だったり高校生の人たちが新しい時代を創り上げていくのだろうと思います。

今、ウェブは間違いなく社会基盤として機能しています。30年後、50年後には新しい国家がウェブを基盤として生まれてもおかしくありません。そしてそこに住む人たちがいて現実社会に自分を持ちながらウェブ社会にも自分の存在を示すのです。こうした新しい社会基盤の誕生とそこに住む人たちの営み、コミュニケーションや経済活動が徐々に現実社会の教育やライフスタイル、経済活動に影響を及ぼし、されに工業化時代の産業、自動車産業やエネルギー産業にまで影響を及ぼし始めています。先のオバマ大統領誕生のいきさつにもウェブ社会は大きな影響を与え、それは新しい時代を予感させるものでした。

日本ではまだまだウェブで自分の存在を現実社会の自分と結びつけるようなことは行われていません。ウェブには匿名性の良さもあり、ニックネームによる気楽なつながりや会話も成り立ちますし、逆に実名だと不利益を被るということが多くあるからです。ウェブを社会基盤として見たとき、無限の可能性を秘めた光も見えますが、同時に社会問題としての影の部分も多く見えます。今回池田さんがアゴラに託している「言論プラットフォーム」はそうした問題に光を当て、多くの人に今ウェブで何が起きているのか知ってもらうものになると思っています。

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オピニオンサイトは、海外ではHuffington Post、Daily Kosなど数多くあり、米大統領選でも重要な役割を果たしたといわれる。しかし日本では匿名のブログや掲示板が圧倒的に多く、ウェブがこうした「言論プラットフォーム」の役割をまったく果たしていない。当サイトは個人ブログではなく、複数の専門家による「言論の市場」を提供することによってウェブ上の言論を活性化し、専門家と一般市民をつなぐことをめざすものである。
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ウェブで自分の存在を示すことは、単に声として発言するだけでなく、誰と誰が、また誰がどんな言葉(思考)とつながっているのかもすべて見せることと同じです。ウェブは今この瞬間も世界中の人と情報のつながりを作り続けているのです。インターネットが登場して生まれてきた子どもたちは僕たちとは全く異なる思考プロセス、コミュニケーション能力、情報に対する価値観を持っています。この「アゴラ」を通してウェブで生きる個のあり方とはどんなものか、ウェブがいったい社会にどんな影響を与えているのか15年の歴史を振り返りながら伝えていければと思います。

渡部薫

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