前稿のコメントで松本さんがご自身の安全保障に対するお考えを披瀝されており、私もそのお考えには4).を除いては概ね同意致します。同時にヒステリティックに九条擁護を訴える一部の狂信的な九条ニスト以外の一般的常識者であれば共有可能な基本姿勢ではないでしょうか。
内容は日本の国家安全保障を考える上でベースになるような見解だとも思います。私も戦前のような陸海軍を擁する軍事大国になるべきではないという立場であり、カナダやイギリスのようなミドルパワーとしての安全保障を構築すべきだと考えております。
内容は日本の国家安全保障を考える上でベースになるような見解だとも思います。私も戦前のような陸海軍を擁する軍事大国になるべきではないという立場であり、カナダやイギリスのようなミドルパワーとしての安全保障を構築すべきだと考えております。
ー自衛権ー
政府見解は紆余曲折のすえ1954年、鳩山内閣の政府統一見解として「自衛隊は違憲ではない第九条は……わが国が自衛権を持つことを認めている。自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない」としました。ですが未だ国際的な軍としての立場がなく、行政権の極大延長的組織ー1佐3佐等の呼称や、自衛「隊」などと軍ではないというごまかしーとして運用されいます。
憲法改正派といわれる人たちのなかで現実的な考え方を持っている人たちは、まずこの第二項の条文を削除したいと主張しています。つまり「自衛のための戦力は保持する」という内容にまずしたいというものです。そこで問題になりますのが「自衛権」です。しかしこの「自衛権」の定義が難しいのです。以下に自衛権について日本と同じ島国で、過去に大海軍を保持していたイギリスの事例を紹介します。
デンマーク艦隊引き渡し請求事件
1805年11月トラファルガー海戦でフランス艦隊は敗北したことによって中立国デンマーク海軍がイギリスにつぐ戦力となったため、ナポレオンはデンマークに対しフランスの政策にしたがうように交渉をしますが、同時に武力解決も模索していました。フランスの戦略を阻止するためイギリスはデンマークに対し同盟を申し込みますがデンマークが拒否したため、イギリスは1807年7月コペンハーゲンに艦隊を派遣、同盟を締結するかデンマークの艦隊をイギリスに引き渡すことを要求する。結局イギリスはデンマークの艦隊を収容し「デンマーク艦隊がナポレオンによってイギリス攻撃に使われる恐れが大いにあり、事前にこれを排除しようとしたイギリスの行為は自衛である」と主張しました。イギリスはこの後も1837年にもアメリカとの間に「カロライン号事件」を起こしてります。ーこのイギリスの「自衛権」行使の事例は英米法では現在でも自衛権の先例とし捉えられている場合も多いのです。ー
サッチャー元首相のドイツ統一阻止行動
一昨日の11月9日東西ドイツ統一20周年式典が各国首脳列席のもと挙行されましたが、この歴史的統一を阻止するためイギリスサッチャー元首相は非公式にソ連ゴルバチョフ元書記長に「英国も西欧もドイツの再統一を望んではいない。戦後の勢力地図が変わってしまうことは容認できない。そんなことが起こったら国際社会全体の安定が損なわれてしまうし、われわれの安全保障を危うくする可能性がある」とドイツの再統一という野望をくじく手助けをするよう、暗に協力を求めていたという外交文書が公開されています。
以上2例はイギリスの自衛権にたいする考え方を知る上で大変重要な事項です。そしてこの自衛権に対する概念はアメリカの2002年9月の『国家安全保障戦略』の中で先制行動の概念として正式に安全保障ドクトリンとして採用され、その後の「大量破壊兵器に対抗する戦略」、「テロリズムに対抗する国家戦略」いわゆる「ブッシュドクトリン」に継承されていくのです。そしてそのドクトリンによってアフガニスタン攻撃、イラク攻撃が行われ、オバマ大統領はアフガニスタンに増派を決断しています。
ーアメリカの安全保障国家戦略と日米同盟ー
慶応義塾大学の神保謙氏の中央公論2003年4月号の論文で氏は
と指摘しています。さらに
としています。
元外交官の孫崎氏はその著書で氏は冷戦時代の極東地域の平和と安定に対象としていた日米同盟を、911以降の非対称戦における後方支援部隊として自衛隊の役割を考えており、アメリカの世界戦略に引き入れようとしていると指摘しています。「未来のための変革と再編」のI. 概観に「地域及び世界の安全保障環境の変化に同盟を適応させるための選択肢を作成するため、日米それぞれの安全保障及び防衛政策について精力的に協議した。」とあるように世界の安全保障環境に適用させるとあります。
よって私たちが共有している安全保障論における基本姿勢の自衛権の概念では、すでにアメリカの先制行動論を共有しており、日米同盟を堅持することは、アメリカの世界戦略の一旦で自衛隊が後方支援部隊としての役割ー自衛権の発動もあり得るーを担っていくということなのです。
オバマ大統領が間もなく初来日をしますが、アフガニスタンの支援についてどのような依頼があるのかが注目されます。はたして本稿の内容が現政権に引き継がれているか、また引き継がれているとしても日本の安全保障とアメリカの安全保障とのギャップをどう解決し、どう日米で協力していくのか課題は山積だと思います。
第二章 戦争の放棄
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第二項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
