社民党レバレッジの迷惑度 - 岡田克敏

2009年12月14日 16:25

 普天間飛行場の移設問題は次のような経過をたどりました。

1.社民党の党首選挙で、普天間飛行場の県外・国外移設を主張する照屋衆院議員を福島氏の対抗馬として擁立する動き。
2.これを抑えるため福島氏は普天間飛行場の県外・国外移設を民主党に要請、拒否すれば連立離脱も辞さずと。
3.社民党の「連立離脱」に仰天した民主党は即座に移転問題の先送り決定。
4.米国との信頼関係に重大な懸念が発生。
5.日米関係が深刻な事態に・・・・?


 つまり、照屋議員を擁立しようとする小グループの意向が回りまわって日米関係に重大な影響を与えるに至りました。FX並みの高いレバレッジ(てこ)が実現したというわけです。支持率が1%前後の弱小政党の内部事情によって、対米外交の方針が大きく変更されるのは異常な事態と言わねばなりません。

 またこの間の動きは大変迅速でありましたが、日米関係の重要性を考えるとそんなに簡単にきめていいのかと思ってしまいます。また決断があまりお好きでない鳩山首相が珍しく即座に決断されたことには驚きました。「先送り」という決断だけは例外なのでしょうか。

 2大政党が拮抗しているとき、小政党がキャスティングボートを握り、大きい影響力を行使することがありますが、この場合は多数が決するということであり、合理性があります。しかし今回のケースは少し様相が違います。

 社民党の福島党首の目的は自党内の反対派を抑え、無投票で次の党首になることであったと考えられます。まあ早く言えば保身です。そして社民党が連立離脱をちらつかせた要求に早々と「無条件降伏」した鳩山政権も内閣の保身のためと言われています。

 この一連の過程では「風が吹けば桶屋が儲かる」式に小党の内部事情が結果的に大きい影響力を行使するというレバレッジが働いたわけですが、その理由は連立という政治構造だけではありません。社民、民主の両党主が国や国民の利益よりも自らの保身を優先させ、国や国民の利益のためという大局的な立場を放棄した結果であると言えるでしょう。

 逆に言うと、この一連の過程で国民の利益という観点から判断する部分がひとつでもあれば、このような事態は避けられていたと思われます。だとすると現政権の統治能力に重大な問題があると思わざるを得ません。

 この状況を見る限り、双方とも「友愛精神」は何よりも自党や自分自身に向けられているように感じます。そろそろ看板の「友愛」を「自己愛」に書き換えられてはどうでしょうか。その方が言行一致でわかりやすいように思います。

 レバレッジを効かせた点では国民新党の方も同様です。こちらは財政支出の拡大を実現させました。ここで気になるのは国債発行の増額を主張しながら、その返済計画をまったく示さないことです。返済のメドも示さず借金をさらに重ねる、なんてふつうの世の中では通りません。

 無責任な野党としてのクセが抜けないのでしょうか。国債増発を主張するのならば概略だけでも返済の根拠を示すのがあたりまえです(民主党にも言えることですけど)。単に増発を主張するだけでは「あとは野となれ山となれ」の無責任な態度と言えるでしょう。長期的な視点が欠けている点は普天間問題と同様であり、この政権の特徴なのかもしれません。

 国債増発に対し、その返済計画を求めないマスコミの見識も大きい問題です。権力の監視役を自称するのであれば、政府が借金を重ねる際には返済計画の提示を要求するのは当然のことです。返済計画の提示はマスコミが好んで口にする説明責任のひとつだと思えるのですが、説明を求める声はなぜかあまり聞こえてきません。

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 たまたま本日の松本徹三氏の記事の内容と一部が重なることになりました。松本氏の「日米関係は本当に壊れるかも」はとても説得力があり、賛同できる内容です。私の記事は見劣りしますが、枯れ木も山の賑わいと、ご了承願います。

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