ソフトバンクの必死さは買うがやり方には必ずしも賛同できない - 渡部薫

2009年03月24日 13:16

米重さん松本さんの意見では、ソフトバンクモバイルが打ち出した新卒者雇用の施策に賛同しているところがありますが、元ソフトバンクモバイル社にいた者としてこのやり方には必ずしも賛同できるものではありません。

賛否両論ある中で、学生がこのような不満を告発するのは当然の成り行きだと思います。

livedoor ニュース – [ソフトバンク]携帯契約、就活学生に「営業」 厚労省調査


まず米重さんや松本さんが主張することに対しても一定の評価はできます。そしてソフトバンク社が巨人NTTドコモやKDDIに立ち向かうため、いかに必死に戦っているか伝わりますし、そこまでやるか、すごいなと感動すらします。そして僕自身、通信事業者となり社会的責任が重くなったソフトバンクがこのような問題を引き起こすやり方を推進したことに驚いています。

実際のところどのような内容の通知が新卒者に届いたのはわからないので誤解があるかもしれませんが、ソフトバンクはこのやり方を正当化するには以下の点をきちんと定義すべきだと思います。そうでないなら学生を利用した加入者獲得作戦と取られてもいいわけはできないでしょう。

1.まずなぜこの時期なのか?
  3月は携帯電話販売において1年間で最も動きの激しい春商戦の時期です。ここ数ヶ月のNTTドコモやイーモバイルの新規加入者の追い上げを見れば、何が何でも純増ナンバーワンを死守しなければならない苦肉の策にしか見えません。
携帯電話契約者数

特に学生の携帯電話市場は春に集中しますからね。この時期に営業力を図るチャンスという抗弁は通用しにくいです。なぜなら本来この理由であれば2009年度の新卒採用が終わった直後にすべきだからです。

2.上記理由でないなら時期や期間をより明確にすべきでは?
春商戦が終わったら終了でしょうか。それとも採用希望者の営業力を図るのが真の狙いであるなら今後も継続的に行うべきではないでしょうか。

追記:4月12日までだそうでまさに春商戦だけ、ですね。。。ぜひ継続してください。

3.新卒者だけに限定しているのが不可解
営業力を図るのであれば、新卒者に限る必要もなく、中途採用者にもチャンスを与えるべきではないだろうか。これでは学生の就職難の足下を見た営業施策と勘違いされてもしかたがないと思います。

4.獲得数の基準が曖昧でさらに問題が起きる可能性
100件獲得した学生と99件獲得した学生で採用の差が生まれるのでしょうか。100件と10件は?完全実力主義で行くなら思い切って目標獲得数を決めるべきだと思います。一つの参考値とする、という基準もわからなくはないですが数の目標上限が決まっていない学生からしてみれば5件取ってトライして採用に至らなかったらますますその疑惑が深まるでしょう。何件取れば採用の可能性の資格があるのか、それとも上位何人がその資格を得るのかなど不透明なところがあります。10件がよくて5件がだめだという場合、それを正当化できる理由が見当たりにくいのではないでしょうか。

5.代理店には契約を取るという行為に報酬を支払っている
ソフトバンク社は正規の代理店に契約1件あたりいくら、という報酬を支払っています。これは正当な商取引です。ところが契約獲得=採用の可能性の権利、というのは学生にとって不利な条件です。
さて、もし100件獲得した学生がその営業力を見込まれて入社し、代理店に配属されたとします。代理店ではエースが来た、というような見方をされるかもしれませんし、その情報は公開されないかもしれません。人事部だけの情報かもしれません。しかし100件獲得した学生が就職後も継続的に営業力を発揮できるでしょうか。ソフトバンク社が誤解なく営業力を図りたかったのであれば自社の商品やサービスではなく第三者の契約獲得数で評価すればよかったのではないでしょうか。自社に利益のあるやり方を快く思っていないのです。

多くの人はソフトバンクはCM好感度ナンバーワンで知らない人がいないまでの企業になって、携帯電話の料金も劇的に下がって応援しようという気持ちになっています。こうしたところで変な誤解を受けるようなことはイメージダウンになりもったいないな、と思っているのでしょう。

こうした誤解を解いてぜひ3月も純増数ナンバーワンになって、これからも日本の携帯電話を変えていってほしいと願っています。

やり方はともかく、少なくても学生の方々はひとつのチャンスを与えられたわけですからそのチャンスをつかむ、つかまないは心がけ次第です。選択するのは学生ですから自己責任で挑戦し、結果どうであれフェアな審査を求めていけばよいと思います。

本当のところは、

春商戦は何が何でも純増1位を死守しなければならない。
学生諸君、力を貸してくれ。
ソフトバンクはナンバーワンであることがソフトバンクの証なのである。
ソフトバンクで、世界を制するという志を共有できる学生はこれからますます厳しくなる競争を前に一致団結しようではないか。
まずはその心意気を見せてくれ。戦うという姿勢を見せてほしい。
君たちが最初にできる貢献は友だちをソフトバンクケータイに加入してもらうことだ。ナンバーワンになろう。共に勝利をつかもう!

というところではないかな。
昔はそうしたある意味さわやかさがあったようにも思えます。

注釈
1~5の見解でソフトバンク社がきちんと学生に説明しているようでしたら僕の見当違いですのでご了承ください。その際は遠慮なくご指摘いただければ幸いです。

起業家 渡部薫

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