政府見解は紆余曲折のすえ1954年、鳩山内閣の政府統一見解として「自衛隊は違憲ではない第九条は……わが国が自衛権を持つことを認めている。自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない」としました。ですが未だ国際的な軍としての立場がなく、行政権の極大延長的組織ー1佐3佐等の呼称や、自衛「隊」などと軍ではないというごまかしーとして運用されいます。
憲法改正派といわれる人たちのなかで現実的な考え方を持っている人たちは、まずこの第二項の条文を削除したいと主張しています。つまり「自衛のための戦力は保持する」という内容にまずしたいというものです。そこで問題になりますのが「自衛権」です。しかしこの「自衛権」の定義が難しいのです。以下に自衛権について日本と同じ島国で、過去に大海軍を保持していたイギリスの事例を紹介します。
デンマーク艦隊引き渡し請求事件
1805年11月トラファルガー海戦でフランス艦隊は敗北したことによって中立国デンマーク海軍がイギリスにつぐ戦力となったため、ナポレオンはデンマークに対しフランスの政策にしたがうように交渉をしますが、同時に武力解決も模索していました。フランスの戦略を阻止するためイギリスはデンマークに対し同盟を申し込みますがデンマークが拒否したため、イギリスは1807年7月コペンハーゲンに艦隊を派遣、同盟を締結するかデンマークの艦隊をイギリスに引き渡すことを要求する。結局イギリスはデンマークの艦隊を収容し「デンマーク艦隊がナポレオンによってイギリス攻撃に使われる恐れが大いにあり、事前にこれを排除しようとしたイギリスの行為は自衛である」と主張しました。イギリスはこの後も1837年にもアメリカとの間に「カロライン号事件」を起こしてります。ーこのイギリスの「自衛権」行使の事例は英米法では現在でも自衛権の先例とし捉えられている場合も多いのです。ー
サッチャー元首相のドイツ統一阻止行動
一昨日の11月9日東西ドイツ統一20周年式典が各国首脳列席のもと挙行されましたが、この歴史的統一を阻止するためイギリスサッチャー元首相は非公式にソ連ゴルバチョフ元書記長に「英国も西欧もドイツの再統一を望んではいない。戦後の勢力地図が変わってしまうことは容認できない。そんなことが起こったら国際社会全体の安定が損なわれてしまうし、われわれの安全保障を危うくする可能性がある」とドイツの再統一という野望をくじく手助けをするよう、暗に協力を求めていたという外交文書が公開されています。
以上2例はイギリスの自衛権にたいする考え方を知る上で大変重要な事項です。そしてこの自衛権に対する概念はアメリカの2002年9月の『国家安全保障戦略』の中で先制行動の概念として正式に安全保障ドクトリンとして採用され、その後の「大量破壊兵器に対抗する戦略」、「テロリズムに対抗する国家戦略」いわゆる「ブッシュドクトリン」に継承されていくのです。そしてそのドクトリンによってアフガニスタン攻撃、イラク攻撃が行われ、オバマ大統領はアフガニスタンに増派を決断しています。
ーアメリカの安全保障国家戦略と日米同盟ー
慶応義塾大学の神保謙氏の中央公論2003年4月号の論文で氏は
今年(2003年)衆議院予算委員会で石破防衛庁長官の答弁により「敵がミサイルの燃料を注入している段階で、敵を攻撃することは可能」という見解に達した。ー中略ー 近年の解釈では内閣法制局長官も答弁したとおり「わが国を目標としてくる蓋然性の高い場合には、自衛権の対象となりうる」との憲法解釈をとるにいたった。すなわちこれらの点において日本はすでに先制行動の概念を受け入れているのである
と指摘しています。さらに
国連安保理1368に基づく対アフガニスタン作戦を支持し、米国等の自衛権を認めつつ、国際平和と安定に対する脅威のさらなる拡大を防止するために先制行動認定したと解釈することもできる。また自衛権の解釈に合致する限り、対テロリズム対策に関しても先制行動論を米国と共有することもかのうであろう。
としています。
元外交官の孫崎氏はその著書で氏は冷戦時代の極東地域の平和と安定に対象としていた日米同盟を、911以降の非対称戦における後方支援部隊として自衛隊の役割を考えており、アメリカの世界戦略に引き入れようとしていると指摘しています。「未来のための変革と再編」のI. 概観に「地域及び世界の安全保障環境の変化に同盟を適応させるための選択肢を作成するため、日米それぞれの安全保障及び防衛政策について精力的に協議した。」とあるように世界の安全保障環境に適用させるとあります。
よって私たちが共有している安全保障論における基本姿勢の自衛権の概念では、すでにアメリカの先制行動論を共有しており、日米同盟を堅持することは、アメリカの世界戦略の一旦で自衛隊が後方支援部隊としての役割ー自衛権の発動もあり得るーを担っていくということなのです。
オバマ大統領が間もなく初来日をしますが、アフガニスタンの支援についてどのような依頼があるのかが注目されます。はたして本稿の内容が現政権に引き継がれているか、また引き継がれているとしても日本の安全保障とアメリカの安全保障とのギャップをどう解決し、どう日米で協力していくのか課題は山積だと思います。


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