ノンワーキングリッチの弊害 - 渡部薫

2009年01月30日 12:58

この話は特に30代でばりばり現場を仕切っているサラリーマンなら激しく賛同してくれるのではないかと思います。
20代の人たちから見たら、いるいる、そうそう、って感じでしょうか。そうならないために20代はしっかりがんばってほしいと思います。

当ブログでも派遣の問題、終身雇用の問題、ノンワーキングリッチの問題が挙げられていますが、狭い業界の範囲ですが具体例を挙げましょう。


僕の経験上、企業の中にはノンワーキングリッチでもまったく無害な人がいることを発見しました。これはおそらく働きアリで働くアリだけを集めても5%くらいは働かないアリになり、さらにそこから働かないアリを取り除いて、働くアリだけにしてもまた5%くらい働かないアリが出てくるという自然現象があって、人間社会にも同じことが言えるのでしょう。

ところが組織には害になる人間が出てくるんですね。
まずどんな人間かというと働かないのにやたら地位が高い、給与がよい、政治力に長けている、人柄がよい、という人間です。こういう人は一見とても価値がありそうに見えますが、そこにだまされるものです。そして本人はそれを知っている訳ですね。それこそその人が組織で立ち回りが上手で今の地位を手に入れているわけですから。大企業だとだいたい部長くらいから出てくるんじゃないでしょうか。なぜなら課長くらいで働かないと部長にはなれませんからね。部長になってもうそれ以上出世できない状況に置かれているか、たまたま運がよくて高い地位を与えられたかのどちらかに当てはまるのでしょう。

この典型的なノンワーキングリッチはどういうワーキングスタイルを持っているかというと、まず
「人に反対することはない」反感を買うようなことは極力避けます。
「リスクは負わない」責任があるようなことは部下にやらせます。
「人の手柄は自分のもの」しっかり手柄だけ取って、経営会議で発表します。
「基本なにもしない」成長もなければ失敗もない、目立たない、ということです。

ノンワーキングリッチがいると組織がどうなるかというと、まずやる気のある人材が育ちません。下手すると辞めていきます。最悪なのは組織全体がそれに馴染むことです。その人を筆頭にその下にいるものがほぼ全員ノンワーキングほどほど業務になります。とにかくどれだけ仕事をしないで自分たちが生きていくかだけが業務に対する思考となります。さらにたちが悪いのは自分でわかっていて、プレッシャーを与えられても責任回避することに長けていてけっして自分からその地位を退くことはありません。よく言えばミスもしないので経営者側からは辞めさせにくい人材の筆頭です。

こうして会社はノンワーキングリッチによって会社で最も重要な資産、それは高額な給与ではなく、優れた人材を失っていきます。もちろん高額な給与の分やる気のある若い人材にチャンスを与えることもできなければリスクを負わせる経験も積ませることができません。この10年、僕が見る限り派遣制度はこのノンワーキングリッチを増殖させるために効率よく機能したのでしょう。彼らにとって都合よく働いてくれる派遣は最高の人材だったので、おそらく今もノンワーキングリッチは派遣制度がなくなるということに表向きは雇用を守るという意味で反対するでしょう。そしてそれは端から見て美しく見えます。なぜなら池田さんのブログにも書いていましたが一流のジャーナリストはより責任の重い仕事でキャリアアップしていくものであり、誰かに責任を押し付けるようなことをしないからです。これはすべての成長している仕事、業務、企業に言えることでしょう。そもそも派遣は準社員でも社員予備軍でもなく、企業にとって必要なとき、必要なリソース分、働く側にとって時間のあるとき、収入が必要な分だけ、という目的のためにお互いのニーズのマッチングを実現したものだったはずです。

経営者は経営の最適化と利益の最大化のために最も効率的な手段を選択します。自動車業界における派遣制度も一般業務における派遣業務も経営資源の効率化から生まれたものでしょう。ところがその制度を最大限に会社ではなく自分たちの利益のために利用しているのがノンワーキングリッチです。彼らは自らが労働基準法で守られている保護の元で、守られていない労働者を善意のふりして利用します。経営者にとって最も頭痛の種は窓際族ではなくこうした解雇できないノンワーキングリッチの存在です。

これはあくまで狭い業界(範囲)ので話ですが同じようなことが至るところで起きているではないかと思います。(フィクションということにしておきましょう)

ベンチャー起業家よ、夢と希望を持って立ち上がってほしい。日本の未来と雇用は勇気あるチャレンジャーに委ねられているのだ。

渡部薫

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